21話
月日が流れ13歳になった。貴族の子供は12歳~15歳の間、つまり学園に入学するまでの間に社交界デビューをする。我が家は13歳で社交界デビューすることになっている為、私も今年社交界デビューする。女ならデビュタント、男なら狩りという国もあるらしいけどこの国は違う。着用する服は白を取り入れたものと決められており、細かい決まりはないのでとりあえず白が少しでも入っていればいい。そして、その社交界デビューのパーティーは今日皇宮で開かれる。私は数日前から帝都の屋敷に移っていた。
さて、今日のパーティーはお昼からだというのに朝から体を磨かれた。起きてすぐにお風呂に入れられ髪にオイルを塗られマッサージをされ、最後の仕上げに香水を振りかけられる。かつてないほどに着飾った私の完成だ。
──準備にこんな何時間もかかるの? パーティーって面倒……。
そして時刻はすでに十二時を過ぎている。私は今まで公の場には全く出ていなかったので、今日のパーティーで初めて公の場に顔を出すことになる。だからなのか、侍女たちが張り切っているのだ。
「できました、ティア様」
「ありがとう、ルイサ」
この紫紺髪にマラヤガーネットの瞳をした妖艶な女性はルイサ。リディに続き雇った私の専属侍女だ。彼女は元暗殺者で、私を暗殺しに来たところを返り討ちにし、任務に失敗したら死ぬ呪いとやらを解いてやりスカウトしたのだ。元暗殺者だけあって頼りになる。
「ティア様、旦那様がお待ちですよ」
ちなみにリディは臙脂髪・アンバーの瞳をした元気っ娘だ。種族的なこともあって彼女も強いのだが、人族でありながら彼女より強いルイサは凄いとしか言えない。
父様と兄様たちが待つエントランスへと向かう。
「お待たせしました」
「「「…………」」」
「似合いませんか?」
「「「似合う」」」
「ふふっ。ありがとうございます」
「化けるもんだな」
「兄様? どういう意味です?」
「あ、いや……」
「気にしなくていいよ、ティア。兄上は素直に褒められないだけだから」
「違うわ!!」
「その辺にておけ。ティア、よく似合っている」
「ありがとうございます」
「では、行こうか」
「はい」
◇◇◇
皇宮の正門をくぐり抜け、公式行事などを行う宮の入口へと馬車が着けられた。兄様たちが降りて次に父様が降り、私に手を差し出した。父様の手を取り会場までエスコートしてもらう。
「魔法騎士団・団長、ゼルギウス・シュルテン・クレセンティア公爵。ご子息、ジュール様、イシュメル様。並びにご令嬢レイティアラ様。ご入場です」
ホールの入口に立っていた騎士が大きな声で告げる。そのままホールに入ると多くの視線が刺さるが気にせずに進む。
「まあ、なんて素敵なドレスかしら」
「見たことのないデザインね」
私が着ているドレスは、上の部分は瞳と同じ瑠璃色で裾に向かって白くなっていくグラデーションになっている。また金の粒を散りばめたように刺繍もされている。ドレスの種類はロングスリーブと呼ばれる手首まで袖のある長袖デザインのドレスだ。アシェルが張り切って作ってくれた。イヤリングとネックレスも瞳と同じラピスラズリで統一した。髪はハーフアップにしている。
今あるドレスの種類は、袖口にかけて広がっているベルのような形をしたベルスリーブ、袖をふわっと膨らませたデザインのパフスリーブ、肩先が隠れるくらいのキャップスリーブ、袖のないノースリーブ、そして肩を出すオフショルダーの五種類だ。なので、私が着てるドレスは見たことがないだろう。
「みんなティアを見ているね」
「注目されるのは嫌いなんですけどね」
「ティア」
名前を呼ばれ振り返ると、そこにはレモンイエローと白のドレスを着たフェリが居た。彼女はパフスリーブのプリンセスラインのドレスにシトリンのイヤリングとネックレスを着けており、髪は下ろしてゆるふわパーマをかけたような感じだ。ちなみに私はエンパイアラインのドレス。
「フェリ。よく似合ってるわ」
「ありがとう。でも、貴女の方が素敵よ。見たことのないドレスね」
「ふふ。ありがとう。商会長が頑張ってくれたの。ロングスリーブっていうの」
「いやー、馬子にも衣装とはこのことか?」
「お父様?」「あなた?」「おじ様?」
「い、いや……痛って」
女3人に冷ややかな目で見られたサイラスおじ様はあたふたし、そのうえ父様に殴られ慌てて話題を逸らした。
「そ、そう言えば、ティアは今年学園に飛び級入学するんだろう?」
「ええ」
「実はね、フェリも今年学園に飛び級入学するのよ」
「そうなんですか? フェリと一緒なら楽しくなりそうです」
そう。私は今年飛び級で学園に入学する。今年学園に入学するメルお兄様と同級生ということになる! だけど私は飛び級での卒業を目指している。目標はジュリオ兄様が卒業する二年後に一緒に卒業することだ。まあ、それが無理だったら普通にメルお兄様と一緒に卒業してもいいのだが。
──まさかフェリも飛び級入学するなんて!
「教えてくれたらよかったのに」
「驚かせたかったのよ。ティアと一緒に学園に通いたかったから、頑張っちゃったわ」
──可愛い!!!




