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23話




「エノック、貴方結婚しなさい」


「……ティア様。俺が前に話したこと覚えてますよね?」


「もちろん。だから言ってるの」


 父様にエノックを呼び出してもらい、ストレートに本題へ入る。


「もちろん。でも要は、自分を愛さず期待もしない相手なら結婚できるんじゃない? 貴方だって今まで自分に縁談話がきていたのは知っているでしょう? 今はまだ断れる相手だけど、この先断れない相手が出てきたらどうするの? その前に結婚しておけばいいのよ。誰も文句の言えない相手で、家格の釣り合う相手と」


──かつては縁談が絶えなかったと父様が言っていた。


「そんな都合のいい人居ませんよ」


「大丈夫。私が紹介してあげる。兎に角、断る前に会ってみなさい! いいわね?」


「…………」


「では私は先方に話を通しますので、これで失礼します」


「あ、ああ……」



◇◇◇



 自室に戻ると通信用水晶を取り出し、ある人物に通信を繋げる。


「ティア様! ティア様からの連絡なんて感無量ですわ!! どうなさいました?」


「相変わらずだね、フィー。早速だけどウーラノスに嫁がない?」


「まあ! ティア様の国にですか!? ぜひ!」


「いや、嫁ぐ相手とか気にならないの?」


「ティア様がご紹介くださる方ならどんな方にでも嫁ぎますわ! それにウーラノスに嫁げば今よりティア様にお会いできる機会が増えるではありませんか! 何の問題ありませんわ!」


「……わかった。じゃあ、連絡を待って」


「承知しました!」


 フィーは私が西大陸に行った時に知り合った貴族令嬢で、ある一件以来私に心酔しているらしい。


 もう一人、話を通す人間に通信を繋げる。


「珍しいな。お前から連絡を寄越すなんて」


「ちょっとね。アンタんとこのエステベス子爵家のフィデリアをウーラノスに頂戴」


「エステベスの娘を? 誰にやるんだ」


「父様の側近をしてる男」


「いいだろう。で、これからはウーラノスと友好を築けばいいのだな」


「それはアンタに任せる」


「お前の国に気軽に行けるようになるなら、そっちを選ぶだろう。エステベスとそっちの皇帝には話を通しておく」


「ありがとう」


 これでやることはやったので、後は本人たち次第だ。



◇◇◇



 あれから二日後。私は父様とエノックと共に皇宮に来ている。皇帝陛下から呼び出しがあったからだ。


「突然呼び出してすまないな、ゼル。それにレイティアラ嬢。正式な場ではないから楽にしてくれ」


「何の用だ」


 父様と皇帝陛下、そしてサイラスおじ様は幼馴染だ。父様もサイラスおじ様も皇帝陛下に頭を下げることもなければ敬語を使うこともない。まあ、これはこの国の成り立ちも関係している。それに対して皇帝陛下が気分を害することも父様たちを罰することもない。


「リトス帝国から友好を結ばないかと提案があった。そして、友好の証としてリトスのエステベス子爵家の娘をこちらに差し出すから、できればお前のところのエノックに嫁がせろと」


「エノックに?」


「詳しくはクレマン侯爵に聞いてくれ」


 皇帝陛下のすぐ横に居たクレマン侯爵が前に出る。


「お初にお目にかかります、クレセンティア公爵閣下。リトス帝国で宰相兼外務大臣を務めております、ノエフレド・クレマンと申します」


「それで何故ウチのエノックにエステベスの娘を? エステベスと言えば子爵家でありながら、かなりの資産家だろう。その辺の伯爵家以上に裕福なはずだ」


「詳しくはお嬢様にお聞きになった方がよろしいかと」


 クレマン侯爵はそう言いながら私をちらりと見た。


 ──ありゃ。また全部丸投げされたのかな?


「ティア?」


「ああ、はい。私がリトスの皇帝陛下にエステベスのフィデリア嬢をこちらに嫁がせてほしいと頼んだので、その為かと」


「「「は?」」」


 声を揃えたのは父様と皇帝陛下、そしてエノックだ。皇帝陛下の隣に座っている皇后陛下は扇子で口元を隠しているが、驚きで目が見開いている。


 ──驚いていても美しいとか……。反則じゃん。


 皇后陛下は父様の双子の妹だ。父様と同じく美しい顔をしている。


「レイティアラ嬢。君はリトスの皇帝と知り合いなのか?」


「あー……そう、ですね」


「手懐けていらっしゃいます」


「手懐け……?」


「人聞きの悪いことを言わないでほしいわ。勝手に懐いてきただけでしょう」


「だとしても、あの陛下がティア様の言うことには素直に従っています。それに今回の件だって、友好を結べば転移陣を設置できるからティア様に気軽に会いに行けるようになると言う理由らしいですし」


「……レイティアラ嬢はリトスに行ったことがあるのか?」


「ええ。三年程前に。フィデリア嬢ともその時に知り合いました」


「ふむ……それはそうと、エステベスのご令嬢はこちらに嫁ぐことに納得しているのか?」


「納得以前にエステベス子爵令嬢はティア様に心酔していらっしゃいますので、ティア様が嫁げと言えば相手が五十以上離れた老人でも、暴力男でも豚野郎でも喜んで嫁ぎますよ」


「ちょっと言い方。そんな相手に嫁がせないわよ、勿体ない。兎に角、フィデリア嬢にはすでに話を通してあります。二つ返事で承諾してくれました」


「根回しがいいことで」


「……ノエ? いつも以上に棘があるけど虫の居所が悪いの? また無理難題を吹っかけられた?」


「……ティア様。私がどうやってここまで来たと思います? ティア様から連絡があってまだ二日ですよ? 本来なら私がここに居るはずないでしょう」


「まあ、そうね。私も随分早いとは思ったけど、どうやって来たの?」


「…………空から来ました」


「ん? 空? …………あ、えっ? まさか……?」


「そのまさかです」


「…………よく無事だったね」




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