貧乏人が指南する金融リテラシー論
初出:令和8年8月3日
2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の創業者にしてユーチューバーのひろゆき氏が、自称35歳童貞の非モテ男から「こうすれば女にモテる」論を延々と自分に投稿してきたことを動画で紹介した。
またひろゆき氏は漫画家ジョージ秋山氏のアシスタントのブログを愛読していることを合わせて紹介した。実はこのアシスタントは売れない漫画家だが「漫画家はこうあるべき」論をブログで延々と述べていたという。
非モテ男の「こうすれば女にモテる」論が正しければ彼は今ごろモテているはずだし、売れない漫画家の「漫画家はこうあるべき」論が正しければ彼は今ごろ売れているはずだ。つまりこれらの論が間違っていることは自明なのだが、ひろゆき氏は”読み物”としては面白いと一定の評価はしているようだ。少なくとも読んで笑える内容だからだ。
前置きが長くなったが、貧乏人である小生が金融リテラシー論を書いてみようと思う。
小生は人生のある短い期間、1回だけ羽振りがよかった時期があり、その経験をもとに論じてみたい。もっともひろゆき氏に投稿しようものなら、「億り人になったことのないおまえが羽振りがよかったと言う資格はない」とたちまち”論破”されてしまうかもしれないが。
はたして非モテ男の「こうすれば女にモテる」論と貧乏人の金融リテラシー論のどちらがくだらないか。以下、がまんしておつき合いください。
1.金持ちの金融リテラシーは税金対策
金融リテラシーという言葉をご存じだろうか。
銀行や証券会社が新NISAなどの金融商品を営業するときによく耳にする言葉だ。
ここでよく言われる金融リテラシーとは有価証券などに正しく投資する財テクのことらしい。正しく投資するから資産は間違いなく増えるとのこと。
また間違いなく増える財テクを持っている人は金融リテラシーが高いということなのだろう。
しかしながらある程度以上のお金持ちになると、まず第一に税金対策に頭が働くことが金融リテラシーだと思っているのではないか。
確かにポートフォリオという言葉があるように資産家は預金の他、株などの有価証券や不動産、金に資産を分散する。また預金も円建てだけでなく、ドル建てやユーロ建てなどに分散投資しているようだ。
証券会社からするとポートフォリオの分散投資のノウハウを金融リテラシーと呼んでいるのだろうが、その前に高額所得者は高額税金で悩んでいたりする。
金持ちと貧乏人の違いは何か。
一つの切り口として税金対策で悩むようになったら、あなたはひとかどの金持ちだ。
所得が高くなったら累進課税で税も高くなることは貧乏人のおれでも知っていると反論がくるかもしれないが、所得税が上がるだけでなく各種健康保険税が高騰するなど、思わむところから足元をすくわれることがある。
年収1000万円を越えれば金持ちだと単純に考えている人は年収1000万円を越えたことがない人かもしれない。高額所得者になるほど税金対策に無策だと手元に金が残らないものなのだ。
おそらく会社を経営したことがあるオーナー社長なら、自分と妻の年収が1800万円は超えないようにし、それを越える分は会社の売上げにして法人税の支払いに回すべきだという節税対策を常識として知っているのではないか。
また会社の社長や企業のオーナー一族は資産管理会社を持っていたりする。自分が経営する会社の売り上げの多くを資産管理会社に吸収させるのだ。
社長はサラリーマン並みの低い給料をもらい、低い税金を支払う。その一方で資産管理会社に毎年、膨大な資金が入る。
また不動産や自動車などの高額商品は社長個人でなく、資産管理会社の資金で購入する。
このように名目的な個人所得は低くても、自分で自由に扱える資金を膨大にすることで、同じ収入でも手元に残る金を税金で大幅に取られないで済む。
2.税理士は税務署の傀儡
脱税は犯罪だが節税は合法である。だが両者の境界もつきつめると曖昧だ。
たとえば会社の社長が節税対策を考案し、成功したとする。ところが次年度になると税理士事務所から今年からその節税対策は使えないと言われる。税務署からの通達だ。社長はまた別の節税対策を考案する。これも1年間は有効だが、次年度になると税務署が使えないよう手を回す。
税務署はあの手この手を使って税金をむしり取って来る。
また税理士事務所も顧客企業より税務署の傀儡なのだ。
3.一発屋成金VS永世金持ち
ところで金持ちと貧乏人の精神構造の違いは実のところ世間で思われているほど差はないと思う。同じ人種である。
むしろ”一発屋成金”と”永世金持ち”の精神構造には天と地ほどの差があると思う。まさに人種が違う。
”一発屋成金”とは、これまで貧乏生活をしていた人が突然、ひょんなことから羽振りが良くなり、その後、ほどなくしてまた貧乏人に逆戻りしてしまう人のことだ。
これに対し”永世金持ち”とは旧家の生まれで生涯お金持ちの人はもちろん、出自は貧しいが自分の代で財産をなし、そのままほぼ終身富裕層で居続ける人を指す。
一発屋成金はこれまで貧乏生活をしてきた反動から過剰に贅沢な生活を始める。
たとえばビジネスマンの場合、ブランド物のスーツを身にまとい、出張の際、飛行機はビジネスクラス、ホテルはスイートルームに泊まり、ルームサービスで食事を済ませる。
収入が多いときは当然、仕事も忙しい。そこで個人の預金は自分で管理せず、すべて妻まかせ。給料が高いから預金もたまるはずだとたかをくくっている。
ところがリーマンショックで会社が傾いたとき、所得は激減し、気づいてみると預金も思ったより増えてない。
実は調子にのって支出を増やしたおかげで預金はほとんど増えていなかったのだ。
こうして以前のような貧乏生活に逆戻りするのである。
これに対し永世金持ちは、自分が金持ちであることを意図的に隠す傾向にある。
金持ちであることが周囲にばれるとどうなるか。
まずセールスが押し寄せる。また友人からたかられる。さらには泥棒にもターゲットにされやすくなる。
一発屋成金なら周囲の人間からちやほやされると自分がえらくなったと勘違いするところ、永世金持ちは冷静だ。永世金持ちは周囲の人間は自分の金目当てでちやほやしているだけで、自分が貧乏になれば相手にしない連中であることを見破っている。
永世金持ちは服装も地味で、生活の支出も人並みだ。だから貯金もたまる。
彼らはまた節税対策にも注力している。
資産防衛のために投資せよというのが証券会社の弁だが、このように自分が金持ちであることを隠す戦略が意外と効果ある資産防衛なのかもしれない。
4.まとめとして
冒頭で紹介したひろゆき氏のユーチューブ動画だが、岡田斗司夫氏のそれと同様、真面目な人生相談というより、人生相談スタイルのお笑い番組と考えるべきだろう。彼らは評論家と言うより、評論家スタイルのお笑い芸人であって、彼らの発言に一理あることもあるが、基本的には真面目に捉えるのでなく、笑って楽しむのが彼らの番組との正しい付き合い方だと思うのだ。
そんな中、小生が金融リテラシーに関してこれは真実だと思ったひろゆき氏の発言がある。
それは「あなたも金持ちになれる」系の投資セミナーに行くと「必ずだまされる」というものだ。
「金融リテラシーが高い人は株をやってます」という金融関連業者のセールストークを思考停止して妄信してしまうあなたは金融リテラシーが低い。逆に彼らを詐欺師だと疑ってかかるあなたは金融リテラシーが高い。
以上、まとめると次のようになる。
1.あなたが高額所得者になったら金融リテラシーのはじめの一歩は株ではなく税金対策
2.「税務署はおそろしい」と聞いてピンとこないあなたはもしかしたら幸せな貧乏人
3.成金は金持ちであることを見せびらかし、本物の金持ちは金持ちであることを隠す(成金は早晩、貧乏人に逆戻りする可能性が高い)
4.投資信託のセールスなど「儲け話」は詐欺だと疑ってかかるあなたは金融リテラシーが高い
(つづく)




