33話 パーティを組むぞ!
(2人がそんなに仲良くなるなんて…!)
ノアは今、感動していた。
(2人がなぜ、仲良くなったのか?それはもちろん、私のおかげ!のはず!2人して同じ苦痛を味わったから、互いに何かを感じ取れるようになった……ということ!)
ノアは頷く。
「うんうん。仲良しが1番!このまま見守ろう♪」
ノアは2人を観察し始める。
その時、ティオとオーラは真剣に話していた。
「ノアの未来ね…申し訳ないけど、私は未来なんて視れないわ。」
「じゃあ、もっとはっきりと聞こう。もし、大魔王が死んで魔物が死に出したら、妖精の血が混じっている可能性のあるノアはどうなる?死ぬのか?」
「怖い目してるわよ?」
ティオはハッとする。無意識のうちに、圧をかけていたようだった。
「すまない。わざとではない…」
「それは、わかってるわ。でも、そうね…私には、ノアがどうなるかなんて、わからない。死ぬかもしれないし、死なないかもしれない。」
ティオは残念そうに俯く。
「確率は?」
「あなたにわかるの…?」 ボソッ
「確率は!」
「はぁ…うるさいわね。そうねぇ……死ぬ4、死なない6ね。まだノアに、妖精の血が混じってると断言できないもの。」
「……そうか。」
オーラは、しょんぼりするティオといるのが気まずくなり、ノアに声をかける。
「ノアは、何してるのよ?」
「え…あぁ、えっとですね、2人の仲睦まじい姿を見てました♪」
「仲睦まじい…何言ってるのよ?仲良く見えるのかしら?」
「はい!」
「違うわよ。この子が……はぁ。」
オーラは、説明も諦めて立ち上がる。
「どうしたんですか?」
「なんでもないわ。じゃあ、今度こそ帰るわね。また何かあったら、呼ぶといいわ。」
「いいんですか?」
「ええ。でも…次はこの子に会いたくないわね。」
そう言って、オーラはティオを指さす。
「ティオ…?」
「ん?……あぁ、なんでもない。じゃあな。兵器。」
「うるさいわね…じゃあね!負け犬!」
「あ!僕は負けてない!おい!」
ティオはオーラを止めようとするが、遅かった。
「んふふ♪」
「何ニヤニヤしてんだ?」
「別にぃ?2人が仲良くなって良かったなぁって、思っただけですよ!」
「仲良く?何言ってんだか。」
「えっ…でも、2人でお話できたじゃないですか!」
「あれは…」
(ノアが死ぬのが、嫌で……)
ティオは恥ずかしくて言えない。
「はぁ…もういいです!行きますからね!」
「あ!待て!一緒に行くから!」
「早く!」
ノアはそう言って、先にカフェを出た。残されたティオは、店員にノアが食べたパフェ代を支払い、カフェを出た。
「遅いですよ!早く行きましょう。」
「どこに?」
「宿です。」
「宿で何するんだ?」
「えっと…」
ティオに顔を覗き込まれ、ノアは目を逸らす。
(魔法陣を分解するなんて言えない…)
「よし。ある程度わかった。一緒にギルド行くぞ。」
「え?なぜですか!」
「いいから。一緒に行くよ。」
そう言って、ティオはノアを引きずる。
「嫌です!私は宿に戻りたいんです!せめて、休ませてください!」
「休ませてるうちに、どっかに逃げるだろう?」
「うっ…」
図星であるため、ノアは何も言い返せない。
引きずられて、ノアとティオはギルドに着く。入ると、受付には以前にもあったアカネがいた。
「お疲れ様です…ノアさんとティオさんですね!お久しぶりです!どのようなご用件でしょうか?」
「久しぶりだな…実は、僕らはパーティを組もうと思ってるんだ。」
ノアは「パーティを組む」と言うティオを睨む。
「ティオ…何言ってるんです?組みませんよ。」
「いや。組む。パーティ結成は、人数の半数の同意で組める。僕一人でも、半数は半数だ。アカネ、書類を頼む。」
「……はい。」
アカネは困りながらも、ルールに違反していないためティオに従う。
「こちらになります。必ず、ご本人様がお書きになってください…」
「ああ。ノアも書いてくれ。」
「嫌です。」
「書きなさい。」
「絶対嫌です。」
頑なに書きたくないノアにしびれを切らし、ティオは圧をかける。
「いいか?ノアは魔法のことになると、飯を忘れる。睡眠も忘れる。何もかも忘れる。そんなノアを世話してくれる人が必要だろう?僕ができることはやってあげるから。死んで魔法から離れるか、死なずに魔法と一生を共にするか…選びなさい。」
ティオは早口でノアに言った。
「……魔法と一緒がいいです。」
「よし。書け。」
「はい……」
ノアは書類に書き、パーティ登録が終わった。
「大丈夫そうですね。では、お2人の冒険者ギルドカードを出してください。」
ノアとティオは、アカネにカードを渡す。
アカネは「はい。」と言いながら、カードに魔法で情報を入れていく。
「はい。では、こちらを。」
終わったアカネが、2人にカードを返す。
「これ、ノアのだぞ?」
「こっちはティオですね。初めて見た時のようですね。」
カードには、最初の登録と同様に、くぼみの中に針が出ている形に変形していた。
「さすがノアさん!そちらには、互いの血をカードに流してもらいます。では、どうぞ。」
アカネは自慢げに話した。
「なるほど。」
ノアはそう言って、針に指を突き刺す。
ノアの血を吸収したティオのカードは、元の平らなカードに戻った。
(そんなすんなりと受け入れんなよ…)
ティオは、相変わらずなノアに呆れながら、ノアのカードに指を刺した。
「では、こちらがノアさん。こっちがティオさんのカードですね。これでパーティ登録は終わりです。依頼、頑張ってください!」
「はい!……依頼?」
ノアは、元気よく返事をしたが、依頼があったか思い出す。
「ノアさん…ティオさん…」
後ろから声がして振り向くと、アカリがいた。何やら深刻そうな顔をしている。
「アカリさん…どうしましたか?」
「……ギルド長が、お呼びです。」
「ギルド長…?」
アカリが案内するように手招くので、ノアはティオの顔を見る。
「挨拶はしておきましょう。」
「ああ…」
ティオが嫌そうな顔をしている。
(ティオは会ったことあるのかな?)
アカリの案内で、2人はギルド長室に行く。
扉を開ける前に、アカリが振り向く。
「少し…疲れるかもしれませんが、我慢していただけると助かります…」
「?……わかりました。」
アカリはゆっくりと扉を開ける。
開けると、ギルド長の席に少女が座っていた。
「お連れしました。"ヒューリス"様。」
「戻っていいわよ、アカリ。」
「はい…失礼します。」
アカリが出ていくと、少女は立ち上がってノアの前まで来る。
「あたしは"ヒューリス・ハリメニ"よ。ここのギルド長をやってるわ。」
「私は"ノア・フェレア"です。冒険者です。」
「違うでしょう?」
「はい?」
(ティオ…助けて!よくわかんないこと言ってるよ?)
ノアは、ちらりとティオを見る。
(そういえば、ノアの人見知りが治ってるなぁ…)
ティオは、ヒューリスに以前会った時の記憶が蘇らないように、どうでもいいことを考えている。
(なんなの!)
諦めて、ノアはヒューリスに向き直る。
「違うとはなんですか?」
ヒューリスは驚いたように、目をぱちくりさせる。
「あははは!あはは!はははは!!」
「?」
ヒューリスは笑い出した。ノアは意味がわからず、首を傾げる。
「あぁ…あはは……ごめんなさいね…ひー…面白い!」
ヒューリスは深呼吸する。
「あなたは、大司教の肩書きもあるはずよね?」
「…はい。それがどうしたんですか?」
「ぶはっ!あはは!自分の価値をよくわかってないのね!」
ノアはティオを見るが、まだ自分の世界にいるようだった。
「あなたは、自覚すべきよ!」
────バンッ
そう言って、ヒューリスは書類を机に叩きつけた。
「セラシア(信教国)は特殊なのよ。大司教=(イコール)国王って扱いなのよ?つまり、2人で大司教をしているとしても、あなたは一国の王なの。その自覚あるわけ?って話よ。」
ノアは書類を見る。内容は、王族が被害に遭った殺人事件など。
「つまり、私は冒険者を辞めなければならないんですか?」
「いいやぁ〜……」
ヒューリスは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「王族と貴族の嗜みに、付き合ってほしいの♡」




