第二十四話 タルト・オ・フロマージュ・モカ③
販売を終えて帰宅した後、私は夕食を作って、エステル、シュクレと食べ、そのままタルト・ オ・フロマージュ・モカの試作に取り掛かりました。
エステルが中深煎りのコーヒー豆を買ってきてくれたので、準備もバッチリです。
エスプレッソ用のコーヒーミルは、通常のコーヒーミルよりも細長く、挽目の調整をするツマミが付いています。
コーヒー豆の重さを計量するための魔測スプーンもついていて、コーヒーミルの魔石部分に押し当ててから豆をすくうと「二」と表示されました。これは豆を二杯分入れるということでしょう。
上部の穴に豆を入れてからふたをして、つまみを回します。一から十までのメモリがあり、おそらく十が粗挽き、一が細挽きです。
「どのくらい細かくすればいいの?」
「たぶん、かなり細かくしなければならないのでまずは『三』で挽いてみましょうか」
スイッチを押して取り出してみると、確かに既製品のコーヒーパウダーに近いほど細かくなっています。
念のため、私はツマミ『二』と『一』のコーヒーパウダーも作り、全てで試作することにしました。
まずクリームチーズをヘラで混ぜ、グラニュー糖を加えてさらに泡立てます。
次にヨーグルト、卵黄、レモン果汁を加えて混ぜ、最後にふるった小麦粉とコーヒーパウダーを入れます。
ココアパウダーとアーモンドパウダーを入れたタルト生地に入れて焼き上げ、最後にコーヒー風味のキャラメルナッツで飾り付けをします。
出来上がると、エステルやシュクレも付き合って味見をしてくれました。
「あ! 既製品のコーヒーパウダーよりも、こちらの方が調和していますね。エステルのお父様の言った通りです。挽目は『一』が一番良さそうですね」
「父様は凝り性だからね〜。私もこっちの方が好きかも!」
「これなら、よりたくさんの方に食べていただけます」
「チュウ!!!」
シュクレがほてほてと部屋へ行き、深い紺色の包みと、銀のリボンを取って差し出してきました。これまでの包装よりも大人っぽい組み合わせで、タルト・オ・ フロマージュ・モカにピッタリです。
「ありがとう! さすがね、シュクレ」
「チュウ〜!」
こうして、皆の協力もあって、私はまた一つ看板メニューを加えることができました。
アドバイスをくださった、エステルのお父様のおかげですね。ぜひお礼を言いたいとエステルに相談したところ、絶対にもう一度食べに来るので、待っていればいいと言われました。
そこで、街でリクエストのあったフルーツタルトの試作品を作りながら待っていたところ、ある不吉なうわさが私の耳に入ってきたのです。




