綾川にあるアメリカンダイナー
クリスマスはサエのリクエストで、まんのう公園にイルミネーションを見に行くことになった。
さて、二人はクリスマスデートを楽しむことができるかな?
まんのう公園に行く途中で立ち寄ったところに……?
◯登場人物
凰太
39歳
ゲーマー。兵庫県神戸市に住む。
沙絵、さーちゃん
42歳
香川県に住む。元は神戸市に住んでいたらしい。
バツイチで、中三の娘がひとりいる。
というわけで、クリスマスイヴ当日。
まんのう公園は田舎ということは聞いていたが、具体的にどのあたりにあるかと言うと、香川県の「まんのう町」という地名が実際にあるのだが、前に小豆島に行くときにフェリーに乗った高松市は港がある海側になるけど、まんのう町は山側というか……まぁ山である。
めちゃくちゃ遠いというわけでもないが、志度からはだいたい車で一時間くらいかな。俺は午前中のうちに高速バスで香川に着くようにして、お昼過ぎには志度を出発できるようにした。
志度からまんのう公園に向かう途中にイオンモール綾川がある。
ちなみに香川でのショッピングの中心地は「ゆめタウン」というデカいモールが高松にある。スーパーやら専門店やら飲食店、フードコート、家電量販店が全部合体してるようなところだ。
ゆめタウンに寄ってもよかったんだけど、志度からまんのう公園までのちょうど中間地点くらいなのと、あまり普段行かないところということもあって、イオンモール綾川でお昼ご飯がてら休憩に寄ることに。
「だいたいどこのショッピングモールも同じようなお店が多いやんね〜」
と、モールの中を歩きながら、二人同時に二度見したお店があった。
「え、え、何このお店??」
モールの飲食店とゲームセンターが並ぶ区画でひときわ原色の色使いと、派手な電飾で目を引いたのは、フィーディーダイナーというアメリカンスタイルなお店だった。
「わっ! ここ凄いやん。私、ここでお昼食べたい」
「あ、あぁ、そうしよか。ホットドッグとかのセットもあるみたいやで」
俺は前も話したかもしれないが、派手なカフェよりも、地味な純喫茶のがホントは好みではあった。でも、このアメリカンダイナーな装飾のお店なんて、きっと生涯行くこともないかもと思ったから、せっかくなのでさーちゃんとの時間を楽しむことにした。
「ここここ! おーくんここ座ろ〜!」
「えっ! マジで! これって……車じゃないん??すんごい目立つんやけど……」
控えめに言って、店の中で一番目立つと思うその店舗入口中央にある席は、座席が車みたいなカタチになっており、ゲームセンターとか、モールの通路を歩く人々から完全に注目の的であった。
「私、こういうの好き。ねぇねぇ座ろ?」
ド派手なお店の、ド派手な座席。でも、これは逆に言うと、今まで日陰のオタク人生を歩んできた俺が、さーちゃんの力で、日向に引っ張っていってくれてるのかも? とプラス思考で考えることもできるかもしれない。
店舗入り口のセルフオーダーのタッチパネルでホットドッグセットと、お子様ピザセットと、パフェを頼んだ。
なぜお子様セットなのかと言うと、昔はよくあったかも知れないが、車の器にピザとかウインナーとかが盛り付けてある、その器が彼女が気に入ったからだ。
「わっ、めちゃくちゃ可愛い! おーくん見てみて!」
子供みたいだな、と思いながらも、そうやって無邪気にはしゃぐ彼女を見ているのも俺は嫌いではなかった。
日々、介護の仕事にくたくたになりながら頑張って働いてるのだから、たまの休日には、思い切り好きなことして、好きなものを食べて、そして、一緒に楽しく過ごせたらいい。
俺が来ていない時はチサちゃんのこともあるから尚更大変なはず。だから、たまにはいいのだ。
ダイナーのホットドッグはと言うと……うん、味は普通だった。でも、味よりもその店の雰囲気と、それを楽しんでいるさーちゃんの笑顔が何よりだった。俺は彼女の笑顔が大好きだ。
なかなかのインパクトあるお店だったので、もし香川県の綾川というところに立ち寄ることがあれば、好みもあるかもしれないが行ってみてもいいかもしれない。
◇ ◇ ◇
心もお腹も満足になったあと、平日とは言えクリスマスイヴなのでもしかしたら駐車場が混むかもしれないと予測して、日が出ているうちにまんのう公園に向かうことにした。
ライトアップは17時からということだったが、早く着いたら車内で仮眠を取ればいいかなと事前に話していた。
まあまあの山道を進み、イオンモール綾川から三十分ほどでまんのう公園に着いた。
「日が沈んできたら、やっぱり少し寒くなってきたやんね〜」
「あっ、そやそや。さーちゃんの寒くなってきた、で思い出したわ」
俺は、車の後部座席に巧妙に隠していた物をガサゴソと取り出した。
「さーちゃん、メリークリスマス。これよかったら使ってな」
「えっ! おーくん何これ?」
実は前々から用意していた、クリスマスプレゼントだったのだ。しかもこの時期にちょうどいいもの。
「今開けていいよ。というか、今この瞬間に使えるものやから」
「え、今使えるものってなんやろ……わっ!! 凄い!」
プレゼントはマフラーと手袋だった。元々持っていたものもあったみたいだけど、結構古くなっていたようだったのと、さーちゃんに似合う可愛い柄だったからだ。マフラーは白がベースでピンクと紫のチェックが入っている柄だった。
「わっ! めちゃくちゃ可愛いマフラー。手袋も真っ白でかわい!」
「さーちゃんが好きそうな色合いかなと思って。せっかくやから今使ったらいいで。俺がおる時やったらいいけど、ひとりの時やったら寒いやろ」
さーちゃんは笑顔だった。
「めちゃくちゃ温かいし嬉しい……おーくん大好き!」
さーちゃんが喜んでくれてよかった。ライトアップまでの間、しばらく車内で仮眠することにした。
まんのう公園まで辿り着く手前で、
まぁまぁイオンモール綾川で楽しむことができた二人。
ダイナーってなかなか行くことがないし、たまにはいいよね。
クリスマスプレゼントも喜んでくれて、凰太は満足だった。
さぁ、イルミネーションを見るぞ〜!!




