女官謝鸞
夢ではない……
うああ……
苦い。
この薬。
うああ!
杜尋雲は心の中で咆哮した。だが碗を持ち、すでに飲み慣れているふりをするしかなかった。
この夜に届けられた煎じ薬は、彼女の眠気をすっかり吹き飛ばした。髪の毛が逆立つほどの苦さだった。
「主子、以前はこのようなものをお飲みになれませんでしたのに、今はとてもご立派になられましたね」若竹が微笑んだ。
「うあええええ……ゲホゲホ……早く言ってよ」
杜尋雲は煎じ薬が碗の底にほんの少し残ったのを見て、お盆に戻して誤魔化そうとした。
「主子!」若竹の声が少し大きくなった。「全部お飲みになってこそ、砂糖漬けの果物がございますよ」
これじゃ子供あやしでしょ……あ、そうだ……私は子供なんだ!
杜尋雲の頭の中は混乱を極め、再び碗を手に取って我慢して飲み干した。
若竹は薬碗の載ったお盆を下げ、両手で小皿を捧げ持って戻ってきた。
そこには親指大の茶色い果物の砂糖漬けが数個あった。杜尋雲は一つ取って口にし、とても特別な味がすると感じた。さすが後宮である。
「桃?」
「はい、そうです」
杜尋雲は気分が一気に幾分か良くなったと感じたが、彼女自身はそこまで桃が好きではない……この娘の好物なのだろう。
彼女は自分の掌を何度も裏表にして見た。きめ細かく柔らかい肌で、労働をしたことのない良家のものであり、入宮できたからには間違いなく貴族である。
「若竹」
「はい」
「うちの家は何をしているの?」
若竹の手元の皿は二度ほど震えただけで、以前よりもずっと早く落ち着きを取り戻した。
「あなた様の父上は正二品、蕭崇岳様で、現在はすでに引退されております。お兄上の蕭雁行大人は、騎兵一千、歩兵三千を掌握する地方の将領でございます。民夫を合わせますと、計八千の大軍です」
あは。道理でね。杜尋雲は息を整えた。「親の家業を継いだの? 最近兵を増やしたんじゃない?」
「左様でございます。以前は騎兵五百人、歩兵二千人でございました」
杜尋雲はベッドに横になり直した。「ふう……引退したばかりの高官と、出世盛りの武官か……道理で嬪に昇格するわけだ……おいおい……事態は思っていたより厄介だな」
私が死んだら、いや、この体が死んだら、下手をすれば動乱が起きるんじゃないか。
あ、いや。
もう乱れかけているのだろう、知らせは間違いなく外に伝わっているはずだ。
本来なら全く眠れないはずの複雑な事態なのに、まぶたが激しく重くなってくる。杜尋雲は自分の腕や太ももを触ってみた。どれもしっかりしている……ふむ……健康な若者だ。
彼女は若竹をちらりと見た。彼女はまだ傍らで中腰になり皿を捧げ持って仕えていた。
「下がっていいよ」
「奴婢はこれにて失礼いたします」
……
……
一眠りして目を覚ますと、目を開けた後の光景は極めて見知らぬものだった。病室ではない。
杜尋雲は眉間を揉んだ。肌も、感触も以前と違っている。
まずいな。本当に夢じゃないのか?
「主子、お目覚めになられましたか」
若竹はすでに玉すだれの外で控えていた。
円形の門洞が、まるで二人を異なる場所に隔てているかのようだった。
寝室と居間という概念にすぎないのに、雰囲気は尋常ではなかった。
「うーん……」杜尋雲はまだ夜が明けていないことに気づいたが、体はもう起きる時間だと感じていた。
「聴蘭、素梅」若竹が二つの名前を呼んだ。
二人の宮女が小股で歩いてやってきた。
彼女らの衣服は若竹のものに近かったが、刺繍が少し少なく、生地がやや粗かった。
「主子の洗面と着替えを」
聴蘭は服を取りに行き、素梅はどこからか垂れ幕を取り出してきた。
二人の太監が木桶と木製の手水鉢を抱えて足早に部屋に入り、部屋の隅に油布を敷き、桶を置き、机の上に洗面器を残して部屋から退室した。
ちょっと待ってどういうこと……
杜尋雲は目の前の恭桶を見つめた。
ここでおしっこするの!?
素梅は内側の棚に紙を整えて置き、傍らで垂れ幕を掲げ、主子が座るのを待った。
「待って待って待って待って!」杜尋雲が彼女たちの動きを呼び止めると、彼女たちは動きを止めて彼女の言葉を待った。
「わ、私、いつもここで用を足してるの……?」
「左様でございます」
杜尋雲も我慢できなくなり、気まずい思いをしながら立ち上がってその隅へと歩いて行った。
素梅が垂れ幕で遮った。
杜尋雲は底にある木炭の灰をしばし見つめた……なんてこと……これ……特大の猫砂トイレじゃない……
昨晩薬を飲んだせいか、彼女はしばらく座っていた。部屋の中にはほのかな香が焚かれた。おいおいこれも恥ずかしすぎるでしょ。彼女は拭いて立ち上がり、垂れ幕の外へ出た。素梅が水を持ってきて手を洗わせた。聴蘭が戸枠をノックした。外の太監が不意に部屋に入り、素早くすべてを片付けて運び去った。
うああ……杜尋雲は初めて見るのではないというふりをした。思わず若竹と視線が合ってしまったが、若竹はただ微笑んで頷いた。
「本日はご挨拶は不要でございますが、女官がお目通りを求めており、すでに門の外で長くお待ちです」
「はぁ……うん……」
若竹は慎重に杜尋雲の腕を支え、聴蘭が素早くやってきて服を着せかけた。素梅が素早く後に続き、主子の長い髪を持ち上げた。
「あなたたち、何時に起きたの」
聴蘭と素梅は息を呑んだ。
若竹は一呼吸置いた。「寅の刻でございます」
「ん?」杜尋雲は心の中で唱えた。子丑寅卯……子の刻は夜の23時から1時……なら寅の刻は……3時!?
「じゃあ、今はもうすぐ卯の刻?」
「左様でございます」
あああああ? 5時? 今まだ5時前なの???
若竹は杜尋雲を座らせ、髪を梳いた。別の二人は彼女に靴を履かせるのに忙しかった。
「普段は卯の刻に皇太后様と皇后様へご挨拶に伺いますが、本日はご病気のためお休みです」若竹は小声で言った。
さっき一瞬耳にしたような情報だった。
杜尋雲は目の前が真っ暗になる思いだった。こんなのテレビドラマにはなかった!
つまり、毎日夜が明けたら必ず挨拶に行かなければならないという意味か。
「現在、ご挨拶の際は『奴婢』と自称せねばならず、嬪妃に昇格して初めて『臣妾』と自称できます」彼女は小声で付け足した。
「あ、うん、ありがと」
「では、今は……」
「重病でない限り、女官に会うにはきちんとした身なりが必要です」
「はぁ……わかった……」
「本日参りました女官は正五品でございます。あなた様がもし嬪に昇格なされば正四品です。貴人には定まった品階がございません」
「OKOK。あ、いや、わかった」
こんな気まずい等級があるなんて。つまりもし順調に嬪に昇格していれば相手より上だったのに、今はすべてがストップしているということだ。
「めんどくさいなぁ」思わず口から漏れてしまった。
髪が結い上げられた。
鏡が持ち上げられ、彼女の顔を映した。
そういえば、ここは本当に明と清のミックススタイルだな。服も髪型も両方の王朝のスタイルを兼ね備えている。それに昔見たドラマでは、清代には太監と宮女しかいなくて、明代になって初めて女官がいたはずだ。もしかして結局はまだ夢なのか。ああ、もし目が覚めたら、同僚に自分が猫砂トイレで用を足したことを愚痴ろうか……
「それじゃあ、これで彼女に入って来てもらっていいのかな」
若竹は頷き、聴蘭と素梅を外へ出させた。
……
……
「これは……」杜尋雲は背中から汗が絶え間なく噴き出してくるのを感じた。
目の前の女官は机の脇に立ち、まるで鷹のような鋭い視線で彼女が数ページめくるのを見つめていた。
この女官の名は謝鸞といった。
身のこなしは引き締まっており、茶褐色の長袍を身にまとい、軽やかで優雅、文武両道といった風情だった。顔立ちも美しく、現代に置いても杜尋雲が二度見してしまうレベルであることは間違いない。
だが、そんなことはどうでもよくなった。
句……句読点が……ない!!!
彼女が持ってきた本に!
句読点がない!!!
「貴人様、入宮された際も、私が宮規の実演指導をいたしましたが、覚えておいででしょうか?」
「あ、ああ、はい」
こんな美人を忘れるわけがない、純粋に初めて会っただけだ!
それに! なんで? なんで……大青王朝なわけ!?
表紙の文字が、「青」!?
「大清」じゃないの!?
さんずいはどこへ行ったの!?
は?
あちこちめくってみても、一目では答えが見つからない。
「太医の意見によりますと、貴人様はまだ静養が必要とのことですので、本日は状況の確認のみにいたします。もし思い出すのが困難であれば、臣が毎日参ります」
「それちょっと紛らわしい言い方だな……」杜尋雲は分厚い書籍に向かって小声でツッコミを入れた。
相手は無意識にほんの少し首をかしげたが、すぐに姿勢をまっすぐに正した。
「また、貴人様は本来なら嬪に昇格される予定でしたので、新しい書籍が必要となります」
杜尋雲の目の前で、太監がまた一冊差し出してきた。
なんでまだあるの? これじゃ小学校と中学校を一緒に勉強するのと何が違うのよ!
太監は今回の動きが極めて速く、後ろで控えていた者たちと一緒に退出していった。
部屋に残ったのは、杜尋雲、謝鸞、若竹の三人だけになった。
どういうこと?
杜尋雲が何気なく開くと、なんとカラーの挿絵だった。
春画じゃん!!!
中には様々な体位の詳しい解説が載っていた。
杜尋雲は見ているだけで顔から火が出るほど恥ずかしくなり、顔を上げると二人はなんと平静を保っており、何の反応も示していなかった。
「これ……」彼女は素早く後ろの数ページを見た。男と男も女と女もあるじゃないの! 教え方が細かすぎるでしょ!
待って……彼女たちは地獄に落ちるとか思わないのかな?
あ、違う、あの地獄は聖書の概念だ!
地獄なんてない!
キリスト教的な地獄はまだ伝来すらしていない!
「もしご疑問がございましたら……」
杜尋雲は顔を赤らめて本を閉じた。「大丈夫、後でゆっくり見るから……」
やり方は知っている、ただ後でじっくり見るために取っておきたいだけだ。何しろ現代において、彼女は男女どちらもいけるクチなのだから。
「ご疑問がございましたら、臣がすべて解説いたします」女官は職務を最後まで説明しきった。
「じゃあ、質問山ほどあるんだけど」
後宮で生き抜くためには、まず何よりも基本的なしきたりを弁えねばならない――杜尋雲はそのことをよく理解していた。
だが、そもそも自分がこの場所に現れたのは、一体何のためなのだろう。
この日常は、あまりにも自然に過ぎる。あれだけの一大事が起きたというのに、まるで緩んだネジを一本締め直しただけで、機械が何事もなかったかのように再び動き出したかのようだった。
ふと、以前観た宮廷ドラマのワンシーンが頭をよぎった。皇帝は必ずしも女人と夜を共にする必要などないのだ。ときには政権の均衡を保つため、過激すぎる高官の娘を妊娠させまいとすることもある。相手の一族がこれ以上増長しないように。
「謝大人、これは早急に習得する必要がございますか?」彼女は再び春画を広げた。
「もちろん、焦る必要はございませんよ。ゆっくりで結構です」
やはり、そうか。




