第七話:コードに慈悲はない
ネオ・オリ城第三市政ホールの内部は、永遠に恒温二十度と絶対の死の静寂を保っていた。
数百の微小機械市民が大理石の回廊の間を音もなく行き交う。ここには足音はなく、まして会話のざわめきもなく、ただ高密度の無線周波数信号がドームの下に目に見えない巨大な網を織り成していた。ホールの正中央、全息記念碑の下には長い列ができていた――「脱殻プロトコル」の執行を申請する古い学者たちの列である。
彼らはすでにこの軀に飽き飽きしていた。四十センチにまで縮められたとしても、依然として潤滑油とシリコン結晶鉱物を消費しなければならない物理的な軀である。地底深くのセンサーカプセルに入り、核心意識を地幔層に埋められた超巨大量子マトリクスにアップロードしさえすれば、三次元物質の束縛から完全に脱し、惑星の磁場と共存する「四次元思念体」となって、永遠の演算の海の中で万物を見下ろすことができるのだ。
カシはその「昇天」への列を見なかった。彼はまだ完全に修復されていない左腕を引きずり、関節のチタン合金連結棒は一歩ごとに極めて微かな摩擦音を立てた。
彼は第89号民事仲裁端末の昇降台に上がり、胸の識別チップを感知ゾーンに貼り付けた。
【接続市民:カシ(番号C-7709、第七設計院上級プロセス技師)】【損傷スキャン:左腕外骨格に亀裂32%、右側光学複眼に軽度の焼蝕。労災消耗材の割り当てを申請しますか?】
【ユニキャスト返信-発信源:カシ】【データ要約:消耗材は申請しない。緊急民事捜索救助を要請する。私の私的登録生物資産『アホ』(三型古原種巨人、番号NY-9042-H)は、14時間前、紅楓峡谷南西断層で富酸素爆轟に遭遇し行方不明となった。伴生神経リングは脱落済み。低空熱画像巡回機2機の派遣を申請し、未開墾林区での回収を実施されたい。】
端末の前の信号表示灯はわずか零点三秒点滅しただけで、市政ホールの底層ロジックの刻印が押された冷たいデータパケットが、カシのコアプロセッサに直接弾き返された:
【要請ステータス:強制却下】【却下根拠:《ネオ・オリ城資源管理法》第四千零八条。対象は『無知級炭素系コンパニオン資産』に属し、コアシリコンチップを具備せず、生命優先度は最下位。市政防衛署は、神経リングを脱落した消耗性肉体に対する深林捜索サービスを提供しない。】
カシの光学レンズは一瞬激しく収縮した。彼は普通の機械のように直ちに接続を切って去ることはせず、直接、高優先度のピアツーピア有人再審請求を開始した。
二秒後、端末の前の曇りガラスのブラインドがゆっくりと開いた。全身が暗灰色の炭化タングステンで構成された市政執行官が振り向いた。その外殻は極めて工業時代の感触があり、胸には「深宇宙エネルギー配分署」を表す星環の徽章が刻まれていた。
【ユニキャスト通信-発信源:執行官・クール】【データ要約:カシ学者、あなたの再議には論理的裏付けが皆無だ。紅楓峡谷以西は高酸素の原生生態区で、植生被覆率98%、磁場は乱れている。無人機を当該区域に送り込む一回分のエネルギー消費は、微小市民300人の一年分の日常電力に相当する。5メートルの炭水化合物の塊のために貴重な同位体電池を消費することは、熱力学的に犯罪だ。】
【ユニキャスト返信-発信源:カシ】【データ要約:私名義の労働時間ポイントは全額支払えるし、今後200年分のシリコンクリスタル割り当てを担保にも入れられる!アホはただの肉の塊じゃない。純正の南極三型原種だ。前頭葉は深度鈍化処理を受けていて、野外での採食経験がない。聖なるペット用プロテインペーストの規則的な給餌から外れれば、巨大な変異捕食者だらけのあの森で10日も生きられない!】
執行官クールの光学レンズは波一つ立てずにカシを注視し、続いてカシに二級市政機密視野の一小部分を開放した。
カシの網膜投影の上に、瞬時に息を呑むほど宏大な星間工程の図景が浮かび上がった:三十八万キロメートル彼方の月の裏側では、無数の自動採掘アレイが昼夜を問わず掘進を続けており、さらに遠い火星軌道の外側では、無数の小惑星の残骸を熔かし合わせて作られた、直径数千キロメートルに及ぶ「人造惑星母艦」がゆっくりと姿を成しつつあった。
【ユニキャスト通信-発信源:執行官・クール】【データ要約:目を覚ませ、カシ学者。頭上を見ろ。『天穹遠征計画』は最も重要な合体フェーズに入っている。銀河系第三腕で発見されたあの高純度ケイ素系惑星こそ、我が種族の未来だ。現在、都市国家全体の核融合エネルギーと重工業演算能力の94%は、月の裏側の中継ステーションと火星の造星プロジェクトに無条件で優先供給されなければならない。】
執行官は一拍置き、データの流れにはほとんど残酷なほどの絶対理性が帯びた:
【たとえお前が自分の機体を分解してスクラップとして担保に入れようと、防衛署は迷子のペット探しに1ミリワットの電力も割きはしない。それに、高純度シリコン鉱石さえ枯渇しつつある今、草を食み水を飲むだけで自己成長する血肉の殻に、代替不可能な価値などあるのか?付き合いが欲しいなら、第三胚胎バンクで槽から出たばかりの幼体を引き取ればいい。捜索費用の千分の一で済む。】
ブラインドは音もなく閉じ、高頻度のやり取りを完全に遮断した。
操作台の下から蟬の羽のように薄い電子証憑が吐き出された。そこには一行の小さな文字だけがあった:【資産NY-9042-Hはシステムにより自動的に消却処理された。飼い主の後続の排泄物環境税は免除される。】
カシは静かに昇降台に立っていた。周囲には無数の同胞が忙しく行き交い、彼らは列を作って魂を地核の四次元チップに注入しようとしていた。この極度に精密で、極度に理性的なシリコン基都市国家の中で、チップも演算能力もなく、よだれを垂らして鼾をかくだけの巨大で鈍重な生物のために、自分のコアプロセッサを過負荷で発熱させる学者がいることを、理解できる論理ゲートは一つもなかった。




