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15話 旅の前は忙しいっ!

「ノア!起きてくれ!」

「…ん〜?なんですか?」


 ルカが慌てて起こしにきた。


「今日は旅に出る日だろう。ギルド職員が来てくれてるから、早く起きてくれ!」

「はぁい…」


 ノアは目をこすって起き上がる。段々と目が覚めてきて、事の深刻さに気づく。


「はっ!やばいです!ちょっと、部屋出てください!着替えますから!」

「お、おう…」


 ノアはルカを部屋から押し出して、着替え始める。


(昨日、遅くまで起きてたから、寝坊しちゃった…)



〜昨日〜

 ノアの部屋から、賑やかな話し声が聞こえてくる。

「この服と、このバッグ…うん!完璧でしょう!」

「似合ってますわね!」

「こんな感じで合ってるんですか?」


 ノアは女性陣エースたちに囲まれていた。旅に出るためのコーデを決めていた。


「魔法使いらしい格好でいいんですが…」

「だめ!ノアは可愛いんだもん!ミニスカートも似合うわね!」


 ノアは服に興味がないため、正直いつも通りのロングスカートがいいと思っている。


「私たちができるのは、こういうことくらい。ちゃんと受けとってよね〜♪」

「今思ったんですけど、なんでミリアさんはこっちなんですか?」

「こっち?」

「だって、ミリアさんって男の子ですよね?」


 女性陣エースたちは一斉に笑い出す。


「あははは!ノア、私は女の子だよ?」

「…え?」


 ノアが困惑していると、他の女性陣が言い出す。


「ノアはミリア先輩を男の子だと思ってたのね!」

「うふふ!確かに、ミリアは少し男っぽい所がありますが、女の子ですよ〜」

「ノアはずっと勘違いしていたんですわね!」


ガチャ


「誰だろ?」


 ドアが開いたのと同時に、レオンハートがドアに向かって走る。入ってきたのは男性陣エースたちだった。


ルシル「できたよ!」

カイン「僕たちからのプレゼントだ!」

エルヴィ「間に合って良かったですよ〜」

セレディ「旅に持って行ってくれないかな?」


 セレディが小さなポーチを手渡す。


「これ、ポーチですか?ありがとうございます!」

「ただのポーチじゃないよ?杖、借りるね。」


 セレディは、ノアの杖をポーチの中に入れようとする。杖の長さから、ポーチに入るわけがないと思ったが、


「えぇ!?」

「すごいだろう?ポーチの素材は、僕たちが討伐したビックスパイダーの糸が使われてるから、とても頑丈だ!空間拡張を施してるから、ランダムエッグ10個は余裕で入れられる!」

「すごいです!これ1つで旅の物が全部入れられますね!ありがとうございます!」


 ノアはポーチを受け取って、嬉しそうにしている。それを見たミリアたち、女性陣がノアの腕を引く。


「たくさん入るなら、もっと服を持っていけるね!行こ!」

「え…?」


 それから1日中、ノアは学院都市の服屋を連れ回された。


 ー冒頭に戻るー


ガチャ


「お待たせしました!」

「待たされました。…行くぞ!」


 ノアは、スタスタと歩くルカについて行く。学院長室に入ると、ヴァルロスはギルド職員と話していた。何やら、揉めているらしい。


「ノアさんは本当に、魔法使いギルドでAランクなんですか?まだ9歳なんですよねぇ?」

「本当の事です。最初はCランクでしたが、1度ダンジョン研修でエースたちと、たくさんの魔物を討伐した記録があります。」

「エースたちが狩ったのでは?」

「ノアの実力です…!」


 地上から来たのは、2人のギルド職員。男の方が、ノアのランクに疑念を抱いていた。


「ヴァルー!ノア連れてきたぞー」

「おお!やっとか。こちらの少女が、ノア・フェレアです。」


 男のギルド職員は、品定めするように見ると手を出し、握手をする。


「ルミスティア国のギルドマスター、"ガキン・チョキライ"だ。よろしく。」

「ノア・フェレアです…よ、よろしくお願いします。」


 ガキンは笑顔を浮かべているが、わかりやすい作り笑顔だった。嫌味ったらしく言う。


「9歳で、魔法使いギルドでのランクはA。…すごいですねぇ。」

「え?ランクAだったんですか?」

「…知らなかったんですか?」

「はい。ランクが上がるとは知らず…」


 ガキンは驚いた。ヴァルロスから話は聞いているはずなのに、ランクを上げることも眼中にないノアに驚いたのだ。


「まあ、いいです…早速、テストをしましょう。ソフィア、準備してくれ。」

「はい。こちらへどうぞ。」


 ソフィアはノアたちを大練習場に案内した。


「今回のテストで、試験官を務めます。"ソフィア・パクト"です。よろしくお願いします。」

「はい…よろしくお願いします。」


 ソフィアはとても丁寧に説明を始めた。


「こちらにある、ランクAの魔物"ファイアーバード"を討伐していただきます。」

「わかりました。属性は、何でもいいんですか?」

「はい。属性は問いません。威力は、この地下空間が壊れない程度までなら、どのくらいでもいいですよ。」

「はい。わかりました。」

「ご武運を。では、テスト…開始!」


 ノアは杖を取り出し、軽やかに振った。

 ヴァルロスたちと観戦室から見ていたガキンは、驚いて目を丸くしている。


「あれは、なんですか?」

「ノアとエースたちが復活させた無詠唱魔法です。あの杖が媒介となり、空中に魔法式を書いて発動できます。」

「そんなこと、9歳の少女にできるんでしょうか?」


 ガキンの言葉に少しイラつきながらも、ヴァルロスは冷静に「できますよ…」と言った。


「俺らの生徒たちが、優秀じゃない…と?一応、ノアはエースたち全員に勝てる実力があるんですがー?」

「ひっ…!」


 ルカは殺気に満ちていた。氷の剣をガキンの首元に当てている。


「おい!そんなに魔法を使ったら、体に支障が出る!」

「へいへい……ったく、老いるのは嫌だね…」


 ヴァルロスに叱られたルカが、ボソッと言った。

 大練習場では、ファイアーバードが水に包まれ、溺れそうになっていた。


「鳥は燃えてたらダメですよ?とり焼きになっちゃいます!」


 火を失ったファイアーバードは、もう戦えない。


「ソフィアさん、もういいですよね?戦闘不能状態です。」


 苦しそうにしているファイアーバードを指さす。


「いえ。ダメです。テストは、"討伐"です。戦闘不能ではありません。」


 ノアは、極力討伐はしないで生きてきた。ダンジョン研修でも、トドメはエースたちにしてもらっていた。そのため、苦しんでいるファイアーバードを殺すことは、気が進まない。


「…はい。」


 ノアが杖を振ると、ファイアーバードの大きな頭が地面に落ちる。


「テストは合格です。ランクを決めますので、中に戻りましょう。」


 ノアはファイアーバードの前で立ち尽くし、深々と頭を下げる。


「ごめんなさい…」


 ソフィアに連れられて、ノアたちは学院長室に戻ってきた。ノアは俯き気味で静かに座る。


「今回のテストから、私はノアさんをランクBに推薦します。また、魔法使いギルドのランクAの評価も含んで、ノアさんの総合的なランクはAになります。」

「Aか!すげぇよ。よくやったな!」

「はい…ありがとうございます。」


 元気の無さそうなノアを見たソフィアは話し出す。


「ノアさん。冒険者とは、命懸けの職業なんです。殺すのは可哀想、魔物と仲良くなればいい。なんて甘ったれたことは言ってられません。」

「はい。すみません…」

「ですが、ノアさんの優しさは大事です。」

「え…」

「命と向き合える人は、強い人なんです。あなたは、嫌だと思ってもファイアーバードの討伐をした。つまり、命と向き合って決断をしたんです。よくできました。」


 ソフィアはノアを褒めた。頭を撫で、話し続ける。


「魔物に対して優しくするのはいいことですが、私たち冒険者は国民や市民の命、自分の命も守らなければなりません。冒険者とは、魔物を殺すことが必要な職業です。あなたは耐えられますか?」

「…仕事なら、仕方ないことです。やったことがないわけではありません。」

「なるほど。では、ギルドカードを作りましょう。必要な書類は頂いてますので、ノアさんはこのカードに指を当ててください。」


 ソフィアは素早く切り替えて、ノアにカードを差し出す。銀製のカードには、指のマークが窪んでいて、中央に小さな針がある。

 ノアは針を指に刺す形で、窪みに指をフィットさせた。血が流れ、窪みに溜まった。指を離すと、針が無くなっていた。カードに血が染み込み、まるで血判をしたようになっていた。


「これでカードは完成です。このギルドカードは、銀行のカードでもあるので、ギルドに持っていけば貯金、預金ができます。魔法使いギルドでも使えるようになっているので、どちらのギルドの依頼も受けていただいて構いません。質問はありますか?」

「私、銀行口座って持ってないんですけど…」


 ソフィアはヴァルロスとルカを睨んだ。


「あの2人から聞いてないんですか。」

「何をですか?」

「はぁ」


 ソフィアはため息をついた。


「ノアさん。あなたは既に銀行口座を持っています。ついでに、世界共通通貨で金貨500枚程がすでにありますね。ざっと、500万円ですね。」

「ご、500万円!?どこからのですか?」


 ソフィアはヴァルロスとルカを睨みながら言う。


「ノアさんの取った特許のせいですね。あの特許は、無詠唱魔法を教えるために、教科書や魔法書に記載されます。誰が復活させたのかが。その際に、お金が発生するのです。」

「なるほど…」

「そして、この学院では新学期から無詠唱魔法を教えるために、教科書に書かれたんでしょう。」

「それで、500万円…」

「はい。」


 ノアはチラリとヴァルロスとルカの方を見た。2人はテヘペロな顔をしている。


「カードの説明は、これくらいです。ギルドの話は"上"に戻ってからしましょう。」

「上?」

「地上です。行きましょう。」


バンッ!


 2人が立ち上がろうとすると、ガキンが急にテーブルを叩く。


「なんでしょうか、ガキンさん?」

「なぜ、ノアさんがランクAになることで、話がまとまっているんだい?」

「はい?」

「私が!了承してないでしょう!」


 ガキンは怒って声を荒げる。


「あら、先程ルカさんにしばかれていたので、了承しているのだと思っていました。」

「しばっ?!しばかれていない!あそこの子供よりも、私の方が強い!私はランクAの中でもAAに近いAだ!」

「ギルドマスターの肩書きだけじゃ、満足できないと?」

「おい!ノア!私と勝負だ…」


 ノアは状況がよくわかっていない。


「ヴァルロス学院長、大練習場をお借りしますね。」

「いいですが…彼は怪我じゃすみませんよ、ソフィアさん。」

「いいんです。そろそろ私が、ムカついてきたところなので。」


(ソフィアもキレることがあるのか…)

「なるほど…」


 大練習場に戻ってきたノアは、ガキンと向かい合って立つ。


「どちらかが降参を宣言した場合を負けとします。…または戦闘不能状態。では…開始!」


「"フレ"…」 ヒュンッ


 ガキンが詠唱すると同時に、火の矢が頬を掠めた。


(なんなんだ…はっ!無詠唱を使えると言っ…)

バンッ! 「うわっ!」


 足元で水蒸気爆発が起き、避ける。


ボワァァァ! 「うっ!…」


 体勢が崩れたところに、黒い火の矢が飛んできて、ガキンの右腕を燃やす。


「うわぁぁぁぁぁ!ギブギブッ!」

「勝者、ノアさん。では、行きましょう。荷物をまとめてきてください。」

「え…はい。」


 ソフィアはガキンを置いて大練習場を出た。

 ノアは部屋に戻って、昨日用意した荷物をまとめて大広間に行った。


「お待たせしました…」

「荷物、少ないですね。」

「エースの方々が作ってくれたポーチのおかげです。空間拡張が施されているので、荷物が格段に少なくなります。」

「すごいですね。少し見せてください。」


 ソフィアはポーチを受け取ると、夢中で観察を始めた。

 10分ほど経ってから


「あの…ソフィアさん?」

「はっ!すみません…行きましょう。あ!ガキンさんは、後で送ってください。」


 2人は、大広間にある、地上マークの上に立つ。風が起こって上へと上がっていく。


「ノアー!」


 ノアは下を見る。


「皆さん!?どうして?」

「私たちに黙って出発〜?酷いよ!」


 ミリアが怖い笑顔で聞いてくる。


「呼ぶつもりだったんですけど…なんか、流れで?」

「…流れ?」

「はい。流れ。」

「流れ…まあ、ノア!頑張って!」

エースたち「頑張れ!ノア!」


 エースたちは、昨日もたくさん言った応援の言葉を投げてくれた。ノアは、涙を堪える。


「はい!絶対に帰ってきますから!あ!オムケルをよろしくお願いします!!」


 エースたちは、もう小さくなってしまった。だが、最後まで手を振り続けてくれた。

 地上に着くと、急に足が地面についた。目の前には扉がある。


「グスッ…」


 ソフィアは少し涙目になっていた。


「ソフィアさん?」

「いや、なんかいいなと。では、行きましょう。」


 扉を開けると、1年9ヶ月ぶりの太陽がノアを照らした。


「眩しいです。」

「そうですね。仕方ないですよ。さあ、冒険者ギルドに行きましょう。」

「はい!」


 扉から少し歩くと、街の小道に入った。小道を抜けると、多くの人が行き交う大きな道に出た。


「ようこそ。フルーツの街"フルート"へ。急ぐので、着いてきてください。」

「は、はい!」


 ソフィアは歩くスピードが速く、ついて行くのが大変だった。


「泊まる場所の手配はしてあります。長くて2ヶ月までです。後で案内します。街の案内は、ギルドの説明をしてからゆっくりしましょう。」

「ありがとうございます!あの…」

「なんですか?」

「その…どうして、ここまで丁寧に対応してくれるんですか…?」

「それは、後でお話しましょう。ところで、着きましたよ。」


 冒険者ギルドに着き、ソフィアは思い切りドアを開ける。


「冒険者ギルドへようこそ。ノアさん。」


 入ると、多くの冒険者がいた。ソロもいればパーティもいる。ほとんどがパーティで、仲間と話したり食事をしている。


「では、会議室に行きましょう。そこで説明します。」

「あ、はい!」


 人の多さにビビっていると、ソフィアが案内を始めた。

 会議室に着いて、2人は向かい合う形で座る。


「では、冒険者ギルドの説明を始めます。わからないことがあれば、その都度言ってください。」

「はい。」

「大きく分けて3つのことについて話します。まず1つ目がランク分けです。冒険者ギルドのランクは下から、

D・C・CC・B・BB・A・AA・S・SSの9つ。

大体の冒険者はC〜Bですね。

2つ目に、依頼について。まず、依頼を受けるには評判を良くしましょう。」


 ノアは不思議に思った。クララから、

『冒険者はみんな金のために動くやつばかりです。』

と聞いていたからだ。


「なぜですか?」

「ここ5年程で変わってきたことです。元は"冒険者が依頼を選ぶ"のが一般的でしたが、5年前から"依頼者が冒険者を選ぶ"形式に変わったんです。

なので、評判が良ければ多くの依頼が舞い込んできます。」

「なるほど…」


 ソフィアによると、この形式に変えたところ、冒険者絡みの事件が減り、多くの街の治安が良くなったという。


「最後に、特別依頼についてです。ランクA〜SSの冒険者は、強制的に参加させられます。特別依頼というのは、国の魔王討伐隊と一緒に魔王を討伐する依頼です。」

「!」

(魔王が倒せる!)


 ノアは身を乗り出して話を聞く。


「ノアさんは、魔王への復讐のために旅をするんでしたね。」

「は、はい…」

「ノアさんのランクはA。国から要請があれば、魔王討伐に行く事になります。ですが、魔王など上級魔物には魔法が効きません。どうするんですか?」

「中距離からの支援で、討伐に積極的に参加します…」

「最近、独り言が止まらないんです。」

「?」


 ソフィアが立ち上がる。


「魔法で金属を生成できれば、いいですよね。そういえば、そういうのが得意な方がいるんですよね。しばらくは忙しいですけど、近々、特別依頼があるかもしれないので、会えるかもしれないですねー。」


 ソフィアが何事もなかったかのように座った。


「ありがとうございます…!」

「なんの事ですか?まあいいです。質問は?」

「ありません。」

「では、街案内に行きましょう。」

「あ!ここまで丁寧に対応してくれる理由って、なんですか?」


 ソフィアは、一通の手紙をノアに渡す。


「少し怖いかもしれませんが、読んでいただければわかります。」

「はあ…?ありがとうございます…」



ー優秀なソフィアくんへ

学院からのお手紙は読んだ?

ノアちゃんの冒険者登録をして欲しいんだ。

迎えに行って、そのまま街案内もしてあげてね!

本当は僕が行ってあげたいんだけど、忙しくて行けそうにないから、君がしっかりと見守ってね。

怪我とかさせたら、ダメだからね?

宿も取ってあげてね?

早くノアちゃんに会いたいよー!

頼むよ?まじ、責任もってこの仕事してね!


P.S.とても優秀な子だし、君と気が合うと思うよ!

 君の上司レイよりー



「こ、これは…?」

「冒険者ギルド総括マスター"レイ・アストロ"から、私への手紙になります。いつもモサモサしてる彼がこれほどノリノリなのは、初めてなんですよ…怖いですよね。」


(モサモサ…?)

「ま、まあ。その…ソフィアは頑張ってるんですね…」

「……はい。ギルマスの命令なので、丁寧だったんです。怒ると怖いので…」

「「……」」


 2人の間に沈黙が続く。先に沈黙を破ったのは、ノアだった。


「街の案内、頼みます…」

「はい…では、こちらへどうぞ。」


 2人はギルドを出て、街を歩く。魔法のことなどを話しながら進む。


「大体の冒険者は、街を転々とします。街は、その国や地域特有の物で栄えている場合が多いです。」

「ここは、やっぱりフルーツですよね。」


 街中にある果物屋が物語っている。


「はい。ここにはあまりありませんが、行った街でのマナーも、過ごす中で学ばなければなりません…ノアさんはどこでも、やっていけそうですね。」

「私、人見知りなので不安です…」


 街案内が終わったのは、夜になってからだった。2人は、ソフィアがオススメするレストランで夕食を食べ、ノアの宿に行く。


(ノアさん、ずっと緊張してましたね…やっぱり、私って怖いでしょうか?)

「こちらが宿になります。私はこれで。」

「は、はい。」


 ソフィアはその場を去ろうとする。


「あ、あの!」


 ノアに呼び止められ、ソフィアは振り向く。


「なんでしょうか。」

「1日、ありがとうございました!おやすみなさいっ!」

「!」

(か、かわい、ぃ…)


 ノアはとびきりの笑顔でお礼を言った。ソフィアは、全く笑顔を見せなかったノアの笑顔に驚きを隠そうと俯く。

(ギルマスに見せてはいけない…)

 ソフィアは顔を上げ、早歩きでノアの元に戻る。


「な…なんでしょう?」

「ギルマスの前で、その笑顔はダメですからね。」

「え?あ、はい…」

「…明日、お迎えに行きます。初依頼に同行させていただきますので。」

「わ、わかりました。ありがとうございます…」

「……おやすみなさい。」

「はい!おやすみなさい!」


 ソフィアは、なかなか言わない"おやすみ"という言葉が少し恥ずかしくなった。

最後まで読んでいただきありがとうございます

旅編が始まりました

16話、お楽しみに

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