第六話:盲目な疾走
砕石は雨粒のように降り注ぎ、山体全体が暴烈に傾いていく。
この天崩地裂の生死の瞬間に、アホのあの巨大で強壮な肉体は、機械の推演の限界を超える野性的な俊敏さを爆発させた。
彼は急速に崩落する岩板の上で猛然と前へ身を投げ、太い両脚で断壁の縁を激しく踏みつけ、反作用の力を借りて崩壊する裂け目を辛うじて跳び越え、天火に驚いて目覚めた太古の巨猿のごとく、対岸の比較的安定した山脊の泥の斜面へ重々しく転げ落ちた。
「ドン――!」
足首の歩幅を制限していた炭黒合金の鎖は、一トンを超える血肉の軀の暴力的な跳躍の中で無理やり引きちぎられた!鋭い鎖の断口は彼の足首から大きな皮膚と肉を削ぎ取り、深紅の鮮血が噴き出して、瞬く間に泥濘の草甸を染め上げた。
しかし彼はまったく止まらなかった。
大雨が滝のように降り注ぐ。超強対流の中で生まれたこの暴雨は冷たい鉄のようにアホの焦げて熱い背中に叩きつけられ、白い水蒸気をもうもうと立ち上らせた。雷鳴はなお雲層の奥深くで轟き続け、遠方の山々を巨獣の起伏する白骨の肋骨のように照らし出した。
アホは泥濘と乱石の間をよろめきながら狂ったように走った。
彼は自分がどこへ行くのか分からず、方向もなかった。脳裏にはただ二文字だけが驚雷のように轟いていた。逃げろ、と。
夜空を焼き穿つあの恐ろしい天火から遠ざかる。うなじから針のような痛みを放つあの小人から遠ざかる。彼を窒息させ戦慄させるすべての声から遠ざかる。
五メートル二の身長、一千二百キログラムの巨大な体重は、この瞬間、全速で稼働する未開のブルドーザーと化した。茶碗の口ほどもある細い木は正面からぶつかられてへし折られ、厚い棘のある蔓は彼の胸と腕に血の痕を引き裂いたが、彼は痛みをまったく感じなかった。極度に酸素の濃い空気は高純度のアルコールのように彼の萎んだ肺胞の中で激しく燃焼し、一つひとつの腱に絶え間なく恐ろしい蛮力を注ぎ込んだ。
彼は一年中日の光の届かない鉄木の原始密林へ突入した。
ここの鉄木の幹は精鋼のように堅く、枝は斜めに交錯し、空中に逆さに突き刺さった無数の長槍のようであった。極度の狂乱の盲目な疾走の中で、アホは厚い枯木の樹柵に頭から突っ込んでぶち抜いた!
腕ほどの太さで、折れた断面が犬牙のように交錯する一本の鉄木の折れ杭が、極めて陰険な角度で、アホのうなじを激しく横なぎに払った!
「ザシュッ――!」
皮肉の裂ける音は暴雨の中ではほとんど聞き取れなかったが、アホは疾走する山に正面から激突されたかのように、巨大な軀は泥地の中で激しく十数メートルも転がり、途中で茶碗の口ほど太い巨大なシダを三本へし折って、ようやく苔の生えた窪地に止まった。
血水は泥と混ざって彼のうなじから噴き出した。
そして、ぶつかって折れたあの鉄木の折れ杭の鋭い棘には、皮と肉を連れた小さな銀灰色の金属片が引っかかっていた。
アホが生まれて三か月目から第一頸椎の表面に深く植え込まれ、文明の私的所有権を象徴し、絶えず微弱な電流と化学阻害剤を放ち続けてきたあの「伴生神経リング」が――
この極限まで乱暴な物理的衝突の中で、骨膜と神経線から根こそぎ引き剥がされたのである!
「グォ……うっ……あああああ――!!!」
アホは泥水の中にうつ伏せにへばりつき、両手で冷たい黒土を砕き、頭を仰向けて胸を引き裂くような凄まじい悲鳴を上げた。
それは神経線維が直接引きちぎられる極限の激痛であった。
しかし、普通の生物なら失神するほどのこの激痛が頂点に達した瞬間、前例のない死の静寂が、予兆なくアホの知覚世界全体に降り立った。
彼の頭の上に永遠に重々しく圧し掛かり、彼の世界を一年中ぬるい霧の中に覆わせてきたあの見えない鉄の枷は、消えた。
雨はまだ降っている。
しかし皮膚に落ちる感覚が変わった。それはもはや一面に濁った冷たい重さではなく、異なる力加減と異なる澄んだリズムを持った何千何万もの小さな打撃であった;
空気の匂いが変わった。甘いペーストのあの人工香料の偽りの甘ったるさは完全に消え去り、代わりに現れたのは雨水に洗われた泥土の生臭さ、古い腐植質の奥深くの菌類の甘さ、そして自分の鮮血の中の濃厚で純粋な鉄錆の匂いであった;
耳元の雑音も変わった。風の音はもはや耳障りな騒音ではなく、気流が紅楓の針葉を抜ける嘶き、百メートル先で驚いた野獣が枯れ枝を踏み砕く重い脆い音、そして自分の胸の奥深くから発せられる、太古の大地の心臓の鼓動のような雄渾で力強い律動へと、はっきりと分かれていった。
強制的に眠らされ続けてきた脳の前頭葉は、伴生神経リングが剥離したこの一秒に、巨力で封印を砕かれたダムのように、無数の神経シナプスが大量の酸素の供給を受けて狂ったように接続し、点灯していった!
アホはゆっくりと泥水の中から両腕で身を起こした。
彼は泥と血にまみれた大きな顔を上げ、初めて焦点を結んだその目で、底知れぬ雨林の暗がりを見つめた。
主人の命令はもうない。決まった時間に届けられる飼料もない。暖かく狭い木造の小屋もない。
あらゆる思考の権能を奪われたこの創造主の遺族は、この残酷で広大な太古の莽荒の中で、最も血なまぐさい方法で、自身の成人式を成し遂げた。
彼は向きを変え、重く、よろめきながらもこの上なく確固たる足取りで、片脚を引きずりながら雨林の奥深くの永遠の闇へと消えていった。
……
夜が明けた。
雷の嵐はすでに去り、傷ついた陽光は薄い銅緑色の雲層を抜け、見る影もなく荒廃した紅楓峡谷の断崖に降り注いだ。
微小な浮遊車の残骸の傍らで、カシはひどくねじれた左腕を引きずり、どうにか乾いた玄武岩の突起によじ登った。象牙白の外殻は焦げた引っ掻き傷だらけで、右側の複眼レンズは高温で焼けて亀裂が走り、規則正しく淡灰色のエラー文字を点滅させていた。
カシは無事な右腕を上げ、高精度の生命兆候スキャンレーダーを起動した。
視野の中では、古い森林全体がびっしりと巨大な生物の熱源を発していた――体長数十メートルの巨大ラクダ、沼沢の間で狩りをする短面グマ、百メートルの樹冠に網を張る先史時代のオオグモ。
しかし家畜資産専用の周波数帯では、あの元々安定していた緑色の生命線は、すでに完全にゼロとなり、死の静寂の破線と化していた。
【目標番号:NY-9042-H】【伴生神経リング搬送波:信号ロスト】【資産状態:深度損壊または野外遺失と判定】【システム推奨:捜索を放棄し、残余部品を棚卸し、回収を待機】
カシは冷たい風の吹き抜ける巨石の縁に立ち、機械コアが最高の演算能力でレーダーの稼働を維持し、果てしない莽蒼へ向けて何度も何度も探針を発射した。
四周には、遠方で巨獣が大地を踏み砕く鈍い反響だけがあった。
低い木柵の前でうつ伏せになって餌を待つあの巨大な姿はもうどこにもなく、あの濁って温順な「ゴロゴロ」も聞こえなかった。
完全に宏大な血肉で築かれたこの野性の天地の中で、精緻な機械文明から来たこの微小な生き物は、生まれて初めて、アルゴリズムでは解析できないある種の空洞と戦慄を感じた。




