P.7-1 予想しない再会
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10月29日
俺は今、摩天楼の前にいる。
摩天楼というのはもちろん比喩表現だが、恐ろしい建物の前にいることは確か。
そう、パンドラ文庫の編集部のある建物だ。
何故、俺がここにいるのか、それは、1日前に遡る。
*
10月28日
神無月咲をパーティーメンバーに加えた我々は、買ったばかりの新居の豪邸にいた。
「ソウっち、たまには帰らないと~」
こんな一言から、始まった。
「うっ、そうだな……」
俺もこれ以上あっちにいないと、あの鬼に喰われてしまう気がする。
ちなみに、ソウっちという馴れ馴れしい呼び方をしているのは神無月咲だ。
パーティーメンバーになってからこんな感じだ。
「……ソウっちか……いいかもしれない……」
なんてぼやいているのはエレナだ。
俺たちが同郷だと知り、その話で盛り上がっているため、先ほどから会話に入れていない。
「よし! じゃあ明日は帰らせてもらうよ。二人とも、明日は俺抜きで頑張って~」
俺もさすがに帰らねば……という考えを無視できず、俺は久しぶりに現実世界の日本へ帰ることになった。
*
10月29日
絶対神の神鍵を使い、朝一で現実世界へと帰ってきた俺の最初の行動は、スマホの確認だ。
もちろん、編集からの連絡の有無の確認をする。
「うわ……」
俺の目に入ってきた画面の景色は、恐ろしいものだった。
不在着信52件。
俺が異世界にいたのは約2日ほど。
1日に24件は着信があったようだ。
さらに、留守番電話にメッセージが37件。
これは聞かないほうがいいな。
新着メールが驚異の96件。
恐ろしい……。
これは……早く編集部に行かないと……。
そう思った俺は、すぐさま外出の用意をし、家から出た。
だって、これ以上待たせると死にそうだもん……!
*
そして現在。
エレベーターに乗り、俺は4階を目指す。
内心、超恐い。
何も書いてないというのが大半の理由。
どう言い訳すればいいのやら……そんなことを考えていると、4階に到着。
編集部の扉を開け、中に入る。
その扉が、いつもの10倍重く感じた。
「あの~神木ですけど~」
そう呼んでみるやいなや、ダダダと大きな音を立てて走ってくる人物がいた。
俺の担当編集の白夢沙由梨だ。
その顔は、例えるなら、鬼。
「貴様、ふざけたことしよって……」
うわ~怒り心頭って感じだ~。
しかし、本当に驚いたのはそこじゃない。
彼女の態度に、だ。
「まぁいい」
まぁいい、だと!
おかしい……おかしすぎる。
説教がこんな一瞬のはずがない。
そして、個室に入れられる。
面談みたいだな。
「ど、どうしたんですか?」
心配だ。
熱でも出たんじゃないか? そう思ってしまう。
「どうしたもこうしたも、新しく編集部にきた人間がいてな~その人を紹介したいんだよ」
新人の紹介?
そんなもの今までなかったのに……
「紹介なんているんですか?」
「いるもなにも、お前の担当だぞ?」
え?
てことは、編集チェンジ、てこと?
何、超嬉しい。
「おい、入ってきてくれ」
そう言われて入ってきたのは……
「新人の神無月咲で……す……?」
そう、昨日まで異世界にともにいて、パーティーメンバーでもある、神無月咲だった……。
頑張ります。
ありがとうございました。




