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さぬき恋物語  作者: くろくまくん
第六章 さぬき恋物語

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白鳥神社と、急な電話

サエと二人きりの年越しデートに行く凰太。


サエからそのうち引っ越そうと考えていることを聞き、凰太も自分自身の気持ちを打ち明ける。


チサが卒業する三年後を見据えて、また新たな思いを胸に抱くのであった。



◯登場人物

凰太おうた

39歳

ゲーマー。兵庫県神戸市に住む。


沙絵さえ、さーちゃん

42歳

香川県に住む。元は神戸市に住んでいたらしい。

バツイチで、中三の娘がひとりいる。


千沙ちさ

15歳

沙絵の娘。

「あけましておめでと〜! 今年もよろしく」


 年明けの明け方、志度しどの自宅に帰りながら、静かに新年の挨拶をする。家に着くとチサちゃんはまだ寝ていた。


 朝ご飯は昨日のおせちとポテトサラダとお雑煮ぞうにも残っているのと、うどんを茹でてお雑煮うどんにして、一緒にいただいた。


「あっ、そういえば初詣はつもうでってみんなで行く〜? 色々神社とかはあるんやけど、大きいところは人がまぁまぁ多いんよね」


 香川かがわは割と観光で来る人も多いらしく、普段日常を過ごすにはスーパーとかショッピングモールはそんなに混まないんだけど、お寺や神社、その他観光スポットというのはそこそこ人が多い。まぁ、あとは場所によるかな。


「そっか〜、俺は前も言ったかもやけどそんなにおまいりとか初詣とかは行ったことないのと興味はないんやけど……さーちゃんもチサちゃんも行きたいんやんね? どこかそこそこの混み具合のとこあるやろか?」


 こういうところで、オタクゲーマーの人見知りが発現されるのだ。人が多いところはまぁまぁ疲れる。こんなこと言うと怒られそうだけど、好きなものが目当てだった場合はある程度苦労しても大丈夫だったりする。逆に全く興味がないものは、わざわざ並んでとか、人が多いところには行きたくないタイプだ。ホントに勝手だと自分でも思うんだが、こればかりは仕方ない。


 さーちゃんとチサちゃんもどちらかというと、人混みは苦手なんだが、お祭りとか出店でみせがあるところは好きらしい。というわけで、今回の初詣は東かがわ市の白鳥しろとりというところにある、白鳥しろとり神社に行くことにした。ハクチョウと書いてシロトリと読む。珍しいよね。


 志度からなら高松たかまつのほうが近いんだけど、人が多いというのがその理由だ。


 チサちゃんは途中でマックのドライブスルーを買ってあげると機嫌が良くなる。もちろんそれだけではないんだけど、こうやって三人でお出かけするのも楽しい。


「ベビーカステラとね、唐揚げとね、なんか最近10円パンていうのがあるみたいで、それを買いたいの」


 食べ物ばっかりかい! という感じだが。まぁお祭りなんてそんなものだ。俺がお祭りの出店で買って食べてたもので言うと、フランクフルト、たこ焼き、唐揚げ、はし巻き、りんご飴、まぁ似たようなものかな。


 そういえば父親に聞いた話で、もちろん俺が小学生とか小さかった頃だが、甲子園球場に野球の試合に連れて行ってもらった時、野球の試合は全然興味なくて食べ物いっぱい買ってもらって、それを食べ終わったら、もう帰る! とゴネていたらしい。我ながら恥ずかしい過去だ。


 結果的には、白鳥神社はとても良かった。人も多すぎず、少なすぎずという感じ。出店はそこまで多くなかったのでちょっぴり残念だったが。


 でも、ここの名物なのか、なんなのかわからないが、色とりどりの風車かざぐるまが並んでいるところはさーちゃんもチサちゃんも喜んでいて、みんなで写真を撮った。こういう時は二人とも女の子なんだなと思う。


 ちなみに俺は神社にいっても、おみくじは引かない。まぁ好きな人はしたらいいと思うし、別にそこまで頑固にしなくてもいいとは思うが、複数の人数で訪れた時に、引いた人によって内容が違うじゃないか。おみくじの内容なんか気にしないという場合でも、例えば誰かが大吉で、誰かが大凶だったら、なんとなくやはり気を使ってしまうんだよ。


 極端なんだけども、そういう理由で俺はおみくじを引かない。もちろん引きたい人は引いたらいいと思う。勝手な俺のルールだけなので。


 そんなこんなで、それなりに初詣を楽しみ、その帰りにも買い物をしたりして、三人で年末年始を楽しんだ。その買い物の途中で、普段滅多にかかってこない電話がかかってくる。


「うん、うん。どうしたん? えっ! ……そうなんや……」


 さーちゃんが少し気になったようで、俺の方を見ている。


「まぁ、ちょっと出先やから、また連絡するわー。はい、お大事にな、バイバイ〜」


「おーくん、どうしたん? 大丈夫?」


 さーちゃんが心配して声をかけてくれた。


「あぁ〜、大したことないんやけど……父親が体調不良で入院した、って母親からやったわ。まぁそう言われても俺がすることないんやけど」


「えっ、大阪やったっけ? 行ってあげたほうがいいんちゃうの?」


「ん〜、なんか数日の入院でいけそう、っていうあまり詳しくも聞いてないんやけど。また来週かくらいに様子は聞いてみるくらいでいいと思う。心配かけてごめんな、ありがとう」


 そうなのだ。俺の両親は健在で、大阪に住んでいる。神戸からは電車でも一時間以内で行ける場所なのだが、なんとなくずっと疎遠にはなっている。たまーに、父親と飲みに行くくらいかな。


「私が言うことでもないかもやけど……親って、知らん間にいなくなってしまうこともあるし、驚くほど早く亡くなってしまうこともあるから。かすわけじゃないんやけども、なんかのキッカケで少し会いにいくくらいなら行ってもいいと思うよ」


 さーちゃんが、俺のことを気をつかってくれてるのが痛いほどわかった。それに現実に母親も父親も亡くしている彼女の言うことだから尚更説得力がある。


 ただ……俺自身が親に苦手意識があって。それには母親の宗教のこともあったり、俺がいつまでも結婚していないこともあるのだが。でも、さーちゃんの言うように、確かにいいキッカケではあるのかなと感じた。


「うん、うん……そやね。近いうちに一度実家のほうに行ってみるわ。何年ぶりやったかわからんくらいなんやけど」


 そして、この実家の帰省が。


 俺にとって、色々なことを考える更なるキッカケになるとは、まだ俺もわかっていなかった。


初詣を楽しんだ三人。


ふと、凰太の母親から電話があり、


凰太の父親が入院したことを知る。


そのうち、実家に帰省することを考える凰太だったが……

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