義父
「お、おはよう…」
義父は僕を見るなり、挨拶をした。僕は、当然、自分から挨拶すべきだったのに、驚いた顔をした切り、黙ってしまったことを後悔した。
「おはようございます!」
「仕事かい?」
「あ、いえ…」
「違うね…今日は土曜日か…格好も、いつものスーツじゃないね…」
義父は、僕の足元から襟元へ視線を移しながら言った。
「そうですね。散歩に行こうかな、と…」
「はいはい…気を付けて。」
義父は、ドアの前で、呆気なく僕を見送った。
「杏菜さんに何かご用ですか。」
「いや、ただ様子を見に来ただけだよ。寝てるかい?」
「は、はい。」
「そうだと思ったよ。後にしようかな。」
義父は髪をかきながら、さっさと二世帯の隣の家に戻ろうとした。僕は思わず、飛び出すように義父の横に出て行って、
「あ、あの…お義父さん!!一緒に散歩いきませんか?」
と言った。
「……。」
義父は、僕に向き直って、こちらを見つめた。僕は、怯みそうになりながらも、
「行きません…か?」
と押し切った。
「行きたいのかい?」
「は、はい…」
「無理しなくていいよ。せっかくの休みだ…」
「いいえ。お父さんの話を聞きたいです。」
僕は、まっすぐに義父を見つめ返した。
「……。分かった、分かった。待っていなさい。上着を取ってくる。」




