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無実の罪で追放されたので、お菓子で魔物を浄化しながら楽しく暮らします。 〜偽聖女のせいで国が大変? わたしにどうしろと〜  作者: うぐいすもち


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第五十三話 建国祭①

 日々は疾風のように過ぎて、いよいよ建国祭当日になりました。

 

 私たちは一通りの準備をして、王都へ向かいます。王都はいつも以上に多くの人が行き交っており、露店や屋台もたくさん出ていました。

 

 今日は澄み渡った青空が広がり、雲一つ見当たりません。

 

 城には国の象徴たる旗が何本もはためき、庭は解放され平民も自由に行き来しています。騎士団が万全の態勢で警護に当たっていました。


 私は城の庭へ向かい、用意された専用のスペースにアフタヌーンティーセットを準備していきます。

 

 丸テーブルとおしゃれな椅子がいくつも並べられ、それとは別の机にティースタンドが何台も置かれています


 国王陛下が城の魔道オーブンの使用を許可してくださったため、熱々のパイやスコーンを提供できそうです。

 

 一段目にはキノコと生ハムとチーズのキッシュ、それに子羊のパイ包み焼き。

 

 二段目には色とりどりのスコーン。オレンジ、杏、紅茶、ナッツとチョコチップ、モカスコーンもあります。

 

 三段目は様々なプチタルト。メインはいちごとディプロマットクリームのタルトです。


 魔物の牙で作られたティースタンドは、陽を受けて眩しく輝いており、シュクレの作ったレースペーパーがそっとパイやお菓子を受け止めています。


「聖女様の『あふたぬーんてぃい』らしいぞ!」

「なんだあの三段の皿!! 豪華だなあ⋯⋯! あれ全部で一人分か!?」


 見物に来た方がガヤガヤしながら集まってきました。


「はいはい! 準備が出来たら順にご案内しま〜す!」


 エステルが飛び出していって、接客をしながら人の整理をしてくれました。

 

 私は後ろの方の一段高い場所に椅子とテーブルを出してこの様子をご覧になっている国王陛下、第二王子殿下とその婚約者様、第三王子殿下にまず最初のアフタヌーンティーセットをお出ししました。

 

 横ではヴァルハルトが近衛兵と一緒に、陛下や殿下の護衛に当たっています。陛下から直々に勅令があったそうで、ヴァルハルトは謹んで拝命していました。


 皆様驚きに目を見開かれ、特に婚約者様はうっとりしています。脇に控えていた毒味係が味を確認し、「問題ない」の合図を出しました。

 

「下から順に召し上がってください。スコーンにはいちごジャム、アプリコットジャム、マーマーレード、それにクロテッドクリームをご用意しています。クロテッドクリームは生クリームとバターの中間のような物です。またご希望の方は、デザートワインやコーヒー、または紅茶もありますのでお申し付けください」


 人間に変装した魔王が横でコーヒーと紅茶の用意をしています。紅茶はあまり詳しくなかったそうですが、私の知らない間に準備をしてくれていました。


 国王陛下は優雅にパイを切り分け、一口口に運びました。

 

 「ううむ」とうなり、今度はキッシュに手を伸ばします。

 

 皆様、一様に無言になりました。ただ、パイやキッシュを切り分けるサクサクという音が響いています。


 やがて第二王子殿下が感嘆したように口を開きました。


「父上。私はこんなに美味いパイを初めて食べました」

「僕もです。中には何が入っているのでしょうか。コクがあって、いくらでも食べられそうです」


 殿下たちが頷き合い、陛下も初めていつにない笑顔になりました。


 ほぼ柔和な表情を見せない陛下のため、集まった国中の人が不敬にならない程度にどよめきます。


「このめでたき日にこんな素晴らしいものを我々だけで食べるのは勿体ない。国民たちよ。ぜひ聖女アリサのアフタヌーンティーを堪能してほしい! 我らがレヴェルナ王国に! 乾杯!」


 陛下がデザートワインを片手に宣言し、いよいよ青空茶会が始まりました。人々は受付でお金を払い、セットを受け取ってそれぞれの席に着いていきます。

 

「うんま! うますぎっす!!」

「食事もお菓子もいっぺんに取れるなんて贅沢ね」

「国王陛下の御前でこんな美しいものを食べられるなんて、最高の建国祭だ!!」

「このタルトを食べたら、なんだか身体が軽くなってきたわ!!」


 人々からうっすらと靄が立ち上りキラキラと消えていきます。やはりまだ瘴気の影響は残っていたのでしょう。

 

 私は無事に目的を遂げられたことに安堵し、せっせとアフタヌーンティーの用意を進めました。後から後から人が来て、広い庭でアフタヌーンティーセットを囲みながら談笑しています。


 私はふと陛下のそばに控えているヴァルハルトと目が合いました。

 

 ヴァルハルトは片目をつぶり、「よかったな!」と口だけでつぶやきます。

 

 私はもう一度広い青空とアフタヌーンティーセット、たくさんの人々の笑顔を見つめ、レヴェルナ王国の未来を想いました。



 

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