P.8-11 討伐までの道のり1―スタート地点―
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10月30日
グレイトフォレスティアの撃退のために死力を尽くすギルド会員たち。
これまでに少ないとは言えない量の命が失われている。
誰もが予想していた状態であり、文句の一つも飛び出しはしない。
しかし、これまでの攻防はギルド会員たちの戦意を削り、失わせるには十分だった。
荒野に聳える森林。動く枝と根が、幾重にも命を刈り取ろうと迫る。
こんな状況では誰もが逃げ出し、助けを求めるだろう。……4人を除いては。
これまでの犠牲者を最小限にするため尽力してきた彼女らと、天から舞い降りた閃光。
彼は自分で、俺は希望の光ではないか? と思っている。
「さあて、やるか!」
ミナト先生ばりの黄色い閃光とともに現れた私ことシンキソウは、開口一番にこう言い放った。
「よろしく」
「援護はするから!」
「がんば~」
近くにいた3人も(基本的には適当な)応援をしてくれている。
俺は自身の身体に流れる魔力を雷属性に変換。そして、解放する。
バチッという音とともに、身体中から電気が迸る。
これこそ、俺がこの戦いで身に付けた固有スキル、«雷纏»だ。
能力は単純。身体中に電気を纏わせた状態を維持する。かつ、その電気で、筋肉を刺激し、限界以上の筋肉を動かすことができる。なんかキルア君のカンムルに似ているが、気付かないフリをしようと思う。
迸る電気は蒼白く輝いている。
臨戦状態となった俺、そして空気をぶち壊すような発言が飛び出す。
「さっきの雷の剣撃の出る技の名前を変えたほうがいいと思う。例えば……エレキッドスラスターとか」
「……わかった」
そう言ったのは、神無月。まぁ確かに、ネーミングセンスないかもね、さっきの!
気を取り直して、前を向く。
巨木が連なり、動いている。グレイトフォレスティアの大きさはハンパじゃない。
しかし、その大きさだからこそ、素早さは高くない。
「いくぜ!」
そう言って、電気を脚に収束させる。
足元が電圧によるものか、土を捲る。
バンッ!
音がした。
とてつもないほどの大きさの。
その音がしたとき、俺はその場にはいなかった。いなくなっていた。
蹴った地面が割れている。俺の姿はなく、光だけが、俺についてくる。
その速度のまま、グレイトフォレスティアに突撃。
その巨体の内部へと侵入する。
巨木や枝に覆われ、隠されていたその巨体の内部。
そこに侵入した俺は、予想通りの光景に、驚きはせず、呆れてしまう。
「まぁ、予想通り過ぎて何も言えねぇな」
その内部は、そとから見えていた枝とは比べ物にならないほどの速さ、大きさのある枝。
侵入を感知したのか、動きの一つ一つが、警戒心を顕にしている。
その光景を目にしたとき、もう既に、腰に帯刀していた双剣の柄に手をかける。
そして、ゆらりとした、鋭さを感じさせる抜刀。
その双剣にも、自らが帯びている電気を与える。
蒼白く剣の刃が輝く。
そして、一閃。双剣を一振り。
その瞬間、太く大きな枝が、次々に切り落とされる。
ただただ速い。それだけの剣撃が、グレイトフォレスティアを切り裂くのだった。
――エレキッドスラスター!
心の中で呟いていた。
しかし、声には出せない。出す暇がない。
幾千もの這いずる枝を切り裂いていく。
切り裂き、再生。切り裂き、再生。
この剣撃が、途切れることなく、二分間以上続いた。
――そして、均衡は崩れる。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。




