外国人不動産取得の前に国民皆住宅所有を
初出:令和7年12月25日
かつて日本政府は国交正常化してない北朝鮮に対して、人道的支援の観点から食糧支援を行ったことがある。
1995年にはコメを50万トン、2004年には小麦、トウモロコシ、コメを組み合わせて25万トンを北朝鮮に無償で提供した。
当時、これを日本の国民的感情から批判する人はほとんどいなかったと思う。日本人で餓死の心配をしている人はほぼ皆無で、むしろ食べ過ぎによるメタボで悩んでいる中高年の方が多数派だったからだ。
フォアグラ、キャビア、トリフなどの高級食材はいざ知らず、小麦、トウモロコシ、コメは当時の普通の日本人なら簡単に購入できた。だから餓死に悩む北朝鮮人民を憐れむ心の余裕があった。
ひるがえって、今日、中国人富裕層が日本の土地や建物などの不動産、特にタワマンを買いあさっているという記事を読むと、反中感情が湧き上がってくる人が多いのはなぜだろう。
かりに普通の日本人が簡単にタワマンや戸建て住宅を購入できたとしたらどうだろう。
あるいは平均的所得の日本人が住居の他に別荘を数軒持ち、田畑も持っているとしたら、住居を持てない外国人を憐れむ心の余裕が生まれるかもしれない。
中国人が日本のタワマンを買っても、あまり嫉妬心は湧き上がらないだろう。
こう主張すると、領土の狭い日本で普通の人が「住居の他に別荘を数軒持ち、田畑も持つ」のは不可能だとあなたは反論するかもしれないが、だったら思考実験でその中間点を模索していただきたい。
普通の日本人が自分と自分の家族が住むマンション、もしくは戸建て住宅なら住宅ローンなしで簡単に所有でき、しかも先進国の中産階級が所有する住居と比較し、不動産の面積が狭小ではないという状況ならどうだろう。
これなら行政が本気で推進すれば実現可能ではないだろうか。
1.国民に時間と空間を与えよ
国の豊かさを示す指標にGDPがある。GDPの数値が高いほど国が豊かであるという価値観だ。
この発展形に人口で割った国民一人当たりのGDPというものもある。
しかしながら、小生は上記の指標に加え、国民が所有する時間と空間を豊かさのバロメーターにすることを提言したい。
国民が所有する時間とは一日の中で労働時間と通勤時間を引いた自由時間である。あるいは1週間単位、1年単位で計算してもよい。休日が多いほどこの時間は長くなる。
また国民が所有する空間とは、不動産の面積または体積のことだ。住居の面積や体積が大きい方が国民は豊かだと考える価値観である。同じ土地に建てた戸建てでも平屋より二階建ての方が所有する面積は広く体積は大きいと考える。
従来型の算出方法では不動産の売買価格で資産価値が決まるというものだが、都内一等地の狭小住宅はあまり価値がないと考える。同じ土地の面積でも都心か僻地かなど状況に応じて価値は調整すべきかもしれないが、いずれにせよ面積は大事だ。
さらには同じ面積でも天井が高いマンションと低いマンションがある。この場合、前者の方が体積が大きいのでより価値が高いと考える。
また細かい話だが固定資産税はなくすか、十分安くする必要がある。たとえ不動産を所得してても固定資産税が高過ぎたら、それは賃貸住宅に住んでいるのと同じで所有しているとは言い難い。
2.なぜ国民に空間を与えるのか
以前、「なろう」のエッセーで行政の箱物や公立公園を減らし、その土地を国民の住宅地に還元すべきだと書いたところ反論が来た。
反論したのは公務員の方?と邪推するが、経済効果を考えた場合、国民に土地を与えても意味がないという意見だった。
ところが国民が広い家に住み、広い庭を持つと経済効果は上がると小生は主張したい。
欧米と比較すると日本は相対的に絵画は購入しても彫刻は購入しないとのこと。
これは相対的に住居が狭小であるため、空間を占拠する彫刻を買う余裕が住居にないからだ。
もし日本人が広くて天井の高い住居に住めば、そこを埋めるために物を購入する余裕が生まれる。庭も然り。庭が広いほど、庭に設置する物を購入したり、庭を手入れをすべく多くの物資を消費することになる。
つまり日本人が広い家に住むほど需要が生まれ、GDPが向上するはずである。
こうしたことからGDP向上の観点からも日本人に空間を与えるべきだ。
また時間を与えることも同様に重要だ。日本人に自由に使える時間をより多く与えるほど、そこに消費が生まれ、GDP向上に貢献することになる。
3.不良債権としての大手マスコミ
リビアのカダフィーは全国民に住居を与え、ホームレスは実質的にいなかったと言われている。
カダフィーがDS勢力に処刑された真の理由は、アフリカ統一通貨を導入しようとしたためとされるが、小生はカタフィーの住居対策も彼らに嫌われる理由でないかと考えている。
支配者階層としては人民を支配するために、彼らが支配者階層から金をもらわなくても生きていけるほど豊かになると、支配者階層の命令を聞かなくなり、都合が悪いからだろう。
日本には住宅ローンに生涯所得の大半をつぎ込み、しかも支払い終了まで人生の半分近い時間がかかる人も少なくない。
そして購入する住居が欧米人の基準で狭小だったり、または通勤に長時間かかる地方の住居だったり、その両方だったりする。
また賃貸住居も楽ではない。家賃未払いだと住居を追い出されるという恐怖に苛まれなくてはならない。
住宅問題について日本の行政は不動産所有側の既得権階層を優先しているのではないか。
たとえば大手マスコミ、テレビ局や新聞社、出版社は都内の不動産を所有し、ビルのテナント業で収益を得ているという。本業のマスコミ業では赤字だが不動産関連事業は好調で、会社の存続をかろうじて維持しているという。
かつて大塚英志氏の「不良債権としての文学」が話題になった。小説は赤字だが黒字の漫画で財政的に出版社を成り立たせており、小説ビジネスをやめないのは出版社としてのポリシーからという意味だが、漫画ビジネスも大儲かりかというと最近では微妙な感じらしい。
現在は「不良債権としての大手マスコミ」になりつつあるのかもしれない。
都心の不動産所有で収益を得ている既得権階層にとり、首都移転や首都機能移転は財産を失う。そこで彼らは政治家と癒着して東京一極集中を意図的に維持しているのでないか。
いずれにせよ、私たちが住宅問題から解放されるためには、こうした既得権階層優先の政治を改める必要がある。
(つづく)




