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さぬき恋物語  作者: くろくまくん
第六章 さぬき恋物語

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親にとっては、子供は何歳になっても子供らしい

凰太の実家帰省エピソードが続くのでサエとのラブラブエピソードはないが……


母親と共に、父親の見舞いに来た凰太だったが……?



◯登場人物

凰太おうた

39歳

ゲーマー。兵庫県神戸市に住む。


凰太の父親

70歳

無職。大阪北摂に住む。お酒が好き。


凰太の母親

65歳

専業主婦。凰太の父と2人暮らし。趣味でパソコン教室に通っている。

 結局父親の見舞いに来てるのに、さーちゃんの話になってしまったような気もするが、悪い気はしなかった。


 深くまでは話さなかったが、さーちゃんが元々神戸こうべの出身であることや、結婚して香川かがわに行ったが、今は別れていて、娘と二人暮らしであること。俺自身も何回か香川に行ったりしていることを二人に話した。


「サエさん? 凄くいい人そうやんか。おーたくん今までなかなかそういう人はおらんかったんやろ? 今度はどうなん?」


 出たよ。俺が母親を苦手な理由のひとつはこれだ。彼女が出来た、誰かいい人がいると聞けば結婚はどうするとか。もちろん息子のことを心配なのもわかるんだけど……ほっといてほしいんだよな。


「どうって……まだ知り合ってから一年経ったか経ってへんかくらいなんやから、まだわからんやろ。子供さんのこともあるんやから」


「まぁそうやけど……おーたくんももう今年で四十歳になるやろ? お母さんもお父さんももう歳やから、いつ死ぬかもわからんからね……」


 そんなこと言ってて長生きしそうだぞ!


「まぁまぁ、お母さん。あ、飲み物買ってきてほしいんやけど頼んでいい? 温かい紅茶が飲みたいわ、ストレートのやつな」


 父親がそう言って、母は違う階にある売店に飲み物を買いに行った。


 母親が部屋を出たのを見て、父が僕に言う。


「おーたくん、お母さんのことちょっと苦手なんやろ? 見てたらわかるわ」


「えっ……そんなことないで」


 父はどうしたいんだろう?


「ええで、大丈夫やから。色々口うるさかったり、宗教しゅうきょうのこと言ってきたり、はよ結婚しろ、まごの顔見たい、もうええ加減にせい! てなると思うわ。おーたくんが家をはよ出ていったのもうるさく言われるのが嫌やったからやろ?」


「え……まぁそう言われたらそうやけど……」


「親なんてそんなもんやで。おーたくんはもう立派に大人になってるけども、結局親からしたら、いつまでも子供やねん。お母さんにしても、おーたくんのこと、いつまでも小さい頃の子供みたいに思ってるわ。面白いやろ?」


 いや、面白くはないけど……でも、なんか少し言われてみればわからんでもないのかな。


「俺……学生の頃いじめられてたやん? んで、成績もあまり良くないし、友達もあまりおらんし、結局高卒で就職して、仕事もパッとせんし……なんか色々言われても答えれんかったんよね。自信ないから」


 父親は笑った。


「いてて、笑ったら足が痛いわ。あんな、おーたくん。別にお父さんもお母さんも、おーたくんがいい仕事してかせいでほしいとか、偉くなって出世しゅっせしてほしいとか、いっこも思ってないんやで」


「え……」


「おーたくんが、元気に生活してたら。普通に暮らせてるだけで、それだけで親は満足なんや。やけど直接話す時は、言葉では上手うまく言われへんから、結婚や子供や、ってなんかカタチのある言い方をしてしまうんや」


 そう……なのかな。俺はもしかしたら、ものすごい勘違いをしてしまっていたかもしれない。


「やから、今付き合ってる彼女さんも。別に無理に結婚をしなくてもええんや。自然にするとしたらしたらええけど、好きでもない人と結婚しても楽しないやろ?俺は母さんのこと好きやから結婚したんやで」


 おいおい、ここでノロケはいらんぞ。


「あ、でもな。たまに近況っていうか、メールひとつでもいいから送ってあげな。お母さん淋しいみたいやで。お父さんは飲みに行った時に直接聞くからな」


 結局飲みにいきたいだけかい!


 でも……なんだか、父親の優しさを感じた。母が飲み物を持って帰ってきた。


「病室わからんくて迷ってしもたわ。えらい歩いたわ。はい温かいストレートティーと……おーたくんは温かいコーヒー買ってきたけど飲む?」


 母が渡してくれたコーヒーは、たぶん砂糖とミルクが山ほど入ったやつ……あれ、俺ってブラックしか最近は飲まないんだけど。子供の時の記憶からワープしたのかな。


「あ……うん、飲む飲む、貰うわ」


 せっかくだから、コーヒーを貰って飲んだ。案の定めちゃくちゃ甘かった。でも……なんだかさっきの父親が言っていた言葉と重なってしまい、少しだけしんみりしてしまった。


「甘いのもたまにはええな、コーヒー。疲れてる時にはええかもな。そうそう母さん、今度、香川行くときあったら、なんかお土産でも買ってくるわな。今まであまり気がつかんかったわ」


「そんなんお土産なんてええで〜。あ、本場ほんばの手打ちうどんて美味しいんやろか〜! あと骨付鶏ほねつきどりが凄い! って前にテレビでやってたわ確か!」


 いらん言うたんちゃうんかい! でも、なんか俺はやっぱ勘違いしていた。


 父親も、母親も。俺にプレッシャーをかけようなんて、初めから思ってはいなかったんだ。


 たまたま父親の体調不良で実家に来たわけだけども、キッカケはともかく、良かったのかもと、俺は思った。


サエの話が盛り上がって嫌になる凰太だったが、


父親の配慮と、二人での話から、少し苦手だった母親の気持ちが、少しだけわかったような気がした。

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― 新着の感想 ―
 親なんて、自分の子どものことはいつまでも子どもですよね。何なら、ふとした瞬間に、成人した子どもの上に赤ちゃんだった頃の子どもが二重写しになることだってありますし。  このお話は凰太視点ですから、前回…
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