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さぬき恋物語  作者: くろくまくん
第四章 合同誕生日パーティー

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来年もまた、こうやってお祝いをしたいな

合同誕生日パーティーの締めくくりに、なんとかかんとかバースデーケーキでお祝いをすることができた。


ケーキをみんなでいただきながら、幸せなひと時を過ごす。



◯登場人物

凰太おうた

39歳

ゲーマー。兵庫県神戸市に住む。


沙絵さえ、さーちゃん

42歳

香川県に住む。元は神戸市に住んでいたらしい。

バツイチで、中三の娘がひとりいる。


千沙ちさ

15歳

沙絵の娘。

 俺とさーちゃんと、チサちゃんで、バースデーケーキを囲み、合同誕生日を祝うことができた。


 小豆島しょうどしまの旅行、途中に誕生日プレゼントを渡し、最後の締めくくりにバースデーケーキでお祝い。


 ささやかではあるけども、俺が一生懸命考えたバースデープランで、さーちゃんが喜んでくれてよかった。なんとなく最後のバタークリームのホールケーキに一番テンションが上がってる感もいなめなかったが、まぁそれはそれで良いのだ。


 女子じょしはスイーツが好きだと俺も知っている。


 それに好きな人と一緒に、一年の中でも大切な日を過ごすことができたなら、それが何よりの宝物だと俺は思った。


「さーちゃん、来年もまた、誕生日一緒にお祝いしような」


「うん、私もおーくんと一緒にお祝いしたい。うわっ、このケーキ、めちゃくちゃ美味しっ!」


 ケーキを食べながらさーちゃんは答える。


「さーちゃん、食べながらでもいいから聞いてほしいんやけどね。さーちゃんは誕生日が来ると、ひとつ歳を取ってしまうから、嫌だって前に言ってた。もちろんそれもあるかもなんやけど……でも、大切な人と。大事な人と一緒に祝える日があるなら、それはそれでいいんかな、っていう考え方もあるで」


「うん。歳を取るのは嫌だけど……美味しいケーキは好き!」


 ケーキかーい! まぁそれも喜んでくれるならいいかな。


「俺んちなんやけど。あまり人に言うことでもないんやけど、なんか宗教の絡みかわからんけど、誕生日を祝わない習慣とからしくて。俺小さい頃から、親に誕生日を祝ってもらったことないんよ。友達とかは普通にバースデーパーティーとかしてて、たまに呼ばれたら凄く楽しくて。俺はいつも羨ましかった」


「おーくん……」


「あっ、まぁ結局中学とか高校とかなったらそんなんお祝いするもんでもないんやろうけどな。やから……はじめさーちゃんと誕生日が近いって聞いて。もしできたら一緒にお祝いできたらな、って思ったのが正直なところやねん。俺も凄く楽しかったで」


 せっかくの素敵な誕生日に、悲しい話をしてしまった俺はアホだ。でも、なんだか。とても楽しくて、また来年もこうやってお祝いしたいな、って思ったから。だからちゃんと話しておきたいと思ったのだ。さーちゃんはそんな俺の方を向き、優しく応えてくれた。


「おーくん。これからは毎年お祝いしよ。もちろん誕生日もそうやけど、誕生日以外の何かイベントも一緒に過ごそう? あ、これは……おーくんがよかったらなんやけど」


「誕生日以外って何があるんやろ……? これからやと、クリスマスとかお正月?」


 さーちゃんは目をかがやかせながら答える。


「うんっ! クリスマスはチキンとクリスマスケーキ! お正月はおもちとおせち! あとは……」


「食べもんばっかりかい!!」


「あはは。そういえばそうやんね。でも、美味しいものをみんなで食べるのって。一緒に楽しく過ごすのって、楽しいし、嬉しいと思う。それは、おーくんが私に教えてくれたんだよ」


 さーちゃんもたまにはいいことを言う。たまには余計だな、素直に嬉しい。


「ママ、私もケーキ食べたい」


「あっ、ごめんチサちゃんの分もいっぱいあるでケーキ。三人では多すぎるくらいかもやけど」


「えっ、チサあんたアイスケーキしか食べないんちゃうかったっけ?」


 前に聞いた時は、チサちゃんの誕生日はアイス屋さんで、キャラクターのアイスケーキを買ってあげるのがお決まりになっているらしい。これは前に聞いた気がする。


「ママそれ、何歳の時の話なの。私もう十五歳だよ」


「まぁそうやんね……私のケーキ食べる量が減ってしまう〜」


 さーちゃんにしたら、チサちゃんとずっと一緒だから、小さい頃の好みとか、好き嫌いとかをずっと覚えてしまってるのかもしれないな。大きくなるにつれ、食べ物や飲み物の好みも変わって行く場合もある。


「さーちゃん。俺はケーキ一口ひとくちくらいしか食べなくていいから、二人で思う存分に食べてや。さーちゃんとチサちゃんがいっぱい食べてくれたらいいんやで」


「ママ、意地汚いじきたないよ……」


 なかなかに、毒舌どくぜつのチサちゃんであった。


「チサがひどいこと言う〜!」


 俺はこういう家族での団らんというのに、あこがれていたのかもしれない。両親はいるが、どちらかというと家族みんなで何かをするということが少なかったのかもしれない。


 それが決して悪いことというわけではないにしても、俺はなんとなく自分の両親に対して、冷たい見方というか、他人行儀たにんぎょうぎみたいな接し方をしていたのだろうか。


「んじゃまぁ、来月のクリスマスあたりも、できたらこっち来るわな。それまでに仕事頑張っとくわ」


「うん。うん、わかったよ。待ってるね」


 俺とさーちゃんが初めて出会ったこの一年が、そろそろ終わろうとしていた。

 

楽しいひと時を過ごしながら、自分の小さな頃のことを思い出してしまう凰太。


決して不幸とは言えないが、どこか冷たいような寂しいような思い出であった。


その冷たさを埋めるように、寂しさを埋めるように。


沙絵と、千紗と過ごす時間を噛み締める凰太だった。

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