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さぬき恋物語  作者: くろくまくん
第四章 合同誕生日パーティー

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合同誕生日に向けて、そして過去へのヤキモチ

凰太と沙絵の誕生日が近づいていた。


サエはそういう企画は苦手みたいだけど、俺は割とそういうのは得意だ。


合同誕生日企画は成功するのか?



◯登場人物

凰太おうた

39歳

ゲーマー。兵庫県神戸市に住む。


沙絵さえ、さーちゃん

42歳

香川県に住む。元は神戸市に住んでいたらしい。

バツイチで、中三の娘がひとりいる。

 約一ヶ月後に迫った、合同誕生日企画に向けて、俺とさーちゃんは徐々に準備を進めていった。


 言っていた小豆島しょうどしまに行くには、フェリーで行くことにした。フェリーの場合、車でそのまま乗り込んで、着いたあともそのまま車で出ていけるので、移動がスムーズだ。


 俺が小さい時に、どこに行ったかは全く覚えていないけども、フェリーで旅行にいったような記憶はある。でも、その時はめちゃくちゃ船酔いをして、体調が最悪だったような。


 フェリーも何種類かあったんだけど、最近かどうかはわからないが、割と新しめのジャンボフェリーというのがあったのと、往復でちょうど違う種類の船に乗れるみたいだったので、それを予約した。


 最近はなんでもウェブチケットというのが多いみたいだけど、フェリーもそれだった。二次元コードが発行されて、当日それを読み取って乗船という流れ。俺はアナログな性格だから、こういうのは凄く緊張する。間違って消してしまったらどうしようとか、いらない心配をしてしまうのだ。


 なので、念のために二次元コードの画像をさーちゃんにもメールで送っておいた。


 あとは宿をどうするか。


「ホテルを取ってもいいんやけど。俺、だいぶ前の話なんやけど、親が別荘べっそうかなんかに連れてってくれて。場所はわからんのやけど、貸別荘ていうんかな? 一戸建てみたいなとこなんやけど、そういうとこを借りてもいいんかなと思ったんやけど、どう?」


『私、そういう企画とか、何か決断するのって、ホントに苦手で……でも、そういう別荘みたいなのって泊まったことないから、泊まってみたいかも。おーくんにお任せしてもいい?』


「お、じゃあそれで探してみるわ〜」


 ということで、二人で相談というよりかは、俺が色々調べたり、観光サイトを見たりして、というくらいの情報しかないのだが、一件の良さげな別荘を探して予約した。庭でバーベキューも出来るということだった。


 あとは、小豆島の全部を回るのは無理なので、ある程度ここに行こうかなというスポットだけはなんとなくだけど決めておいた。


 ◯二十四の瞳映画村

 ◯醤油のくら

 ◯オリーブ公園

 ◯エンジェルロード


 さーちゃんが特に言っていたのは、介護の利用者さんから聞いていたらしい、オリーブ公園の中で「魔女の宅急便」をテーマにしたお店や、ホウキにまたがって撮影をできるスポットがあるらしく、それに行くこと。


 あと、エンジェルロードってなんだ? 天使の道? という感じなのだが、小豆島の西南せいなんあたりの海岸沿いに、干潮かんちょうになると現れる道があるらしい。恋人でそれを渡るのがいいということだ。


 俺は元々オタクゲーマーの引きこもりなこともあり、旅行とかもほとんどしないし、そもそも遠出とおで自体もあまりしないから、こういうことって、凄く新鮮なのだ。


 でも、俺が言うのもなんだけど、好きな人と一緒に色々なことを楽しむのって、やっぱ楽しい。


 ゲームももちろん楽しかったんだけど、実際に見える、触れる、会話ができる、笑いあえるのって、貴重だ。


 俺は合同誕生日企画に向けて、着々と準備を進めていった。



◇ ◇ ◇



 小豆島旅行の一週間前のことだった。通話でさーちゃんに伝える。


「俺ってこういう誕生日になんかする、っていうの自体、大人になってからなかった気がするから、嬉しいかもやわ」


『そうなんやね〜。私はそう言えば、ゲームの付き合ってた人が、一回だけ香川かがわに来てくれたことがあったよ〜』


 ゲームで付き合ってた人? 前に言ってた長かった人だったっけ。俺はあまりそのことに触れたくはなかったが、聞いてしまったからには、気になる。


「あ、そうなんや……なんかしたんかな?」


 俺も聞かなくてもいいのに、聞いてしまう。


『んー、特に何もなかったんやけど…プレゼントとお花持ってきてくれて、渡してくれたよ』


 何も言わずに終わらせてしまえばよかったのに、俺はしつこくつっかかってしまう。


「そうなんやね……よかったやんか。俺なんか居なくても、さーちゃん楽しく過ごせてたんやね」


『えっ、違うよ。今までの誕生日の話をしてたから、それを言っただけで……』


「あんな、もし過去の誕生日に何してた、ってことでそれを思い出したとしてもやで。それを普通、俺に言うか?そんなことを俺に話して、俺が喜ぶと思うか?」


『おーくん……』


「さーちゃんにしたら、ふと思いついたことやから、言っただけかもしれない。でも、それを言ったら相手がどう思うかとか、傷つくかもしれないとか。そういうことって考えられへんの?」


『そんなつもりじゃなかってん……ごめん』


 一度そうなってしまうと、怒りをしずめることができなくなってしまっていた。


「わかったわ。もういいわ。全部無しにしよう。なんか嫌になってきたわ」


 俺の悪いクセだ。一回スイッチが入ると止まらなくなってしまう。


『ちょっと待っておーくん。ごめんね、私が悪かったよ。私、すごく来週の旅行楽しみにしてるんだよ』


「うん、俺も楽しみにしてたで。でも、ちょっと考えさせて。ごめんやけど」


 通話を切って、俺はしばらく連絡をった。


小豆島旅行が一週間前に迫っていた時、


ふとした会話のきっかけで、サエが昔付き合っていた、ゲーム内の彼氏の話が出る。


そんな話聞きたくないのに、俺は余計なことを言ってしまう。


最悪だ……。

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― 新着の感想 ―
 ヤキモチは仕方のないこととはいえ、凰太も「常識ではこうなのに」という、きつい言い方をしてしまったのは良くなかったですね。  「何だかんだで、今現在、愛されてるのは自分なんだ」と自信を持てれば良い気が…
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