22話
「でも飛び級入学するのはいいけど、卒業した後はどうしようか決めてないのよ……ティアはもう決めてるの?」
「私は学院に行こうと思ってる。学院の方がもっと専門的なことが学べるし、いろんな年代の人と知り合えるからね」
そう、私は学園を卒業した後は学院に通おうと思っているのだ。皇弟殿下が治める自由都市リベルタの東に位置する学園島に、リベルタ学院という学園より専門的なことを学べる場所がある。学園島にある学園都市の中心に位置し、島一つがそのまま学院の所有地になっている。年齢制限はなく身分不問。学院では学べる分野も幅広く教師や講師はその分野の専門家が多い。
「焦らなくてもいいんじゃない? 学園を卒業するまでに決めれば」
「そうね」
そうしてサンドロップ一家と話していると大叔母様が大叔父様とアレを連れ立ってこちらに向かってくるのが見えた。
「父様。大叔父様たちが」
「ああ」
アレはショッキングピンクに白を合わせたプリンセスラインのキャップスリーブドレスを着ていた。イヤリングとネックレスもピンクで揃えている。
『似合わないわけではないけれど、ちょっとね……』
『やっぱりフェリもそう思う?』
同じことを思ったフェリが念話で話し掛けてきた。
──流石にショッキングピンクって……。ちょっと気合い入りすぎでは……。
大叔父様たちが父様やサイラスおじ様、グレイスおば様と話している間、アレはきょろきょろと会場を落ち着きなく見渡していた。
──あんなにきょろきょろしてたら……
「レティシア! 大人しくしていなさい。はしたない」
──やっぱり。
『ティア、睨まれてるわよ』
アレの行動に呆れていると再びフェリから念話があり、彼女の言う通りアレに睨まれている……まあ、見なかったことにして。
『なんで睨まれてるんだろ』
『さあ? 私も睨まれたわ』
──ホント意味わかんない。
その後、皇族御一家が入場されるまで大叔父様たちと談笑していた。アレは少し離れた所にいたが、終始辺りを見渡していた。
──品定めでもしてるのかな?
皇帝陛下の挨拶が終わりデビューする子供たちがパートナーを連れてホールの中心へ歩き出す。ダンスの始まりだ。一曲目は保護者……ほとんどの者は親と踊り、二曲目は兄弟や親戚と踊る。その後は自由だ。
私は一曲目に父様と踊り、二曲目にメルお兄様、三曲目にジュリオ兄様と踊った。その後は大叔父様、サイラスおじ様、ラルお兄様、エド兄様と続いた。
──いきなり身内七人と踊るのはキツかったけど楽しかった。
アレは私の次に父様と踊っていたけど、必死に話し掛けていたみたいだったが父様は終始真顔だった。その後はメルお兄様とだけ踊っていた。
「流石に疲れたわね」
「フェリ。もういいの?」
「ええ。ティアは疲れてなさそうね」
「体力はあるからね」
「あの子はゼルおじ様とメルお兄様としか踊ってなかったわね。おじ様はずっと真顔だったし」
「あ~。今までのやらかしのせいかな」
「そう……ねぇ、ティアは学院に何を学びに行くの?」
「従魔学。私は従魔師だけど、やり方が普通とは違うらしくてね~。それがダメって訳じゃないけど、普通のやり方を学んでおかないと自分が他とどう違うのかもわからないからね。それと人脈。さっきも言ったけど年代の違う人が集まるからそれだけ人脈を作れるでしょ? それに学院にはいろんな分野の専門家が居るし、繋がりを持っていればいつか役に立つ時が来るかもしれないから」
私が何故、従魔学について学ぼうと思っているかというと、以前ユルリッシュに言われたことが理由だったりする。私のテイムの方法や従魔の扱いが普通とはかけ離れていると。だから本来の従魔学というのを学んでみようと思っている。まあ、普通に興味がありっていうのもある。
「貴女は本当に先を見据えているのね。私なんて全然……」
「私と比べたらダメだよ。それに私は好きに生きてるだけだから。フェリは好きなこととか得意なことって何かあるの?」
「刺繍かしら? 他にも編み物とかも好きね。お母様も褒めてくれるわ」
「いいじゃん。それだって極めるか趣味で終わらせておくかでも違ってくるじゃん? 出来が良ければ売れるかもしれないし。まあ、要はどこまでやりたいかじゃないかな? 確かに先を決めた方がいろいろ考えられるとは思うけど、フェリは将来どうしたいの? 貴族だから結婚は避けられない。でもその後は? ただ従順に家を守る女主人になるの?○それとも自分で何か成したいの?」
「……」
「すぐに決めなくていいよ。まだ時間はあるんだから」
「…………そうね」
そうこうしているうちにパーティーは終わった。アレは今日のパーティーでも大叔母様の及第点には至らなかったので、三年間、領地別邸で引き続き大叔母様の再教育が決定した。
◇◇◇
屋敷に帰って来るとすぐにお風呂に入り、疲れを癒した。お風呂からあがると父様に呼び出された。
「疲れているところ悪いな」
「いえ、大丈夫です。どうしました?」
「……実は、エノックに縁談がきている」
「それは……。エノックにはもう?」
「ああ。断られたがな……しかし今までも何度か縁談の話があったんだがアイツの事情も知っているから強くは言えなくてな」
「うーん…………よし、エノックを結婚させましょう」
「いや、だがアイツは首を縦には振らんだろう」
「そこは私に任せてください」




