表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Himmel Vogel  作者: フラップ
Leerlauf
39/56

ホテル

 「今日は泊まりになる」


 「何故?」


 車に乗り込んだ僕とシノタキ。その問に対する答えは無かったし、彼女の顔は窺えなかった。


 車は緩やかに走り出し、加速した。


 「何で戦うんだろうね」


 車に乗り込んで何時間か経った後、突然彼女は僕に尋ねた。


 「さあ……君は?」


 「さて…………飛びたいから?」


 飛びたいから、戦い、殺し、飛び……。


 「殺したいからかもしれない」


 「そう思ったことが?」


 「……有ったかもしれない」


 「じゃあ、なぜ戦争は無くならないか」


 僕は吹き出した。


 「それが分かれば苦労しない」


 「誰が?」


 「政治家か、設計士か、軍人か……」


 「…………」


 「オーバーフローしているのかもしれない」


 「オーバーフロー?」


 「そう。つまり、組織的な殺し合いは人口を増やしすぎないための生存本能なんだ」


 「?」


 「こう考えることはできないかな。もう既に人間は多すぎる」


 「それで?」


 「多すぎると、バランスが崩れて滅んでしまう。オーバーフローしてしまう」


 「だから、人口を抑制する」


 「殺しあって、数を減らす。人間はもうとっくのとうに限界を超えていて、あとは緩やかに破滅へと向かう、とも考えられるね」


 「物騒」


 僕はまた吹き出した。


 「人を殺しているのに?」


 「私たちが墜としているのは、敵機」


 「相手が生きようが死のうが関係ない、と」


 「そう」


 「自分も例外ではない」


 「そう。いつか死ぬ。死に場所も、時も、状況も選べない」


 「だから飛ぶのかもしれない」


 「あぁ、そこに戻るんだ」


 道は緩やかに曲がる。


 「このままハンドルを逆に切れば、死に場所も、時も、状況も選べる」


 「そうだね」


 それ以降、会話は無かった。


 車は走り続け、何か食べに行く、といったのにドライブスルーで終わらせてしまった。


 たまたま見えたホテルに入り、チェックインする。


 「どうする?」


 「何を?」


 「部屋を」


 「別にすれば…………」


 「一部屋しかない」


 「……」


 「私は……」


 「?」


 「私は、気にならない」


 結局、部屋に入ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ