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無職のおっさん、幼女にTSして後日談  作者: 芥部


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後日談8 チケンの帰省


 俺は困惑していた。

 俺は関東某県に一人で帰省しにきたはずだった。それなのに何故俺の祖父母の家の前におタヒとグリセルダ、平岡さんがいるのだろう。


「チケン、私を置いていこうなんて許さないわよ!」

「うむ、勝手に出歩くのは困るぞ。我らの供がお前の仕事であろう?」

「チケンくん、ごめんね、ご実家や日本のご家庭を一度見てみたくて……」


 荒ぶるおタヒとグリセルダ、そして困った顔の平岡さん。ある意味、見慣れたメンバーではあるのだが。

 祖父母の家の前には見慣れたワンボックスカーが止められており、そこから出てきたのは高橋だった。


「高橋、お前の仕業かよ!」

「いやあー、しょうがねえだろ。お姫様たちが寂しそうにしてるからよぉ」

「べ、別に寂しくなんかなかったけど! チケンが心配だったのよ!」

「うむ、私たちを放置して外出などというのはな……褒められた話ではないぞ」

「僕はちょっと寂しかったかも」


 平岡さんは素直で可愛いな。残り二人は素直じゃないのが可愛い。三人とも可愛いな。


 俺は残り二人の俺がいれば充分だろうと思って、サクッと帰ってくるつもりで公共の交通機関を乗り継ぎ、地方都市の片隅にある祖父母宅に日帰り帰省するつもりだったのだ。

 どうも残りの俺も高橋がいるからと役所に行ったり各種の用事を消化してたらしい。

 そして、高橋は頼まれるとなんでも安請け合いする男なのである。


「はあ……まあここまできたらしょうがないか」


 と思っていると、玄関先の声を聞きつけてドアが開く。ドアから出てきたのは懐かしい姿のままのばーちゃんだった。


「あらあら、ケンイチいらっしゃい……高橋くんと、どなた?」

「ばーちゃんただいま、えーと、この女の子たちは……」


 俺が口ごもっていると、高橋が適当なことを言う。


「俺の勤め先の外人っす。日本の普通の家が見学したいらしいんですけど、いいっすか?」

「高橋くんのお願いならしょうがないわねえ」

「あざーっす!」


 高橋、地味にばーちゃん受けが良いんだよな。

 高専時代、俺がいない時に遊びに来てよく手伝いをしてたらしい。人の家の手伝いまでしてる当たり、こいつのお人好し度も相当なものだ。


「うむ、高橋氏の紹介で参った、よろしく頼む」

「よろしく頼むわね!」

「お邪魔します……」


 グリセルダとおタヒは堂々と、平岡さんは慎ましやかに挨拶をするとばーちゃんは笑顔で中に迎え入れた。


「あなた、ケンイチと高橋くん達が帰ってきたわよ!」

「おお、高橋くん本当に生きてたのか!」

「ギャハハハ、頭ぶつけて記憶喪失になってたんだよ。最近戻ってきたんだ!」


 そういえばそういう設定だったな……。そして、じーちゃんが疑問そうな顔をしている。気になるよな、謎の美少女達。一人は男だが。


「この子達は高橋くんのガールフレンドなんですって!」

「高橋くんはモテるなあ!」

「ケンイチもこのくらい女の子の友だちがいればねえ」

「ギャハハハ、俺モテすぎてウケる!」


 誤解されているし、グリセルダもおタヒも平岡さんも困惑した顔をしている。だがそんなのを気にするような祖父母ではない。


「せっかくきたんだ、お茶でもどうだい」

「麦茶でいいかしら? 持ってくるわね」


 グリセルダ達は一般住宅の内装が見慣れないのだろう。なんとなく落ち着かない様子で座っていた。


 俺はばーちゃんを手伝うべく台所に向かった。


「ばーちゃん、手伝うよ。麦茶もってけばいい?」

「じゃあお菓子も持っていかないとねえ」

「あ、お菓子持ってきたから一緒に食べよう。ばーちゃん好きだっただろ、バウムクーヘンと羊羹」


 俺は事前に美味しいバウムクーヘンと羊羹を調査し購入していた。

 俺が麦茶を用意してる間にばーちゃんが羊羹とバウムクーヘンを切り分ける。


 二人で台所から出て居間に向かうと何故か居間は大盛り上がりしていた。


「チケン! あなたのお祖父様すごいわね!」

「すごいすごい、上手!」

「うむ、見事な腕前だ」

「ガハハハハ、毎日ゲームしてるからな!」


 じーちゃんと平岡さんがスマ◯ラで戦っていた。

 そう、じーちゃんは俺の祖父だけあってゲームが好きだ。好みも隔世遺伝なのかもしれないな……。じーちゃんはエロゲーとRPG、VR以外は大体やる。

 RPGは時間かかるから面倒くさいのだそうだ。

 スマ◯ラは比較的みんなでワイワイ遊べるのでうちでもよくやるゲームだ。おタヒの不運さがあまり出ないのがいいんだよな。


 スマ◯ラの腕をおタヒと平岡さんに褒められてじーちゃんもまんざらでもない顔をしている。一瞬で二人のハートを掴む当たり侮れないし、羨ましい。

 俺はグリセルダに殺されそうになったりおタヒにキレられたりしながら仲良くなったからな……。



「じーちゃん格ゲーとかはやらねえの、昔好きだったじゃん」

「コンシューマーでやるかPCでやるか決まらなくてなぁ」


 たしかに最近のPCは便利だけどCPUやグラボ悩む箇所も多いし、世代によっては地雷を引くらしいしな……。どっちでやるか、気軽に決められないよなあ。


「お嬢ちゃん達は高橋くんの勤め先の人なのかい?」


 爺ちゃんが画面から目を動かさずに問う。


「そうよ! チケンとも同じよ」


 真っ先に返答したのはおタヒだった。おタヒはどう見ても仕事してるような年齡じゃないだろ。自信たっぷりに返答すんな。


「うむ、そうだ。よく働いてくれている」


 いかにも上役であるかのような発言をしたのはグリセルダである。上背も俺より高いし威厳が有るんだよな、顔に……。


「大変助かってます!」

「まあまあやってると思うぜ」


 平岡さんと高橋が口添えしてくれる。


「新しい会社は大丈夫そうなのか、ケンイチ」

「でかいところの子会社だから大丈夫みたいだよ」

「なんてところだ?」

「ヴェレル・コーポレーション系列なんだってよ」


 一応そういう事になっている。もう実質の支配はテオネリアから送り込まれた人間がしているのだが、看板をかけかえるのも大変なのだ。

 ヴェレルグループは世界の各地に子会社があり、医療系とゲーム会社、そしてエンジニアリングで定評のある会社で非上場だが有名だ。


「ああ、聞いたことあるな。ゲーム会社とか手広くやってるところな」

「そうそう」


 そういうと、平岡さんが少し頬を赤く染めていた。自分の勤め先でもあり自分の名前でもあるものだからな……。


「あそこのゲーム、ばあさんが好きなんだよ」

「えっ、ど、ど、どのゲームを!?」

「ヴェレルソフトのげえむを!?」

「ばーちゃん!?」

「何!?」

「えっ、ケンイチのばあちゃんゲームやるのか!?」


 衝撃の発言だった。

 高橋までびっくりしている。それを見たばーちゃんはニコニコと笑いながら俺達にお菓子を食べるように勧めた。


「うふふ、そうなの。CMで声のいいイケメンを見て気になってたら、おじいちゃんが本体ごと買ってくれたの!」

「そしたらドハマリしたんだよなあ」


 俺達の間に緊張感が走る。

 推しキャラの名前によってはおタヒあたりが発狂するし、キャラによってはグリセルダが曇る。そして平岡さんは顔を真赤にしてうつむいている。


 まさか、身内にヴェレル・ソフトウェアのユーザーが居るとは夢にも思わなかった。

 しかも、ばーちゃんだなんて……。


試験的に週2回更新にしています

月曜日と木曜日の予定です。


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