26.5話
入学式も終わり明日から学園生活が始まる。明日の準備も終わり、ベッドに潜り込むと途端に睡魔に襲われる。
「入学おめでとう」
「いきなり呼び出さないでよ」
またしてもやって来ました神界。アデルの後ろにあるテーブルには豪華な食事を用意されていた。しかも、テーブルに並ぶ食事は前世で慣れ親しんだ日本食などばかりだ。もちろん日本食以外もある。
「これどうしたの?」
「兄貴の世界から取り寄せた。ほら、食いながら話そうぜ」
アデルと共に席に着き、食事を始めた。
「お前やってくれたなー。お前のお陰でいろいろ変わってきてるぞ。前世の知識を活かしてこっちにないものを作り出した。そのお陰で世界が少しずつ潤ってきてる。感謝してるよ」
「特別なことはしてないけどね。私は私が欲しい物や食べたい物を何とかして手に入れようとしただけだから。自分の為にしただけだよ」
「自分の為にしたことが世界の為になってんだよ。ああ、そうだ。実は──」
「おい! アデミウル! やっぱりあの国を滅ぼそう! あの国はダメだ」
「落ち着け馬鹿め」
「そうよ~そんな簡単じゃないでしょう?」
「生命を粗末にしてはいかん」
「短気は良くない」
「…………」
アデルが何か言おうとした時、突然歪んだ空間から燃えるような真っ赤な髪と瞳をした青年が出てきた。そして、その後に続いて五人の男女が出てくる。
「お前ら……っ」
「ん? 誰か来てたの、か……クレセンティート様?」
「イグリーン、よく見ろコイツは人間だ。そして女だ。まあ、クレセンティートの祝福を授かった家の人間だが」
イグリーンと呼ばれた真っ赤な髪と瞳をした青年は私を見てクレセンティートと言った。クレセンティートはアデルが言ったように、クレセンティア公爵家に祝福を授けた月の神だ。
「と言うと、クレセンティアの人間か。しかし、クレセンティートによく似ておるの」
白髪にシルバーの瞳をした老人にじっと見つめられる。なんだかこの老人……。
「アデルより創造神っぽい」
「おい!」
「「「「「ぶっ」」」」」
「お前らも笑うな!」
ポロリと口から漏れた言葉にみんなが吹き出した。特にモデル体型のお姉さんがお腹を抱えて笑っている。
「だ、だって……あっははは。貴女面白いわね。ふっふふふ……はあ。こほん。私は大地と恵みの女神、テラエウリアよ」
「俺は火と再生の神、イグリーンだ」
「儂は生命の神、プネプカルじゃ」
「……魔法の神、マギアエピス」
「風と浄化の神、ウクラルス」
「……死と破壊……モルティオ」
テラエウリア様は黄土髪に金の瞳をしたモデル体型のお姉さん。イグリーン様は真っ赤な髪と瞳の細マッチョの青年。プネプカル様は白髪とシルバーの瞳の老人。マギアエピス様は金髪碧眼のインテリ青年。ウクラルス様は銀髪にグレーの瞳をした美少年。モルティオ様は漆黒の髪に赤い瞳の如何にも引きこもりといった感じの青年。
「クレセンティア公爵家の長女、レイティアラ・セレアス・クレセンティアです。ティアでもレイラでも好きに呼んでください」
「ティアちゃんね! よろしく」
「……ティアの心の声、聞こえない」
「いや、そんな訳……聞こえねーな」
「本当じゃの」
心の声が聞こえないのは今までになかったことのようでみんな驚いている。私はそんな神達を横目に食事を楽しんでいた。
「お前は相変わらず呑気だな」
「私にどうしろと? それより唐揚げおかわり」
唐揚げを催促する私に呆れながらも、追加の唐揚げを出してくれる。心の声が聞こえないと言われても私が何かした訳じゃないからね。どうしようもない。
神達は何やら話し合いを始めたので、私は食事を堪能する。アデルは椅子を持って来て私の隣に座り、催促する料理を追加で出してくれる。そして、いつまでも話し合っていた神達に痺れを切らしたようだ。
「お前らレイラのことで悩むのはやめろ。コイツは普通じゃないから頭を使うだけ無駄ってもんだ──痛っ! 何すんだ」
「いや、『普通じゃない』って言われるとムカつくから。何より、アンタに言われると余計にムカつく」
「でも事実だろう。普通じゃない奴を普通じゃないって言って何が──いや、待て。謝るからその手に持ってる物騒な物を下ろせ」
「チッ。引っぱたいてやろうかと思ったのに」
「つか、お前それなんだよ」
「鉄扇」
「何処から出した」
「普通に無限収納から出した」
「やっぱり普通じゃない。神界で人間が無限収納を使えるとか普通じゃない。なんで使えるんだよ」
「さあ? やってみたら使えた」
その後もあーでもないこーでもないとアデルは煩かった。他の神達も私が無限収納を使えたことに話し合いが再燃した。
私はそんな神達を我関せずで見ていたが、アデルが用意した食事も食べ終わったのでお暇することにした。
「それじゃあ、私戻るから」
「あ、そうだ。言おうと思ってた時にアイツらが来たから忘れてたわ。お前、俺と何時でも交信できるようになったから、何かあれば連絡してくれ。俺も暇だったら連絡するから」
「なにそれ。まあ、覚えておくよ。でも、連絡はして来なくていいかな」




