28話
「よっしゃ! これで今年の優勝も頂きだな」
「俺も負けるつもりはないけど?」
「ティアが居て、負ける訳ねーだろ」
「と言うことで先生。私、参加します!」
「いいのか? さっき言った通り危険が伴うが」
「大丈夫です。兄様が生きて戻って来られる程度であれば何の問題もありません」
「コイツは剣術実技で入学してから今まで負けなしの実力者だぞ」
「え……剣術の授業選択したの間違いだったかな?」
「ティア、お前の基準で考えるなよ」
「まあ、そうですね」
ヴァージル殿下は、エミリアン殿下とローデンヴァルト侯爵令息と参加することにしたそうだ。
その後、途中でエメレンス先生の補足が入りながら、ジュリオ兄様とヴァージル殿下から宝探しの説明を聞いた。
今年は少し難易度が高くなっているらしく、テイマーを雇い幾つかの宝を契約獣が守っているらしい。
「テイマーを雇ったんですか?」
「ああ。去年の宝探しで考えさせられたようだ」
「契約獣って倒してもいいんですか?」
「いや、契約獣を倒すとその時点で失格だ。まあ、動けなくしたりするのは構わないが」
「要は殺さなければいいってことですよね?」
「わかりやすく言えばな」
「でも、どうやって見分けるんだ?」
「契約獣は証……何かしらの装身具を着けているからわかるはず。多くは首輪だったりリボンだったり。装身具を着けられない場合は見える所に紋章がある」
「なら間違えたりしないな」
「詳しいな、お前」
「私も従魔師ですから。それにしても、この宝探し私に有利すぎですね。探し物もモンスターを相手にするのも私の得意分野ですよ」
「ティア、絶対優勝するぞ!」
「当然です。やるからには勝ちますよ」
◇◇◇
そしてやって来た宝探し当日。モンスター島に行くための橋の前に宝探しに参加する生徒と、見送りの生徒が集まっていた。
「島に入った時点で宝探しスタートだ。それじゃあ、島に向かうぞ。参加者は着いて来い」
責任者である教師の説明が終わり、参加者と救護担当の教師たちと万が一の時のための教師たちが島に向かうため歩き出す。テイマーたちはすでに島に行き自身の契約獣を指定の場所に待機させているらしい。
「兄様、隠されてる宝ってなんなんですか? そもそも、見つけた宝って貰えるんですか?」
「隠されてるのは色々だな~。金だったり、魔道具だったり、まあ学園生活に役に立つものが多いかもな。もちろん、見つけた宝は見つけた奴の物だ」
「難易度が高くなってるなら、隠されてる宝も珍しいものになってるかもしれませんね。テイマーたちもレベルが高いようですし」
「そうなのか?」
「ヴァージル殿下、盗み聞きですか?」
「失礼だな。声を掛けようと近づいたら話が聞こえただけだ。それで、どうしてテイマーのレベルが高いと思うんだ?」
「……島から、明らかに島のモンスターではない気配がします。この気配からすると、最低でD、上はもしかするとAのモンスターが居るかもしれませんね。テイマーのランクは必ずしも実力と比例しませんが、島から感じる人の気配からすると、今回はテイマーと契約獣のランクは比例しているようですから」
「……なるほど。つまり、Aランクのモンスターをテイムできる実力者が居るということだな」
「そういうことですね。兄様、Aランクのモンスターとの戦闘経験は?」
「……ある、が……」
「わかりました。確実に相手をできるのはBランク辺りだけど、複数だと少し心許ない……ということで合ってますか?」
「……ああ。今回はお前に頼りきりになっちまうな」
「問題ありません。適材適所です」
そんな話をしていると島に到着した。教師から改めて宝探しのルールと注意事項そして、参加者には映像を送信する魔道具が付くことを説明された。その魔道具から映像受信魔道具へ映像が送信され、離れた場所にいる不参加の生徒や教師たちが見ることになる。
「それでは、宝探し開始!」
教師の号令と共に参加者たちが我先にと森へ入っていく。
「では、ジュリオ、レイティアラ嬢、また後で」
「ああ、優勝は貰うけど頑張れよ」
「俺も負けるつもりはない」
「お互い頑張りましょう」
ヴァージル殿下とエミリアン殿下、ローデンヴァルト侯爵令息も森へと入っていく。
「じゃ、俺らも行くか」
「ですね。イーリス、シロハナ、出てきて」
私の呼びかけに応じて、二人が私の影から出てくる。
「それじゃあ、行きましょうか」
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