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さぬき恋物語  作者: くろくまくん
第三章 過去のわだかまり

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13/39

たとえ下手くそでも、伝えたいという気持ちが大事だと、俺は思う

香川かがわから帰ってきたその夜、


サエからのメールを見る凰太おうた


彼女から詳しい説明の言葉が書かれていたが、


素直に受け入れられないでいる凰太だった。



◯登場人物

凰太おうた

39歳

ゲーマー。兵庫県神戸市に住む。


さーちゃん、サエ

42歳

香川県に住む。元は神戸市に住んでいたらしい。

バツイチで、中三の娘がひとりいる。

 「さーちゃんは俺のこと、どう思ってる?」


 缶に残ったビールを一気に飲み干す。もう苦い思いはたくさんだ。


 メールはすぐに返ってきた。


『私は、おーくんのこと、大好きだよ。ずっと一緒にいてほしい』


 俺は、まだすぐには、その言葉を信じることができなかった。


「ごめんなんやけど、言葉だけではなんとでも言えると思うし。俺、まだちょっと、信用できないんやけど……」


『今って直接話せる?』


 特に何もしてなかったから、アプリでさーちゃんに発信する。着信を取ったさーちゃんは、はじめは無言だった。


「さっき長いメールに書いてたことあったやんか?あれって、結局寂しかったから、元旦那もとだんなの友達の男か知らんけども、好きかどうかもわからん男と、何回も会ってたってことやろ?」


『うん……言い訳になるけども、しょっちゅうってことはなくて、向こうから連絡あって、一年に一回か二回くらいかな……それにここ一年以上ずっと連絡はなかったのと、私からも別に連絡することはなくて』


 さーちゃんの声は泣いていたのか、少し震えている。


 都合の良い関係みたいなやつか。俺はそんなことは知らないが、そういうこともあるのか。


「じゃあ指輪返すとか、って、結局会うってことなんやろ。返す必要ないんちゃうの? それにその男にはっきりと伝えたらいいんちゃうの、もう会わんって」


『うん……ちゃんと言うし、もう会わない』


「それはわかった。んとな、さーちゃんはずるいんやと思うわ。俺が好きっていう気持ちを利用して、あまりさーちゃんの気持ちは全然教えてくれへんかったやんか」


 さーちゃんは返事もなく黙っている。


「キッカケはスマホのゲームかも知らんよ? たいしたこともない、たまたまみたいな出会いかも知らんよ? でも、俺はそんなキッカケでも、いいと思ってる。誕生日が近かったりとか、県は少し離れてるけども、少し時間かけたら行ける距離だったりとか。俺、さーちゃんと知り合ってなかったら、きっと香川県にも、これからも行ってなかったと思う」


『うん、うん……』


「さーちゃんと初めて通話した夜。俺、めちゃくちゃ嬉しかった。自分だけ舞い上がっててアホみたいやけど、可愛い声やなぁとか思って。また声聞きたいなって思って」


『あ、それは私も同じやで。おーくんの声、私大好きやもん』


「あぁ、それはありがとう。俺、なかなか言葉は上手く言えない方なんやけど、さーちゃんが喜んでくれるなら、なんでもしてあげたいな、って思った。俺ができることなんて限られてるかもしらんけど」


『合同誕生日パーティーのことも、実は凄く嬉しかったよ。私、なかなか素直に言葉言えなくて。嬉しいのに、素直に嬉しいって言えなくて。そのくせにふと思いついたことをすぐ口にして、傷つけてしまうことあって……』


 あぁ、それは俺もよくあることだ。大人になるにつれ、素直になれないことってある。そのくせにしょうもないことは平気でぺらぺらと口から出て。それを聞いた相手の気持ちなんて考えられないことが俺にもある。


「あぁ、それはわかるで。俺にもそういうこと、ないことはないから。んとな、言葉ってホントに大切なんやで。伝えるのが下手へたくそでもいいねん。それを相手に伝えたい、って思う気持ちが大事やねん。いくら頭で考えてても、心の中でずっとずっと考えていても。それを伝えることをしてなかったら、やっぱ相手にはわからんこともある」


 俺は、思ってることをさーちゃんに伝えた。日頃思ってることというか、俺はそういうのが苦手だから、人よりもそれを気をつける。でも、そういうことができない人間が多すぎるから、俺は人付き合いが苦手だ。


『私、きっと。おーくんのことホントに大好きで。それで、おーくんが好き好きって、さーちゃんさーちゃん、っていっぱい言ってくれることに、甘えてた。私から何も言わなくても伝えてくれるおーくんに甘えてたんやと思う』


「うん。言わなくてもわかるやろ、って言う人、たまにいるやんね。常識でわかれ、とか。俺も気を付けないとあかんのやけど、人間って自分中心でしか物事を考えられないことが多くて。やから、押し付けてしまうことがあるねん。やからすれ違いがあるねん。ひとつひとつの言葉を大事に伝えることができたら。自分のことだけじゃなくて、相手のことも考えながら伝えることができたら、もうちょい上手くいくんちゃうの?」


『うん、そう思う』


「あ、そうそう、全然話変わるんやけど、さーちゃんの両親って神戸におるんかな? 俺の親は大阪に二人とも住んどるけど……」


 少しの間、さーちゃんは黙った。


『お母さんは……私がまだ神戸におるときに死んだよ。あとお父さんは元々いないよ、私が小さい時に居なくなった』


 そう、だったのか。


「え……そうやったんやね。それはごめん。兄妹はいたりするん?」


『四つ上のお姉ちゃんはおるけど、結婚して神戸に住んでるけど、全然連絡も取ってないよ』


「あ、そうなんやね。なんか色々複雑なんやな……あ、というかもうだいぶ夜遅いやんな。明日さーちゃんも仕事やろ?」


『うん、もうそろそろ寝るけど……おーくん、また今度会える?』


 俺は少し迷った。軽々しく返事したら、いけない気がしたからだ。


「そのうち会えるかもやけど……今はまだわからんよ」


『わかった……また連絡するね。おやすみなさい』


「うん。おやすみ」



サエと直接話をして、


男のことや、彼女の気持ちも聞き、


そして凰太の考えも伝える。


彼女の家族のことも聞くことができた。


二人の関係はこれからどうなるのだろう。

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