87.【俺】強化計画を立てる
朝。学校についた俺は速攻で腕を枕にして眠りについていた。冒険者の強さを探ってリストアップ。魔物図鑑で仲間にしたい魔物を決めたりして睡眠時間がゴリっと削られた。微睡に沈みたいが俺を揺する猿飛弥彦のせいで眠られない。
「んー」
「んーじゃねえ!朝から寝るな。イチどういうことだよ聞いたぞ」
「何が?」
「お前が白百合学園のお嬢様と知り合いで仲良く喋ってたって噂だよ」
「ああ」
何だその話かと再び伏せようとした顔を押さえられた。
「イテテ何すんだよ」
「どうせ遅くまでゲームやってたんだろ?恥を知れ」
「サボったお前には絶対言われたくない台詞なんだが。ふわあ……んな気にすんなって俺がやってるゲームが気になったから声かけたってだけさ」
「ぐっ何だよそれ。俺だって最新のVRゲームやってるのに」
「珍しいから気になったんじゃないか?お嬢様とかVRMMOとか時間取られるのやらねえだろうし」
「ぐぬぬ」
お前ダンプストと同じ台詞で呻ってるぞ。
「最上君おはよ、また寝不足?何だかゴブウェイみたいだね」
目をしぱしぱさせていると高瀬さんが挨拶してくれた。
「はよ、昨日ちょっと根詰め過ぎてさ」
「ゲームのやり過ぎは駄目だよ。でも、昨日の配信凄く楽しかった」
「ああ、高瀬さんも見てくれてたな。ありがとな」
「えへへ」
と笑った高瀬はそれでなんだけどと俺の耳元に口を寄せた。
「まっ前に言ってた最上君の家に行くって話。今週の日曜でどうかなって?」
今日は火曜なので後五日。俺は帰宅部なのでオールフリーなのだがちょっと見栄を張ってカレンダーの確認を行う。驚きの白。でも心の予定表はデュアルミッシュでびっしり埋まってる。
「行ける」
「ホントに!じゃあ決まりってことで。時間はメールで連絡するね」
「あっ高瀬悪いんだけど俺今、スマフォ没収されててさ。今日返して貰うから返事すぐにできないかも」
「了解。じゃあ帰ってからにするね」
「ああ、頼む」
ふぅっと息を吐いて、やっとひと眠りできると頭を落とすも顎をガっと掴まれてしまった。
「んー」
「んーじゃねえ!何だよ今の!?まさかデートの!?」
高瀬さんが家に来るって話は申し訳ないが内緒。こいつは絶対に喋って広めるから。俺だけならまだしも高瀬さんも言いふらされたくないからこその耳打ちだったのだろうし。最上一郎は配慮できる男である。サブロには敵わないがな。
「んなわけねえって。ちょっと話す機会があっただけだ。お前が休んでなかったらお前だって話に入れてたよ」
多分。
「マジかよ……現実での限定クエを逃しちまったのか俺は」
ガクリとする弥彦。正直に言えないことをちょっと申し訳なく思いつつも高瀬さんも俺なんかと付き合ってるみたいな噂が流れるのは嫌だろうから許して欲しい。デートじゃない、ただゲームを見にくるだけなのだ。そう違いないと思うのだが俺は寝付けなくなって今日一日ずっと眠いまま過ごしたのだった。
◇◇◇
帰宅。少しだけ眠って夕飯を食べて自室という自堕落ルート。流石に不味いので余りしないつもりだが頭の中はずっとデュアミの事でいっぱいだった。頑張って調べた調査結果を鬼瓦先生から返して貰ったスマフォに表示させ、それをじっと見つめる。
「ペルシアの町、総人口2万212人か」
これの五倍トレントを抱えているという狂気はさておき、思ってた以上に人がいる。まあ自分の必要な場所だけ探検していたのでよりそう感じられるのかもしれない。
「ギルド所属人数は1324人」
一番トップはC級のソロのケルベックと同じくC級のPTである『森騎団』。ケルベックはもう出会った俺ちゃんであり、『森騎団』ってところにはまだ会ってすらいないが実力者揃いとの情報があった。ちなみにあの鬼ヤバい『黒槍』ノイマンは王都へ遠征していてもういないらしい。まあゲーム的なご都合での退場だろう。
よって現ペルシア最強はケルベックということになる。Bランク以上はまさに桁が違うらしく戦力的な意味でも都市部に集中するのが普通なのだそうだ。
「やべえな。ホント糞おもしれえ」
どこまで自由度があるかは不明だが、この情報を調べ戦略を立てられるというシステムの時点で俺としては最高だった。
PTは5名で動くのが冒険者の常識。ペルシアに属するCランク帯の数は41名、『白銀連盟』と『不落』、そして『ケルベック』もここに加わるため『森騎団』を含めた後6チームが俺が特に気を付けるべき存在となるだろう。
『不落』にソロで勝利できたのは相手が3人だったのがでかいらしく、5人揃ったPTは別物レベルに強いらしい。そしてだからこそソロでC級に到達しているケルベックは化け物であるということになる。
「実際、あいつに一撃でやられたしな」
油断してたとはいえ一撃でHPが吹き飛んだのはただ負けイベントだっだからという理由だけではないかもしれない。そしてあれと戦うことになれば恐らく元『不落』の二人が付き従う流れとなるはず。
俺のゲーム勘が囁く。ソロでの突破は困難であると。
「俺だけじゃだめだ。C級サインとパティに勝ち切れるまで6傑の能力を引き上げねえと」
更に言えば他のパーティーに襲われた場合、戦力を割く状況に追い込まれてたっておかしくない。適当にやってると詰み、仲間を失う可能性があるほどにこのデュアルミッシュは甘くない。
おちゃらけた雰囲気はあるがゲームの中身はヘルモード。復活可能という救済こそあるものの、昔の死にゲーを彷彿とさせる難易度だ。
『白銀連盟』との訓練で能力値は上昇したがまだまだ足りない。俺は魔物を連れてのレベリングを決めた。ん?非通知から電話入ってるじゃん、怖。
77のエピソードからやりすぎ感があったので
フードの人を削除しました。変更すいません




