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25話




 歩くこと三十分。漸く学園の正門に辿り着いた。メルお兄様は剣術の稽古や狩りなどで動いていて体力があるから平然としているし、私も冒険者をやっているので問題ない。けれどフェリは普段運動をすることもないのでキツかったみたいで、肩で息をしていた。


「ごめんなさい。私に合わせて歩いたせいで遅くなっちゃったわね……」


「気にしなくていいよ。今日は手続きだけで時間制限も日付が変わるまでなんだから。十分間に合ってるよ」


 今はお昼少し前だ。焦る必要はない。


 校舎に入ると受付があったので名前を伝え、いくつかの注意事項を説明され最後にくじを引かされた。私が引いたのはS5。


「ティアは何だった?」


「S5」


「あら、同じだわ」


「僕はS8。なんだろうね」


「Sはクラスだと思うけど……」


「そちらは部屋番号です。Sはお嬢様が仰った通りクラスで、その後の数字が部屋番号になります。Sクラスは基本的に二人部屋で、クラスメイトと同室なります。Aクラスからは他のクラスの生徒と同室になることもあり、三人部屋だったりすることもあります」


「なるほど」


「荷物はこちらが用意した奴隷が運びます。そしてここからは使用人の同行は禁止ですので、使用人の方はお引き取りください」


 荷物は連れて来ていた使用人が持っており、私たちの後ろに控えている。


「学園ではよく奴隷を?」


「学園内では様々はなことを見聞きすることもあるでしょう。その為、秘密保持の契約が必要になるので奴隷は都合がいいのです」


「ああ。確かに」


 奴隷は主に命を握られているようなものだ。契約を破ることができない。見る限り学園の奴隷はかなり待遇がいいみたいだ。


「私の荷物を運んでくれるのは貴方かしら?○よろしくお願いするわ」


「か、かしこまりました」


「ルイサ、彼に荷物を渡して帰りなさい」


「かしこまりました」


 連れて来ていたルイサに荷物を運んでくれるであろう獣人、恐らく羊獣人らしい彼に荷物を渡し帰るよう伝える。フェリの荷物はリス獣人の女性、お兄様の荷物は大柄な男性が運ぶようだ。


 案内人について行き寮のエントランスでお兄様と別れる。


「荷解きが終わったらゆっくりしようか」


「そうですね。フェリがお疲れのようですし」


「そうだね」


 寮は学年ごとに棟が分かれている。一階部分は共同スペースで、二階から四階までが生徒の部屋。Sクラスは四階。各部屋にはお手洗いと一人用のお風呂が備え付けられている。私とフェリの部屋は一番奥で、四階には五部屋しかないので空いた場所には休憩スペースがある。


 部屋は二人でも十分な広さがあった。


 ──てか、広すぎない?


 十五分程で荷解きを終え部屋でゆっくりする。共同スペースには談話室や娯楽室、食堂、大浴場、ランドリールームなどがある。


「フェリ大丈夫? 足痛いでしょう?」


「少しだけ。でも大丈夫よ」


「ダメだよ。ストレッチとマッサージをしよう。放っておいたら明日筋肉痛になるかもしれないし」


 ついでに私も一緒にストレッチした後、フェリにマッサージしてあげた。


 時間が過ぎるのも早く、あっという間に夕食の時間になった。この日は外に食べに行ってもいいらしいが、私たちは食堂で食べ部屋に戻ってお風呂に入り早めに休むことにした。



◇◇◇



 入学式当日。生徒たちは講堂に集まっていた。生徒は制服組と私服組に分かれている。制服は推奨されてはいるが義務ではないので、ほとんどの貴族は私服だ。逆に平民は制服。

 私とフェリ、お兄様は制服を着用している。私が制服にすると言うと二人もそうすると言い出したからだ。

 男子は紺のブレザーとグレーのスラックス、白のシャツにチェック柄の濃紺のネクタイ。女子は紺のボレロにグレーのハイウエストスカート、チェック柄の濃紺のリボン。私服でも男子はネクタイ、女子はリボンをしなくてはならないが、型はどんなものでも構わない。階級章はネクタイ、リボンに付ける。


 周りを見渡すと服装が乱れている者が多い。学園に使用人は同行できないので自分で身だしなみを整えなければならないが、貴族は基本的に使用人にやらせるので、自分で整えられるのは少数だろう。

 私は問題なかったが案の定フェリはできなかった。シャツのボタンで苦戦し、髪は鳥の巣みたいになっていた。やり方を教えながら整えてあげる。寮のエントランスで合流したお兄様は制服はちゃんと着れていたが、ネクタイが曲がり髪も少し乱れていたので洗面所に連れて行き髪を整えネクタイを締めてあげた。お兄様にもネクタイの締め方を教えた。二人とも覚えが早いのですぐに自分でできるようになるだろう。


 貴族令嬢にとって身だしなみを整えず人前に出るのはかなり恥ずかしいことだろう。その証拠に講堂に居る令嬢たちはかなり落ち込んだ様子だ。そんな新入生を上級生たちは微笑ましそうに見ている。一年生の頃のことを思い出しているのだろうか? 懐かしんでいるように見える。





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