デブリ
着陸した後は今までの鳳流が他へ回された事を除いていつも通り。
他に回されるのかもしれない。少なくともスクラップになることは無いだろう。
今は防衛戦力が惜しい。航空予備兵の補充を急いでるからな。
鳳流は翼面荷重が小さい。戦爆《戦闘爆撃機》に改造できる。
鳳流をキリタに任せ、談話室に入る。
ソファに座り、今日のフライトをなぞる。エンジンを回し、カタパルトに。今日は追い風だった。
上の方に光が見えた。一瞬で大きくなり、外へと射出。脚を上げ、フラップを引き込む。
エンジン音が聴こえる。
振動を感じる。
水平線が見える。
あの感覚は凄かった。フルラテラル・スティックロールは鋭かった。カタパルトを飛び出す時には最低失速速度をとうに超えていた。
軽かった。
僅かに傾けただけで機敏に反応するエルロン。
真横を向きそうなほど横に滑るラダー。
コブラさえ出来そうなエレベータ。
制動性能も余裕があった。
只エンジンのレスポンスが良くなかった。強化し続けた結果気難しいエンジンになったのだ。
風に煽られる。軽戦の弱点だ。
息を吐いて、ソファから立ち上がる。フライトジャケットを脱ぐ。
部屋に戻ろう。昨日は寝ていない。眠くはないが寝ないと後に響く。仮眠を取っておこう。
操縦桿をイメージして歩く。地上では三次元機動ができないのが残念だ。
ドアを開ける。独特の匂い。
ジャケットを放り投げ、そのままベッドに倒れこむ。意外と疲れていたらしい。
目を瞑って鼓動を数える。いつか止まる、その鐘を。
息を吐く。脳裏をよぎったシノタキのことを振り払い、僕は眠りについた。




