P.8-1 会議、そして追跡
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10月30日
俺は異世界に行くことが出来る。
それだけでもかなり特殊。
そして、職業はラノベ作家。
これまた特殊。
まぁ、こんな特殊さ、昨日に比べればどうってことない。
昨日の出来事を簡単に言おう。
異世界で会った初めての同郷の人、神無月咲。俺はコイツをパーティーに加えた。
ここまでは普通。
このあとから問題発生。
俺は現実世界で俺の所属? しているパンドラ文庫の編集部を訪れた俺だが、新人担当編集者を紹介された。
それが神無月咲。
あり得ないような偶然だ。
そして、今、異世界で会議中。
「抜けるとき、エレナになんて言う?」
話し合いの場は、俺の書斎(仮)。
「二人同時は怪しいよね~」
「密会みたいだな……」
俺が思ったことを言ってみると、神無月の顔が……
「あ? ふざけんなよ? そんなん、こっちがお断りだよ、死ね!」
鬼になりました。
普段は穏やかなんですけどね~。
怖いな~。
「まぁエレナの方は保留だ。別にアドリブでも騙せると思う。アイツ、チョロいからな」
「最低な発言だね。キミの人間性を疑うよ……」
怒りの次は呆れですか。
「そこまで酷いことは言ってねぇだろ? 事実だし」
そう、実際のところ、エレナはかなりチョロい。
ちょっと褒めれば浮かれるし、ちょっと低い姿勢で頼めば、雑用をする。
お人好しって感じ。
「……それはキミにだけだよ……」
そうそう、現実世界で再会以来、ソウっちとは呼ばなくなったな。
俺もアダ名考えようかな。
「それなら尚更いいじゃん。なぁ、サッキー?」
今の一瞬では、サッキーしか思い浮かばなかった。
「サッキーはやめろ! アダ名を作るな! 使うな!」
一蹴された。
酷いなぁ。考えたのに。
「まあまあ。それより新メンバーどうする?」
「う~ん、暇そうな奴とか誘ってみる?」
「暇そうな奴って……実力が伴ってる人がいいな~」
強い奴が集まれば依頼をこなすのが楽になるからな。
「そんな人そうそうい……な……!」
神無月が何かを感じたようだ。
目を閉じ、手をつきだし、探っているようだ。
そして、その何かがわかったようで、目を開ける。
「かなり強い魔力を持った人が、家の前を通った。その人をスカウトしない?」
魔力の探知。
俺にも似たようなことが出来るが、目視できる範囲でないと使えない。
いいスキル持ってんな……そう感心するほかない。
「よし、行くか」
「エレナは寝てるみたいだから静かにね」
俺と神無月は、静かに家を出た。
*
まだ朝早いが、通りは人で溢れていた。
こちらには探知があるため、見失いこそしないが、追いつくことができない。
「一度見れば千里眼が使えるんだけどな……」
千里眼が使えたらいいのだが、生憎の人混み。
「なにそれ? キミのスキル?」
「ああ。一度見たものは、どこにあっても見えるっていうスキルなんだけど……見ないと使えないんだよね」
人混みのなかをかき分けて進む。
神無月の様子からして、見失ってはいないようだ。
少し先にちょっとした高台があった。
「ちょっとスピード上げるぜ……」
「勝手にどうぞ」
神無月の声を聞いて、俺は走り始める。
その速さは、控えめにしているので自転車程度。
それでも人混みのなかでは早い。
俺は目指していた高台の上に登る。
神無月がついてきていることを確認し、一言。
「どいつだ!?」
俺には誰がわからない。
だが、見ればわかる。
「そこから2時の方向に5メートルの場所にいる!」
「よし! なら、アイツだな!」
俺は飛んでいた。
跳躍。
俺のステータスの力を使い、5メートルの距離を一跳び。
「ちょっといいですか……って……ほえ?」
俺はおかしな声を出してしまった。
その理由は簡単。
俺が声を掛けた人物。
その人物は、身長150センチ前後、薄紫色の髪、振り向いた顔は童顔。
いわゆる、ロリっ子だ。
「えっと……ロリコンってヤツですか?」
初対面のロリっ子に、ロリコンって言われました。
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