《ROUND2−2》スポーツドリンクとトレーニングと退屈
―――天翔道流・ゲーム拳士となった赤城玲王。
彼は今、天翔道流の拳士の総本山にしてスポーツジムの『ヘラクレス』内にてトレーニング実施中。
さて、何故このような話になったのかと言うと。それは1時間前に遡る事になります。
〚SETTING...〛
「ホンマに言うとるんですか!? 玲王を拳士に鍛える為に、舞と龍青とゲームワールドに行くって……!」
玲王達三人の先輩であるゲーム拳士・高橋豪樹は、天翔道流の師範のマスター・金剛が課した修行の内容に困惑した。
舞と龍青はともかく、玲王はまだ拳華成闘の『け』の字も知らないド素人。
そんな彼を連れて、電脳空間のVRMMOである『ゲームワールドオンライン』に転送し、そこでしか手に入らない食材を手にしろというのが修行の内容である。
豪樹のみならず、舞や龍青もこの内容に抗議する。
「そんな余裕なんか無いですよ! もう既に奈落道の連中が地上にどんどん押し寄せてる状況なのに、マスターに何かあったら……!」
「そうです、奴等との闘いはここからが本番なのです。それに……皇牙とも、相見える事になるでしょう」
「……おーが? なんか強そうな名前だなー」
緊張感が高まる舞と龍青に対し、能天気ながらも“皇牙”の名が気になる玲王。
「せや、滅茶苦茶強いで。『黒嵜皇牙』、彼が街を破壊していった奈落道流の拳士達の総領や」
前回で初めてお披露目しました、玲王達ゲーム拳士達の好敵手となる漢、黒嵜皇牙。
彼の詳細は引き続き豪樹が語る。
「皇牙は、奈落道流で培った妖術を用いて、地底空間にいるプレイヤー達或いは屍と化した死者たちを蘇らせ、同胞を作ってんねん。同じ奈落道流のゲーム拳士として。
そんな奴らを止める為に、お前等三人で立ち向かわなアカンのや!!」
それを聞いて、玲王と舞は真剣な眼差しに変わっていく。
これから地上には、更に強い奈落道流拳士が襲い掛かってくるだろう。
そんな輩に立ち向かう為には、玲王・舞・龍青と正義のゲーム拳士が必要となるのだ。人々の希望となり、脅威を払う拳となりて!
「赤獅子と黄狐と青龍、三つの獣の魂を持ったゲーム拳士のゲーミングチーム! それがお前等―――【ビースト・ハーツ・ファイターズ】や!!」
通称『B・H・F』。三つの獣の魂がトライアングルとなりて、心技体の絶対的な力を発揮するチームが今、結成し―――
「そんな事より、今は技の習得ですよ!!!」
あ、あら、龍青さん!?
「マスター・金剛、わたしに『EXコマンド』の技を教えて下さい! わたしはもう青龍のPASを自在に操れます。しかし、その力を最大限に発揮するには、どうしてもそのコマンドの習得が必要なのです! どうか会得の助言を……」
拳華成闘に新たな用語『EXコマンド』というワードが出た。恐らく必殺技のシステムなのでしょうか?
「焦るでない、龍青。それに『EXコマンド』は未だ三人には早いと言った筈だぞ」
……と、説明を求める間もなく遮ったマスター・金剛。
「しかし……えっ、三人? わたしだけの話では?」
「拳士は互いに切磋琢磨し、鍛え合うのが常。誰も御主のみに依怙贔屓はせん」
「ちょっと待ってください! この玲王って奴はまだ拳華成闘じゃ凡人ですし、問題外でしょう!?」
「んにゃ?」
玲王に対して、若干当たりの強い龍青。しかし本人は言葉の意味は知らずにポカンとしてます。
「それに根性専門の舞とも違って、わたしはどんな技でも会得する覚悟です。だから……」
「ちょっと、 “根性専門”ってどーゆー意味よ! まるでそれしか取り柄が無いみたいじゃない!」
「そこまで言ってないだろ!」
「なーなー、“ぼんじん”って何だ? 美味いのか?」
「うるさい! お前は黙ってろ!!」
ゲーム拳士は己の技巧に誇りを持つと同時に、血の気も多いのが特徴。特にプライドの高い龍青の言動で舞と玲王が突っかかり、次第に喧嘩へと激化した。
「オイ、チーム作って早々喧嘩する奴があるか! 止めんかい!!」
豪樹は慌てて三人の喧嘩を制止しようとする。一方のマスター・金剛は、慌てず騒がず茶を飲みながら様子を伺う。そしてこう呟いた。
「……確かに、早い遅いと四の五の言ってる場合じゃないな」
そしてマスター・金剛は決断した。
「良かろう! 今から龍青と舞に、拳華成闘の『EXコマンド』修得への道を示そう!!」
「「―――はい!!」」
「……痛い」
揉めに揉めて、舞と龍青で玲王の身体を滅茶苦茶に引っ張られてる所。マスター・金剛の鶴の一声でピタッと喧嘩は止まった。
「修得の内容は先ほども言った通り、舞と龍青で、玲王に拳華成闘の基礎を教える事。そして、三人で【ゲームワールドオンライン】にて、ある食材を収集するのだ。…………以上!!」
結局、マスター・金剛に課せられた課題を果たす事以外、舞と龍青にレベルアップの道は無いと知り、唖然とする二人。
「それじゃさっきと変わらないじゃないですか! 意味が分かりません! こんな野生児とわたし達に、何の関係があるというんですか!?」
「山を昇り、海を渡り、そして空を飛ぶことも、全てやってみないと分からぬものだ。切り拓いてみせい、己の野生の心一筋で……!」
師範の教えに意味深な言葉。益々困惑する龍青達。
かくして、道に導かれるがままに二人は玲王に拳華成闘の基礎を叩き込むことになりました。
〚SETTING...〛
―――時を現在に戻して、玲王の鍛錬から。
舞の柔軟体操で身体を無理矢理解された玲王は、『拳華印輪』を着けてVRフィールドを展開。
そこから【トレーニングモード】という訓練システムを用いて、180センチ以上の高さのサンドバッグ相手にスパーリングを行う。格闘技トレーニングの基礎中の基礎を舞がコーチングする。
「右、左、右、左! 交互にパンチを繰り返すだけ。これを1000回やっていくの!」
「1000回!? そんなにやって良く飽きないなー!」
「飽きる飽きないの問題じゃないの! こういった日々の積み重ねが、強さの第一歩なの!」
「えぇ〜!? それじゃつまんねー!!」
玲王は10数えるだけでも飽きっぽい性格。その100倍となると気が遠くなるようで、苦痛にも感じた。
「喉乾いた〜! その飲みもん、貰っていいかー?」
「ダメ! あと990回打ってから!」
玲王はペットボトルにぎっしり詰まったスポーツドリンクに手を出すも、舞に制止される。
スパーリングを1000回やり切って、極限に乾いた状態でドリンクを飲むのが一番なのを舞は知っているが、当然玲王は知らない。目の前で“待った”をされるのは一番辛かった。
そんな様子を遠目で見ていた龍青。『ヘラクレス』で常備されている赤樫で出来た6尺(約180センチ)の棒を取り出す。それを退屈していた玲王が目に付けた。
「あーーっ! 何だそれ、面白そう!!」
好奇心でキラキラと眼を輝かす玲王。それに対して冷ややかで軽蔑するような眼で龍青は応える。
「何って……ただの棒だ。棒術という日本武術に使われるヤツだが?」
「面白れーじゃんか! オイラそういうのをやりたかったんだ! それ、貸してくれよ!」
「コイツはセンスの無い奴には使いこなせん。野生児が持った所で、棒で頭かち割ることしか考えんだろう」
「そんなんじゃねーよ! やるったらやるんだー!!」
「初心者には無理よ、先にスパーリング1000回してから……」
「うるせー!! 早くその棒を貸せーー!!!」
退屈と不満で溜まったストレスで頭に来た玲王。野生の本能で龍青に飛び付くも、彼はひらりと身を交わし、玲王はサンドバッグに頭をぶつけてしまう。
「痛ってぇ〜……」
「大丈夫!?」
舞はもんどり打った玲王を介抱するが、
「しゃーーーーーッッ!!!!」
「「!?」」
動物の威嚇でしょうか、顔をへちゃむくれて口を大きく開けて叫ぶ玲王。これに龍青と舞は驚き、その隙に玲王は棒を奪って、ヘラクレスを逃げ出した。
「待ちなさい、玲王!!」
舞は玲王を追い、一人取り残された龍青は呆然と立ち尽くしていた。
「…………何なんだ、アイツ」
――ビースト・ハーツ・ファイターズ、結成にして早くも解散の危機か?
果たしてマスター・金剛の修行を達成できるのでしょうか!?
〚Coming Soon…〛
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