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どうでもいい話 脱力エッセー  作者: カキヒト・シラズ


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是か非か ひきこもりを巡る神学論争

初出:令和8年9月10日



 あなたはニートとひきこもりの違いを知ってるだろうか。

 どちらも就学や就労していない人を指す用語だが、ニートには年齢制限がある。

 ニートは15歳以上、34歳以下の人を指す。これに対し、ひきこもりは原則、年齢制限がないが、内閣府は40歳から64歳を調査対象にしているようだ。

 35歳から40歳の人たちはどうなるのか、といったツッコミはともかくとして、そもそも老人は昔からひきこもりだったのではないか。

 一昔前の日本人なら、定年退職後、体力も財力も残っており、子供もニートにならずに社会人になって独立しており、老夫婦で海外旅行や豪華クルーズ旅行を楽しんだものだった。そしてしばらくすると財力でなく体力が落ちて遊ぶのをやめ、そのうちにひきこもりになって死ぬまでの期間を過ごす。こういうライフスタイルが一般的だった。

 貯金の切り崩しに悩む老人もいることはいたと思うが、むしろバブル時代には貯金が減らないことを嘆く老人も多かった。定年退職後に高い会費を払って毎日スポーツジムに通っているが、年金と相殺するとこのままでは貯金がたっぷり残ったまま死んでしまう。そんな贅沢な老人の愚痴を昔はよく聞いたものだった。


 ところで64歳以上をひきこもりの調査対象にしていないのは、年金の標準支給額、65歳以上から老人と政府は見なしたからではないか。

 昔の感覚では還暦、すなわち60歳を過ぎたら老人だ。リタイアして年金をもらって当然の年齢だったはずだ。それが今では65歳まで働くのが標準だという行政の考えから、ひきこもりの調査対象の上限を64歳にしたように思える。


 AIによれば、高齢者のひきこもりの定義として無職でかつ家族以外の人と話さなず、半年以上、自宅に籠って社会参加しないことがあげられる。無職でも友人や近所の人と話したり、ボランティアや趣味のサークルに参加して他人と口を利けば社会参加しているのでひきこもりではないとのこと。

 ただしスーパーに食料品の買い出しに行くのは、店員と口を利くことがあるものの社会参加にはカウントされないらしい。

 高齢者の場合、病院に通院している人も多いだろう。ところで病院で医者と話すのは社会参加にカウントされるのかどうか。AIに二回質問したところ、別の答えが出た。

 病院に行くのは社会参加になるとの回答と社会参加にならないとの回答の二つが出た。どっちだ?



1.ひきこもりは病気か?


 ところでネット動画では精神科医が出てきてニートやひきこもりは例外なく精神の病気だと説いている。

 会社で上司のパワハラに耐え切れずニートになってしまった人からすれば、会社から退避して安全な自宅に逃げ込んで精神の安定を確保したというのに、また危険な職場に行かせようとするのはいかがなものか。そういう反論も出てきそうだ。

 職場に戻った方が精神を病んでしまう。


 実際のところ、ニートが困るのは経済的事情だ。働かないと生活費が捻出できない。

 その一方で働きたくないという感情は決して精神病でなく、人間の自然な感情の発露だ。できれば働かなくて生きていきたい。これが大多数の人間の本音なのではないだろうか。


 ところでニートやひきこもりが世の中の大半になってしまっては困ると思う人種はおそらく以下の三種類に分類できる。


①支配者階層

 企業の経営者など多数の人を給料で雇っている組織の管理者などは、世の中の一般大衆がニートやひきこもりになって働かなくなると自分の部下がいなくなり、自分の地位を維持できなくなる。そうならないためにも一般大衆が働かざるを得ない状況に追い込むことが重要な課題になってくる。


②孤独に耐えられないある種の精神病

 人がいないとさびしくて仕方ない。孤独に耐えられない。そういう人がいる。

 こういう人もニートやひきこもり以上にある種の精神病ではないかと思う。

 あるいは集団の中で自然とリーダーになったり、他人にマウントをとったりする、サイコパス気質の人もここに入るかもしれない。彼らに取り、支配できる他人がいなくなってはたまらない。

 サイコパスにとり、①と同じ理由で自分の餌食となる他人が必要なのだ。


③我慢して真面目に働いている嫉妬深い勤め人

 自分は嫌な思いをして会社や役所で働いているのにニートやひきこもりは許せない。こういう人たちもまたニートやひきこもりの撲滅を願っている。だが彼らも仮に働かなくて生きていけるとしたらニートやひきこもりになりたいはずだ。



2.孤独死は問題か? 

 

 行政が高齢者のひきこもりを問題視する理由として、孤独死の危険性があることとボゲが進行しやすいことを上げている。

 誰ともしゃべらないで毎日過ごすとボゲが進行しやすいかもしれないが、家族がいる場合、家族としゃべっていればボケない。

 これは孤独死も同じだ。家族がいれば孤独死はない。


 いずれのひきこもりも一人暮らしの老人が問題となる。

 ただし孤独死は周囲に迷惑がかかるだけで本人にとって問題ではないだろう。

 病院で医師や看護師といった他人に自分が死ぬところをさらされるのもいい気分ではない。

 自宅でひっそり死ぬ孤独死の方が病院より苦しまないで済むのではないか。

 孤独死が困るのは本人でなく、周囲の人たちだ。

 自分の死体を放置したら、空き缶のポイ捨てと同じで社会迷惑だ。

 空き缶はゴミ箱に捨てる。自分が孤独死したらその死体の処理をどうにかする方法を事前に考えておく。

 そうしたことが大事で孤独死自体は本人にとり、悪いものではないと思う。


 ニートやひきこもりは彼らにとり生活費をどう捻出するかが問題であって、精神的な病ではない。

 解決法はニートやひきこもりを改心させて働かせることより、働かなくても生きていけるようにすることだ。それが無理なら、労働時間の大幅短縮する社会環境の構築を行政は考えてはどうだろう。

 労働時間は1日8時間でなく、1日4時間以下。週休5日制など。

 ワークシェアリングやAIの活用で仕事の無駄を減らせば、これはある程度まで可能ではないかと考える。



(つづく)


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