合同誕生日パーティーって言い方がやだ
サエに、ゲーム内の元カレの話や、
恋愛に積極的になれない話を聞き、
意気消沈する凰太。
凰太の恋心は果たして……?
◯登場人物
凰太
39歳
ゲーマー。兵庫県神戸市に住む。
さーちゃん、サエ
?歳 バツイチ子持ち
香川県に住む。元は神戸市に住んでいたらしい。
俺はさーちゃんに恋をしていた。
でも、さーちゃんは俺の気持ちを知ってか知らずか、ゲーム内で付き合っていた元カレの話とか、もう恋なんてしたくないとか、そういうことばかり。
まだ会ったこともないさーちゃんのために、完全に自分でもアホだと思うんだけど、俺はさーちゃんの最後の恋人になれるように、色々と考えることにした。
まだ全ては聞いてないし、数ヶ月のやり取りではもちろん、何もかもわかっているわけではない。
というか。そもそもメールと通話だけで、会ってもいない! おいおい。最近流行りのオンラインカップルかよ。流行ってるのかどうかもわからんけど。
いや、オンラインだろうがオフラインだろうが、そんなことは重要じゃない。俺はさーちゃんを、もう悲しませたくないのだ。
ずっとゲームばかりで、どうでもいい話で笑いあって、リアルから目を背ける。あ、俺のことだよなそれ……いやいや、そうじゃなくて。俺は現実のさーちゃんに幸せになってほしいの! そのために俺が頑張るんだよ。
俺ってこんなタイプだったっけ……そういや、学生の時もずーっとオタクだったから、ゲームばっか、漫画とアニメばっか。
社会人になって、接客業を始めてから、少しは人と関わることができるようになったものの、いまだに大勢のところは苦手だし。むしろ人間よりも動物とか花のほうが好きだ。
もしかしたら、この恋心も一時の感情なのかもしれない。でも……こんなキッカケかもしれないけど。ゲーム内での偶然からのキッカケかもしれないけど。そんな始まりの恋愛もあったっていいじゃないか。
「さーちゃんて、誕生日いつなん??」
俺はある日、そんな質問を投げかけてみた。返ってきた答えを聞いてびっくりした。
「えっ! 俺と六日違いやんか! ほんとにほんと?」
今は五月で、半年先の十一月のことなんだけども、俺とさーちゃんの誕生日は六日違いだった。
『うん、そうやで。なんか凄いやんね』
「うんっ、俺びっくりした。あれやんか、合同誕生日パーティーできるやんか」
『なんなんそれ〜! なんかゲームの合同対戦みたいなんやけど』
そうそう、ゲーム内でね。何チームか合同で、選抜して対戦するイベントがあったりするからだ。まぁワザとそれにちなんだ呼び名にしたんだけどね。
「楽しそうやろ? お互いの誕生日をバラバラやと気ぃ使ってしまうけど、合同誕生日やったら一気にできるから、忘れなくていいし。それに喜びも二倍になりそうちゃう?」
『なんか、悲しみは半分に、喜びは二倍に、プロポーズみたいでやだな〜』
え、嫌なんて言わないでくれよ。
「いいやんいいやん。というか、そうやって楽しみをこれから増やしていこうや。今までもしかしたら辛かったかもしらんけど、それを忘れるくらい楽しいこといっぱい考えていこうや」
『おーくん、ありがとう。でも、私……まだちょっと勇気出せへんねん』
「勇気?」
『うん。おーくんが私のこと、気に入ってくれたり、好きって思ってくれてるの、めちゃくちゃ伝わるんやけどね。私めちゃくちゃおばちゃんやし、あ、おーくんには年齢言ってなかったけど、おーくんより歳上やで?』
さーちゃんが俺より歳上なのにはびっくりした。全然話してて歳上な気がしなかったし、まぁ基本おっとりしてる感じだから、年齢がわからなかったのもある。
「年齢なんて別に関係ないやろ。俺は今39歳やけど、もちろんやけど日にちが経てば歳もとる。俺早くに50歳になりたいくらいやもん」
『私42歳。あんな、おーくんは男の人やから年齢気にしないとか、早く歳とりたい、って言うかもやけど。女の人って、たぶんみんなそうやと思うけど、歳は取りたくないんやで』
そうか……それもそうだよな。確かに俺は、さーちゃんの気持ちをちゃんと、わかってあげれてなかったかもしれない。
「うん、さーちゃんの気持ちはわかったわ。ごめんな、俺の気持ちばっかり押し付けて、さーちゃんのこと考えてあげれてなかったわ」
『ううん、ううん、全然いいよ。おーくん、ありがとね』
さーちゃんに、名前を呼ばれるのがホントに俺は好きだ。今までそういうのを感じたことがないんだけど、たぶん自分が好きな人に、呼ばれるからきっと余計に思うんだろう。
「あっ、じゃあ……どっか行きたいとことか。食べたいものとかあったりする?」
『え、食べたいもの……私パンケーキが食べたい。あっ、淡路島にね。【幸せのパンケーキ】ていうところがあるんよ、知ってる?』
「そんなところがあるんや、初めて聞いたからまた調べてみるけど、そこに行きたいんやね。いいやん、行こう」
『あ、言ってみただけやからいいよ。それにそこめちゃくちゃ混んでるみたいやし。前にもテレビでやってた。淡路島って最近、映えスポット増えてるらしくて、結構いいところなんよ』
混んでるのか……予約とかしたら行けるのかな。
「淡路島って、玉ねぎのイメージしかないんやけど色々あるんやな〜。もし会うとしたらなんやけど、淡路島で集合とかにする? ちょうど俺とさーちゃんの住んでるところの間くらいやん」
俺は、無理には言わなかったが、さーちゃんと会えるとしたら。そしたらその幸せのパンケーキに連れて行ってあげたいと思ったのだ。
『淡路島楽しそうやんね。また考えとくね』
考えとく……か。でも、パンケーキとか好きなモノのワードが聞けただけでも良しとしよう。
そして、ついにこのあと、俺はさーちゃんとのデートの約束を取り付けることに成功する。
サエの誕生日が実は自分と近いことを知る凰太。
それに好きなもの、食べたいものの情報も聞くことに成功。
淡路島の「幸せのパンケーキ」
二人で行くことはできるのだろうか?




