27話
「いや、交信て……」
「どうしたの? ティア」
「なんでもない」
ついさっきまで神界に居たが、戻ってみると現実はもう朝だった。そして、帰り際にアデルと交わした会話を思い出していた。
「ねぇティア。今日も髪をやってくれる?」
「いいよ」
ベッドから出て、洗面所で歯磨きをして顔を洗う。私と入れ違いに、フェリが入る。私はクローゼットから制服を取り出し着替え、髪をセットする。
──と言っても、私はシンプルにハーフアップにするだけなんだけどね。
私の支度が終わった頃にフェリが洗面所から出て来て制服に着替え始める。やはりシャツのボタンを留めるのに苦戦していたが、昨日より早くできていた。制服に着替え終わった彼女を鏡台の前に座らせ、五分程で髪のセットを終わらせる。
「できたよ」
「まあ! 凄いわ! どうなっているの?」
私がやってあげたのは三つ編みカチューシャだ。気に入ってくれたみたいでよかった。
◇◇◇
「今日は授業を選択してもらう」
配られたプリントには時間割が書いてあって、あらかじめ決められている必須科目以外の時間に自分が希望する授業を書き込んでいく。
一日の授業は朝九時からで、五限まである。一限四十分授業。十四時頃には授業が終わる。その後は、さらに授業を選択している者は引き続き授業を受け、その他の者は部活をしたりそのまま寮へ帰る者も居る。
必須科目は一日二時間で残りの三時間に希望する授業を受けるといった感じだ。必須科目は数学、体力育成、魔法実技、魔法史、魔法生物基礎学の五つ。魔法実技は魔法での戦闘方法や戦闘向き魔法の基礎技術、実技訓練。魔法史は国や魔法についての歴史、魔法生物基礎学は魔法生物の基礎知識。
選択科目は剣術、言語学、薬学、魔法生物学
、音楽、美術の六つ。こっちの魔法生物学は魔法生物の研究や魔法生物の飼育を行う。
もちろん受けたい授業がなかったら選択しなくてもいい。
──それにしても見にくいな……。表にすれば、見やすいのに。
プリントは曜日ごとに受ける授業が書かれているのでわかることはわかる……が、前世の時間割表を見慣れている私からすると見にくい……。
さっさと提出するプリントに選択科目を書き込んでいき、自分用のプリントには時間割表を書いていく。
「ティア、それは何?」
「ああ、ちょっと見にくかったから時間割表を書いてみたんだ」
私の覗き込んできたフェリにそう答えながらプリントを見せる。
「あら、これは見やすいですわね」
「本当だね。これはわかりやすい」
後ろの席のお兄様たちもフェリの持っているプリントを覗き込みながらうんうんと頷いていると先生がすぐそばまでやって来た。
「ちょっとそれ見せてみろ」
フェリから渡されたプリントを見て、何かを考え込んでいると思えば、持っていたプリントを差し出してきた。
「これに同じ表を書いてくれ。他の教師たちにも見せて反応を見たい」
そう言われて差し出されたプリントにも同じ表を書いて渡した。
「全員プリントは提出したな。授業は来週から始まる。それじゃあ、明日から始まる恒例イベントの説明をする。明日から三日間、毎年恒例になっている宝探しイベントがある。参加は自由だ。場所はモンスター島。個人、グループどちらでの参加も可能だ。グループの場合、人数は五人まで。モンスターと戦いながら島に隠された宝を探す。見つけた宝の数によって得られる賞品が変わる。イベント期間中は島で過ごすことになるため、参加する場合は覚悟しておけ。命の危険がある場合は流石に助けに入るが、それ以外では助けない。怪我をする可能性もある。参加しない者は登校後自由に過ごしてもらって構わない。説明は以上。参加する者は今日の十五時までに参加する旨を俺に伝えに来い。以上。解散」
解散の号令があると、皆さっさと帰って行く。どうやらイベントに参加する者は居ないようだ。
「ティアは参加する?」
「ん~……どうしようかな。フェリは?」
「私は参加しないわ。多分向いていないもの」
「ティア!」
大きな声で呼ばれ振り返る。
「そんなに大声を出さなくても聞こえています。どうしたんですか、ジュリオ兄様」
「宝探し、俺と一緒に参加しようぜ」
「俺じゃなくて俺たちだろ?」
「いや、俺とティアの二人で参加する。お前はエミリアンとでも参加しろ」
「昨年の優勝ペアが今年が別で参加か。これは見物だな」
「ジュリオ兄様とヴァージル殿下が昨年優勝したんですか?」
「ああ。宝も歴代最多七個見つけてな。今年はどうなるかと思っていたんだが……」
なんと、ジュリオ兄様とヴァージル殿下が昨年の優勝者だったとは。しかも最多記録を更新したのか。先生によると今年はより見つけにくい場所に宝を隠されるらしい。
「ジュリオ兄様、優勝賞品はなんだったんですか?」
「いろいろあったぞ。一年間学食無料券とか必須科目の授業免除とか……だが、一番良かったのは特例行使券だ! これは言うなれば学園長に叶えられる範囲で一つだけ願いを叶えてもらえるんだ。俺はそれでモンスター島への自由通行をもらった!」
「その話乗った!」




