苦痛
病院に行くと、検査されたが、意外なことに、杏菜にも僕にも特に異常はなかった。タイミングを合わせてする方法をまず試すように言われた。排卵日…。つまり今夜だ…
帰ると、杏菜は、
「おかえり〜」
と、いつものように迎える。
「お腹減ったな〜」
僕も、いつも通りに応じる。このまま意識せずに進めたい。
「ご飯、できてるよ…。じゃ、食べてから、する?」
分かり切ったことを確認しないでほしい、と内心思いながら頷く。
「う、うん…」
「お風呂もたててるよ。」
「お、ありがとう…」
たどたどしい僕の目を見て、杏菜は、無邪気に言う。
「ご飯、お風呂、ベッドね!」
何でそんなはっきりさせるんだよ。ムードがないよ、杏菜ちゃん…
寝室に入った。
「あ、あれ?化粧してる?」
「え…すごい、健太くん、よく気付くね。」
「え…何で…化粧?」
「明を作った時もしてたよ…」
「そ、そうなの…?」
「あの時は、健太くん、私の顔とか冷静に見てなかったもんね…」
は、恥ずかしい。てか、今は冷静ってこと…。やっぱり僕、盛り上がってないんだ…
「健太くん…」
杏菜は、僕の顔を覗き込んできた。
「え?」
「すごい、嫌そう…」
「は?」
杏菜は、ベッドから起き上がって、出てしまった。
「杏菜!!」
「もう、やめたいの?お婿さんの立場が苦痛なの?」




