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クリスマスの夜にかなが俺を訪ねて来るなんて。思いもしなかった。
動揺している俺をしり目にかなが言った。
「ねえねえ知ってる。サンタクロースの服が赤いのはね、実は殺した子供の血を吸ったからなのよ」
それだけ言うと、かなは立ち去った。
サンタクロースの服が赤いのは殺した子供の血を吸ったからだって。
もちろんそんな話は一度も聞いたことがない。
サンタクロースがあの服装なのは、確かコカ・コーラ社が広告のために作ったサンタクロースのキャラクターが始まりのはず。
それが好評で、みながその服装のサンタクロースをあらゆるところで使い始めたために、いつのまにかサンタクロースの服装があの赤い服に統一されたのだ。
どうしてコカ・コーラ社がサンタクロースの服を赤くしたのかは知らないが、子供の血を吸ったからという設定ではないのは間違いないだろう。
かなは去った。
しかしかなのことだからまだ何かあるのかと思っていたが、その夜は何事もなく過ぎた。
翌年の春、俺とかなは二回生になった。
二回生になっても二人の関係は相変わらずで、何の変化も進展もない。
が、かなのほうはその変人ぶりを遺憾なく発揮して、少しずつそして確実に大学内で有名人となっていった。
俺のほうは友人も増えずに彼女もできないままに、その年のクリスマスを迎えた。
そしてその夜、かなが去年のように俺を訪ねてきたのだ。
そして言った。
「私ねえ、サンタクロースになりたいの」
俺は聞いた。
「サンタクロースになりたい。どうして?」
「どうしてって、そんなの決まっているじゃない。あの服よ。あの赤い服、とっても素敵だとは思わない」
俺はサンタクロースの服が素敵だと思ったことはないので、それを正直に言った。
するとかなは目を見開いて俺をしばらく見た後、くるりと背を向け小走りで立ち去った。
俺にはそれは、やけに怒っているように見えた。
やがて年が明けて春になり、俺とかなは三回生になった。
三回生になっても俺の時間は去年や一昨年と同じように過ぎていく。




