オーナー兼監督の二刀流 楽天三木谷氏へ提言
初出:令和8年7月5日
どうでもいい話だが、プロ野球の話題だ。巨人の阿部監督更迭に続き、楽天イーグルスでも監督交代劇があった。
一年前に就任したばかりの三木監督が成績不振から解雇され、新たに吉井監督が誕生した。
楽天では監督が一年で解雇されるケースが多いようだが、たまたまユーチューブ動画では、楽天の三木谷オーナーに対するバッシングが目についた。
とりわけ三年契約ながら一年で解雇された初代監督である田尾安志氏の動画「TAO Channel」を見ると、三木谷オーナーを痛烈に非難している。
試合している最中にも三木谷オーナーから監督に連絡が来て、選手交替などの命令が来るそうだ。監督はしぶしぶ命令に従わなくてはならない。また日頃から選手の打順にも三木谷オーナーは口をはさんでくる。コーチの人事も監督の意図は無視して独断で決めることがある。
監督が一年で解雇されるのも三木谷オーナーのワンマン体制が原因か。「楽天は監督の墓場」なる表現もネットで見つかった。
かつて北朝鮮がサッカーの国際試合に出場したとき、当時元首だった金日成が試合中に監督に電話し、選手交替を命じた。監督は元首の命令通りにした。その結果、それまで負けていた北朝鮮チームはさらに大負けしてしまった。
独裁政治の最も醜いエピソードに思えるが、三木谷オーナーのイーグルスへの介入ぶりは、北朝鮮のサッカーチームを連想してしまう。
だが三木谷オーナーのオーナーシップが無能かというと微妙なところだ。球団創設1年目で財政的に黒字化を達成している。もともと近鉄バッファローズの親会社が球団の赤字体質に耐え切れず、身売りした経緯があり、それを三木谷オーナーは1年で黒字にしている。監督と違い、オーナーの一番大事な仕事はチームの勝ち負けより財政面の管理ではないか。
また球団創設9年目で日本一になっている。楽天は必ずしも弱いチームとは言えない。
先ほどの「TAO Channel」ではチームの人気を考えると、弱くても監督をすぐ交替すべきでないとの意見があり、人気があった自分を解雇したのは間違いだとの田尾監督の主張だが、その後、イーグルスの人気が下がったかどうかはスタッツがないと正確には判断できない。観客動員数、グッズ売上、テレビ視聴率などの数値で客観的に評価したら、はたして田尾監督解任以降、イーグルスの人気は低迷したのか。
一つだけ間違いなく言えることは、三木谷オーナーをバッシングするとユーチューブ動画のアクセス数を稼げるということだ。
1. セイバーメトリクスによる新野球
楽天監督経験者であるデーブ大久保氏によると、三木谷オーナーはIT企業グループの経営者らしく、コンピュータのデータで細かく野球を分析した上で、チームの打順について口出ししてきたとのこと。
ホームランバッターの外人選手はこれまで4番周辺の打順だったが、データでは出塁率が高く、得点圏打率が低い。三木谷オーナーはこのデータから彼を1番バッターにするよう指示したという。
一方でアベレージヒッターながら得点圏打率が高い松井稼頭央選手を彼の後の打順、あるいは4番周辺の打順にするよう指示した。
この他、デーブ氏が監督時代、試合中にもオーナーからメールがよく来てバッテリーなどを交替したことがあるが、オーナーの指示通りに動いてうまくいったこともあったようだ。
ところでセイバーメトリクスという理論があり、MLBではよく採用されているようだ。
これは統計情報を駆使して最適な打順を考案するというもの。
従来の野球の常識では4番に最強バッターを置いていたが、セイバーメトリクスではむしろ2番に最強バッターを置いた方がいいという結論になるようだ。
また最強バッターの定義も昔とは少し違う。これまでは打率、打点、ホームラン数などが打者のスタッツだったが、OPSなどという数値でバッターの実力を定量評価する手法が出てきた。
だが日本野球界、NPBではセイバーメトリクスはまだ十分に浸透していないらしい。
おそらく三木谷オーナーはこうした統計学的データを根拠に作戦を立てるチームを理想としているのではないか。
ここで提言だが三木谷オーナー自身が楽天イーグルスの監督を兼任するのはどうだろうか。
2.オーナー兼監督の二刀流
二刀流というと大谷選手のようにピッチャーとバッター(野手)の両方で活躍する選手を連想する。ちなみに選手兼監督、選手兼コーチの二刀流は昔からあった。
だがオーナー兼監督というのはMLBを含めても史上初だろう。
三木谷氏がオーナーと監督を兼任すれば、少なくとも最初のうちは話題性という意味では人気が出ることはまちがいなし。そしてもし、三木谷監督が率いる楽天イーグルスが強くなれば、さらにこの人気は加速するだろう。
ITやAI技術を駆使して作戦を立てる野球を是非観てみたい。
では三木谷監督になってイーグルスが弱くなったら?
その場合、今後、三木谷オーナーは後任監督を成績不振でも1年で解雇しなくなり、いずれにしても「楽天は監督の墓場」といった汚名も返上できるだろう。
3.三木谷バッシングのなぜ
どちらにしても三木谷氏をバッシングするとユーチューブ動画のアクセス数が稼げるのは間違いなさそうだ。
楽天グループのスマートフォン事業が大赤字になったとき、ホリエモンこと堀江貴文氏の動画では複数回この話題を取り上げた。
芸能界の枕営業スキャンダルを暴露することで一世を風靡したガーシー氏の動画では、ウクライナ支援と称してウクライナの美女を三木谷氏が買春したといったニュースを流してアクセス数を稼いだ。
小生が初めてマスコミで三木谷氏を知ったのは、90年代の日経ビジネスだ。当時、まだ三十代半ばの三木谷氏は長銀を脱サラして楽天を立ち上げた。年商6億円?程度のベンチャー企業だった。
その後、株式上場で三木谷氏は億万長者に。さらに新球団設立でホリエモンと争い、勝利した三木谷氏はイーグルスを設立した。
昭和の年功序列の風潮が今より残っていた平成初期には、自分より若造が自分より金持ちになるのはけしからんという年上世代の嫉妬があった。だから三木谷氏やホリエモンといった青年実業家の成功者はマスコミからジェラシーの対象とされた。
だが三木谷氏も還暦を過ぎ、今では決して青年実業家ではない。その三木谷氏にまだ嫉妬を覚える人が多いとしたら、日本が高齢社会だからだろうか。
思えばソフトバンクの孫正義氏が20代のころ、まだ髪の毛はふさふさだが、テーブルに足を乗せた写真が雑誌(新聞?)に掲載され、その隣に年商43億といった見出しが載っていた。これを見たら年上世代は孫氏にジェラシーを抱くのは必至だろう。マスコミも読者にそういう感情を抱くよう誘発していたのではないか。
このころソフトバンクは秋葉原のPCショップチェーン店でまだ出版社もやってなかったのではないかと思う。
ソフトバンクといえばスマホのキャリア会社と思う人が多数だと思うが、小泉政権で持ち株会社制度ができる以前、昔はPC雑誌の出版社だったのだ。
その孫氏だが、若いユーチューバーが孫氏は日本経済界の重鎮で、多くの雇用者を生んだ偉い人とほめちぎっていた。なるほど若い世代からすれば孫氏は手放しで偉い人に思えるのかと思った。
青年実業家は若い頃は年上世代から嫉妬の対象になり、またマスコミは嫉妬の対象になるような報道をする。それが時間がたち、彼らが中年または初老になるころには立志伝中の人物と賞賛されるようになるのかもしれない。
小生はパナソニックの創業者、松下幸之助やホンダの創業者、本田宗一郎のバッシングはマスコミで目にしたことはないが、これは世代的な問題だろうか。小生の世代では彼らは手放しで”偉い人”であり、マスコミは賞賛はしても批判することはなかった。
彼らもまた若いころはマスコミからバッシングされ、年上世代から嫉妬されてきたのだろうか。そんなふうに思考実験してみた。
(つづく)




