19話 魔王討伐への前進。人間関係の後退。
ルカの家に行くことに、ノアは気が乗らなかった。だが、クリアの成功を伝えに行く必要があった。
「きっと、笑顔で送り出してくれますよ。」
「それは、大丈夫なんですけど…」
「ここ1ヶ月、魔法のことや冒険者のマナーなどを教えていただいたんです。お礼をしなければいけませんよ。」
「…はい。」
コンコンコンッ
「ノアです。お話があって来ました。」
ガチャ
開いたドアから、ルカが顔を覗かせる。
「ノアとソフィアか〜。どうしたの?」
「あの、レイさんからお手紙が来たんです。特別依頼だから、参加してほしいと。」
「なるほどね。まあ、立ち話もなんだ!入って入って〜。」
ルカの家に入ると、初めて家に来た時より汚くなっていた。
「あの…どう生活すれば、こんな風に汚くなるんですか?」
「え〜…そんなに褒めないでよ〜!照れちゃう//」
「ノアさんは褒めてないですよ。」
「相変わらず硬いなぁ!ま、お茶くらいは出すよ。」
ルカはお茶を3つ用意して、席に着いた。
「で?特別依頼がなんだって?」
「依頼は私も強制参加です。それで、この街を離れるので、挨拶をしようと思って来たんです。でも、あなたも呼ばれてますよね?」
「いや。呼ばれていても行かない。行けないよ。魔法使いギルドは忙しいからね!」
「あなたが仕事しないからでしょう…」
「あははは!」
ノアは、相変わらず呑気でいるルカを、ジトっと見る。
「はぁ。クリアができるようになったので、見てほしくて来たんですよ。」
「できたのか!見せてみろ!ソフィア、魔法を何か放ってくれ!外行っくぞー!」
ルカは勢いよく飛び出す。
ノアとソフィアは向かい合って立つ。
「私の最大限を放ちますね。」
「…お願いします!」
ノアは、ソフィアが魔法を放つ姿を初めて見る。
「"ファイアーストーム"」
ソフィアの魔法は、大地を抉るような火を起こした。
ノアは感動しながらも、杖を振ってクリアを放つ。
ボオワァァァ…シュンッ……
「うん。成功だな。よくやったなあ、ノア!クリアは、魔王にも効く。魔法が使えなければ、討伐も容易になる!これで安心だよ。最後なんだろ?少し話そうぜ〜」
ルカはるんるんで家に入っていった。
「そういえば、レイさんからの手紙に、"ルカによろしく"って書いてありましたけど、知り合いなんですか?」
「あいつとは幼馴染だよ!学院で色々やったなぁ!指輪型の封印魔法具を作ったんだよ〜!懐かしいな!」
(封印なら、オムケルを連れて行ける!…指輪型?あ…)
「あの、これですか?」
ノアは思い出したように、ポーチの中を探る。
「どこだろ…こっち?んー?…あ!これです。」
ノアは、学院の魔法具創造研究部の部室で見つけた、謎の指輪を見せる。
「そーそー!これだよ!どこでこれを?」
「あはは…まあまあ、そんなことより、これはあなたとレイさんが作ったんですか?」
「そうそう!結局、レイが気に入って使ってたな。」
「どうやって作ったんですか?」
「えっと…ちょっと待ってろ。」
ルカは立ち上がって、山積みの資料の中から分厚い本と、20ページほどの資料を持ってきた。
「この資料に全部書いてあると思うぞ。じーっくり見てもらって構わない!持ってくのはダメな?」
「こ、これは…!こんな見やすい資料、すごいです!!レイさんとあなたで書いたんですか?」
ルカは微笑んで、うんうんと頷く。
「なぁ、ノア。レイはなんで名前呼びなのに、僕のことはルカって呼んでくれないの〜?」
「あなたは、だらしない人なので。名前で呼んであげません!」
「え…」
ルカは、ソフィアを見る。
「ソフィアは、名前呼ばれてんのか?」
「…はい。」
「へ?俺、"クローネ"とかでしか呼ばれないのに…」
「……まずは、部屋を整理してみては?」
ルカは部屋を見渡す。ごちゃごちゃしている。
「うぅ…確かに。これじゃ、これから大変だ…」
(これから?)
ノアは不思議に思ったが、あまり気にとめなかった。
「ノアさん、今日はルカさんの家に泊まってみては?」
「え…汚いですよ…私ちょっと嫌です。」
ルカは、ノアの"嫌"で心が抉られる。
「ノア…わかった。綺麗にしてやる!泊まっていけ!!」
「あの人が、自分から…!わかりました!手伝います!」
それから、3人でルカの家を綺麗に掃除した。幸い、全て資料や魔法書だったため、汚れはあまり無かった。
「ふぅ…なんとか終わりましたね!綺麗です。これを維持してくださいね!」
「うっ…努力する…」
それから、ルカは手料理を振る舞った。ノアは魔法のことや学院のこと、オムケルとディバインのことをルカに聞いて、楽しい時間を過ごした。
21時。ノアは、ルカの魔法書を読んでいる中、寝落ちしてしまった。
ルカはノアを抱き上げて、布団に連れて行く。
「ルカさんが、1人に執着するなんて珍しいですね。レイさんもですが…お2人は好みが似ているんですね。」
ルカは、ノアの頭を撫でながら話す。
「ノアは、子供嫌いのクララとロアンの愛した、たった1人の子供だ。」
「子供嫌いだったんですね。だとしても、肩入れが過ぎます。」
「……ノアを初めて見た時、感動したんだ。この子が魔法使いで良かった。この子に出会えて良かったって。」
ソフィアがキッチンに向かう。
「お茶を用意します。」
「気が利くね〜!頼むよ。」
ー翌朝ー
チュンチュン
「ノア、おはよう。ソフィアが馬車を持ってきてくれたよ。」
「…うぅ…おはようございます。」
ノアは寝ぼけながらも、起き上がる。
「ほら。準備してくれよ?ソフィアは怒ると、結構怖いんだ。ほぉら!」
ルカが無理やり、ノアの口に朝食を入れる。
「むぐっ…」
ノアは苦しそうだが、むしゃむしゃと食べる。
朝食も済んで準備も終わり、ノアは外に出る。
「では、お世話になりました。帰ってきたら部屋が汚いなんて、絶対嫌ですから。しっかり綺麗にしといてくださいね!」
「あはは…頑張るよ…」
ルカはノアに近づき、頭を撫でる。
ワシャワシャワシャ
「な、なんですか…?」
「いや〜?当分会えないんだ。たーくさん撫でてあげないとな!」
「あなたが撫でたいだけでしょ?」
「うふふ!まあ…」
ルカは、ノアと同じ目線になるようにしゃがむ。
「ちゃんと勝ってこい!また、俺に撫でさせてくれ。…な?」
「っ!はい!」
ノアは馬車に乗り込む。
「行ってきます!」
「いってらっしゃ〜い!」
馬車は、結構早いスピードで進む。すぐにルカが見えなくなった。
「ソフィアさん。私、絶対に勝ちます…!」
「……はい。そういえば、盗賊が多く出るらしいので、気をつけてください。」
「そうなんですね。わかりました!」
学院にいた頃なら、怖がっていただろう。だが、ノアはたくさんの依頼をこなして、冒険者として危険に慣れつつあった。
出発して5日が経った。
ガタゴト、ガタゴト…
「順調に来れてますし、早く着けそうですね。」
「はい。あと1日。今日、何も起こらなければ夜には着けると思われます。」
「そんなにですか?!すごいですね。」
ガサガサ…
音がして、ソフィアが振り向く。
ボンッ!
「っ!」
ソフィアが見ていた所で、爆発が起きた。ノアを見ると、杖を持っていた。
「盗賊ですね…威嚇程度ですが、爆発させました。驚かせてすみません。」
ソフィアは爆発ではなく、ノアに驚いた。
(盗賊の対処として"サーチ"を教えたとはいえ、ここまで正確に位置が把握できるなんて…)
「大丈夫です。ですが…」
20人ほどの盗賊は逃げる様子がなく、2人を囲む。
「ノアさんの慈悲を受け取る気はなさそうですね…」
「やっぱり、殺さないとですか…」
「殺らなければ、こっちが殺られます。不可抗力です。」
ノアは覚悟を決め、襲ってくる盗賊に向けて杖を振ろうとする。
────ザンッ
「何…」
一瞬で盗賊の半数が斬られた。
「盗賊は、ダメだろう?2人とも、大丈夫かい?」
助けに入ったのは、勇者の息子のヴァン・レイディアだった。
盗賊A「おまぇ…」
ザンッ
盗賊に容赦なく斬り込んでいく。
「うわぁ…」
呆気にとられていると、計20人の盗賊は全員倒されていた。
「大丈夫かい?って、セリスに会いに来ていた…」
「の、ノア・フェレアです!」
「おぉ!戦闘大会は見事だった。冒険者になったとは聞いていたが、こんな形で会うことになるとはね。私はヴァン・レイディア。よろしく。」
軽く挨拶を済ませると、ソフィアが「こほんっ」と咳き込む。
「あ…こんにちは。ヴァン・レイディアです。あなたは?」
「ソフィア・パクトです。ノアさんの仮保護者です。」
「仮保護者?」
「特別依頼で、保護者から守るように言われていますので。」
「なるほど…でも、9歳で特別依頼は危険ですね。大丈夫ですか?」
「9歳でも、ランクAの冒険者です。しかも、魔法使いは近距離戦をしないはずなので、大丈夫です。あなたも特別依頼で、セラシア国に?」
「いや。神聖魔術の加護を返しにだ。」
「なるほど。」
ノア(神聖魔術…ね)
話していると、遠くから「おーい!ヴァン!」と声がした。
走ってきたのは、ヴァンのパーティメンバーであろう男だった。
「はぁはぁ…つか…疲れた…」
「大丈夫かぁ?」
「"大丈夫かぁ?"じゃねぇ!俺を置いて行くな!」
「すまんすまん…でも、置いて行ったから2人が救えた。いいじゃないか!」
「まったく…お2人は大丈夫です?この馬鹿、ちゃんと守りました?」
「だ、大丈夫ですよ。かっこよかったです…」
ノアは男が、とても早いスピードでここまで来たのが、怖かった。
「あ、そうだ!俺は"ライン・ソワード"。お2人、名前は?」
「私はノア・フェレアです。」
「ソフィア・パクトです。」
「ノアさん?!戦闘大会、すごかったですよ!ソフィアさんなんて、冒険者ギルド総括マスターの右腕で有名じゃないすか!ヴァン、どういうことだ?」
「たまたま盗賊に襲われてたんだよ。2人もセラシア国に行くらしい。みんなで行こう!」
ノアとソフィアは、ヴァンとラインの提案で近道を使うことにした。
「ここを通ると、すぐなんだ。」
"入るな!危険!!"
ヴァンは、明らかに忠告されている洞窟の前に来た。
「ここ、入っちゃダメですよね。書いてありますよね。」
ソフィアはヴァンに指摘した。
「俺はいつも、ここから入ってるんだ!大丈夫!ほら、ノア行こ〜!」
「へ?」
びゅーーんっ
ヴァンがノアの手を引いて、奥へと進んでいく。
「ノアさん!」
「あの馬鹿!」
ソフィアとラインも、後を追う。
「ノアは特別依頼だよなぁ!魔王は強いから、ちゃんと準備しないとだ!俺も苦戦したし…」
「速い!速すぎです!」
「あぁ、すまん…」
「うわっ!」
ヴァンはノアを抱きかかえて、話を続ける。
「ノアは魔法で支援だろう?」
「はいぃ…一応。まだ部隊に合流してないので、はっきりとはわかりませんが…というか、魔王との戦闘経験があるんですか?」
「フフーン!よく聞いてくれた!」
ヴァンは、「待ってました!」とばかりに話し出す。
「今はもう、新たな魔王が君臨しているが、1度魔王を討伐したんだ!すごいだろう?」
「すごいです!どうやったんですか?」
「ズバッと斬る!これに限るな!」
「そうですか…」
「で、でもノアは、ズバッと斬る奴全員を支援できる!それは、討伐できる可能性を上げることだ!自信持って!」
しょんぼりするノアを、ヴァンは励ます。
「待ってください!!」
「おい!ヴァン!置いてくな!!」
後ろから、ソフィアとラインが呼び止める。
「え?なんだって?」
「"待ってください"と言ってますね。」
「なるほど…だが、ここら辺に…」
バンッ!
ヴァンが止まろうと思った時には、癖で壁を蹴り壊していた。
「……」
壁の奥には、多くの人がいた。真っ白な宮殿のようで、いかにも神様がいそうである。
人々は、ノアとヴァンに注目している。
「ヴァーン!」
「ノアさーん!」
ソフィアとラインも合流する。
「ノアさん!怪我はありませんか?」
「大丈夫ですよ。ひっ!」
ノアは視線を感じた。振り向くと、怒りのオーラ包まれている男がいた。尋常ではないほど魔力量が多く、怖い笑顔を浮かべていた。
目が合うと、その男は歩いてこちらに来る。
シュンッ
(消えた!)と思ったが、もう遅い。その男はノアとヴァンの目の前にいた。"テレポート"で一瞬だった。
怒りのオーラは消えていた。
(気のせい…?)
「ねぇ?ヴァン君は、なぜノアを抱きかかえているの?」
「え?」
「下ろしてあげなよ。高いの怖いだろう?」
「あ、はい…」
ヴァンは、何かに恐怖したように、ノアをそっと下ろした。
「うんうん。いい子だね…」
男は、ヴァンの肩をポンポンと叩く。そして、ボソッと呟いた。
「僕は君より偉いんだぁ。だから、僕の言うことは絶対服従。もし、指1本触れてみろ。殺すからな?」
カタカタカタカタカタ…
ヴァンは恐怖で震える。
「やあ!僕は冒険者ギルド総括マスターの"レイ・アストロ"。ノア・フェレアさんだよね!待っていたよ。これからよろしくね。」
「はい…よろしくお願いします…」
レイは、ノアに無理やり握手をする。レイの笑顔はとても優しく、先程の圧は感じられない。
「で、ソフィアは役に立ったかな?」
レイはソフィアの顔を覗き込む。ソフィアの顔が強ばる。
「し、しっかりと守ってくれましたし、優しく教えてくれました。」
レイはノアを見る。
「……そう!なら良かった!それじゃ、作戦を教えよう!ノアさん、こっち。ソフィアも来て。」
「はい…」
ソフィアは暗い返事をする。ヴァンたちは心配でついてこようとする。だが、レイが振り向く。
「君たちは、加護を返しに来たんでしょ?早く行きな。こっちじゃない。」
そう言って、レイはノアの手を引く。
ノア(怖い…何この人…)
「ノアさんはここの席ね。」
冒険者が集まる部屋に連れてこられたノアは、1人だけふわふわの椅子に座らされる。
他の冒険者たちは知らないフリをする。
「さ!みんな集まったね!では…」
レイの雰囲気が一気に変わる。
「これより、第127回魔王討伐依頼に関する作戦を伝える。資料を見てくれ。」
ノアに配られていた資料には、"A"と書かれていた。
「これは、なんですか?」
(アストロさんはどういう人なんだ?…人間嫌だな…みんなが怖く見えてきた…)
ノアは、怖いレイには聞けないため、ソフィアに聞く。
「今回の作戦は、A〜Dの4つの部隊で編成されているんです。ノアさんのAは、近距離戦闘部隊です。」
「なるほど…」
(ソフィアさんが神に見える…!ソフィア様…)
レイが説明を始める。
「まず、今回の魔王は神聖魔術を得意とする。名を"ルシファー"だ。神聖魔術はとても強力で、近距離でも遠距離でも危険だ。そこで、今回の作戦は短期間の近距離戦。
部隊Aは近距離戦闘部隊。剣士たちと共に行動する。魔法使いの僕とノアに治癒を頼むと良い。
次、部隊Bは…」
その後も作戦会議は続き、ノアは寝てしまった。
「…これで作戦は以上。質問とかあったら僕に伝えてくれ。じゃ、2週間後に。」
レイは話し終えると、絶対近づくなよオーラを出した。
「ノアは寝ちゃったかな?」
「はい。少し話が長いようだったので。長旅で、疲れもあるのでしょう。」
「なるほどね…僕の部屋に案内しよう!」
「はい。」
レイは、ノアを抱きかかえて歩き出す。
「ノアもきっと気に入るよね!たくさんの魔法書に囲まれた部屋なんてさ!」
「ルカさんの持っていない魔法書を選んだんですか?」
「もちろん!あいつと被ったら、ノアがつまんなくなっちゃうでしょ?」
「それは良かったです。ですが、大好きオーラは控えた方がいいかと。」
「え!なんで?」
「手紙を見て、引いていました。もっと自然に接した方がいいです。」
「ちぇーっ」
部屋に着き、レイはノアをベッドに寝かせる。
「うふふ!かぁわいい!」
「そうですね。」
レイはノアを優しく撫でる。
「さっきの奴、ヴァン・レイディアだよな?」
「はい。盗賊から救っていただきました。」
「お前がいたのにか?」
「私たちが対処する前に、勝手に救ってきたんです。何やら、急いでいるようにも見えましたが。」
「ふぅーん…礼を言わなきゃなぁ?あいつ、クソ野郎だから。」
レイは殺気を出しながら言った。
「……はい。」
「まだ危険はないだろうが、ヴァンを警戒しとけ。」
「はぁ…」
「なんだ?」
「いえ。過保護だな…と。警戒はしておきます。」
「頼むぞ。僕はこれから出かけるから。明日の夜には帰る。案内や、国のことを説明してあげて。」
「わかりました。ルカさんに、会いに行ってあげた方がいいですよ。」
「なぜ?」
「……会いたがってました。」
「そう。」
レイは部屋を出る。ノアはすやすやと寝ている。
ー翌朝ー
「ノアさん!起きてください。」
「あ…ソフィアさん。おはようございます。」
「おはようございます。疲れているのはわかりますが、流石に寝すぎです。今日はセラシア国を案内します。準備を。」
「はい。…アストロさんは?」
「仕事です。明日も帰れないらしいですので、気にしないでください。」
「わかりました。」
ノアは少しホッとした。昨日のレイは終始、黒い魔力が漏れていた。
ノアは部屋を見渡した。
「この魔法書は…!」
ノアは魔法書に飛びつく。
「あ!これは!…こっちも?…あれも!」
ノアは魔法書をパラパラめくる。
「やっぱり、探してた魔法書!んふふ!」
「…急いでください。」
「あ…」
ノアは準備を終えて、部屋を出た。
「すみません…」
「大丈夫です。とりあえず、朝食にしましょう。」
「なんか、前にも似たようなやり取り、ありましたよね…」
「そうでしょうか?」
食堂で朝食を食べ、宮殿のような建物から出る。街を散策しながら、たくさんのことを教える。
「セラシア国は、信教国です。見ての通り、信者が住んでいるので、修道士や修道女が多いです。」
「確かに。国中が白いのは、何か関係してるんですか?」
「この国で白とは、神の色なんです。」
「神の色ですか?」
「はい。白とは、どのような色でしょうか。」
ノアは考える。
(白…他の色を混ぜたら、その色に染まる…)
「他の色に染まる色…どんな色にでもなる色ですかね。」
「そうですね。逆に言えば、どんな色にも干渉できる色です。」
「…?」
ノアは理解が追いつかない。
「全てに関係している。という意味が込められています。」
「っ!」
「白=神。つまり、物事の全てに神が関係している。と考えられているんです。」
「なるほど…理解しました!」
一通りの説明を終えて、宮殿のような建物に戻ってきた。そして、ノアは気になっていたことを聞く。
「あの、この建物は何ですか?」
「これは、世界最大級の教会です。国王である大司教様も住んでいます。教会兼、王宮といったところですね。」
「だから、こんなに大きいんですね…」
「はい。ですが、大きさには別の理由があります。」
「別の理由?」
「神聖魔術のためです。図書館に行く方が早そうですね。」
ノアとソフィアは、"神聖魔術のすすめ"という本を2人で覗き込む。
―魔術。それは古くから伝わる、法則的な超常現象。
利用には神への信仰を必須とし、決まったこと以外の応用利用は不可能とされている。
また、魔族や魔王などを倒す効果もある。そのため古来より、神から人への贈り物とされている。ー
「このように、魔法とは別の現象ですね。」
("応用利用は不可能"…ねぇ)
「どうすれば、使えるようになるんですか?」
「使えるようになりたいんですか…?」
「はい。とっても!」
ソフィアは少しふらつく。
「わかりました。では、まずノアさんに問います。」
「はい!」
「あなたは"神"を信じますか?」
「…………はい。」
(何ですか?今の間は!)
ソフィアは、知っていた。ノアの反応を。嘘でもつくだろうと。
(あの人も同じでしたね…)
最後まで読んでいただきありがとうございます
20話、お楽しみに




