得意気
そういえば、まだ話してないことがある。子作りを始めてしばらくすると、見慣れない男が家に入ってきたことがあった。僕は、最初、
「誰だ、お前!」
と、警察を呼びそうになった。そしたら、杏菜が飛んで来て、
「ちょっと!!お妾さんでしょ…」
と当たり前のように言う。
「は?」
杏菜は、男を睨みつけ、じたばたする僕を押し込んで、部屋を出ると
「ほら…もう始めてから結構経つのに、できないでしょ…」
と言った。
「う…うん…」
そうあけすけに言われると、ショックすぎる…。責められているような気持ちになる。杏菜は、いつも慣れているような感じで、こういう話をする。咄嗟に僕が下を向いたのに、気付いているのかいないのか、杏菜は、
「そういう時は、お妾さんを迎えるんだよ…」
と言った。僕の顔は、かっと熱くなった。
「え?つまり…あの男と杏菜が…不倫するってことか!!」
「不倫って…。恋愛感情とかは一切ない、割り切った関係だよ。」
「あ、あ…杏菜は、もう…あの男と…」
「してないよ。まだ、顔合わせの段階。お母さんが決めるんだ。育ててくれたのは、おばあさん。こういう時に物事を決めるのは、お母さん。そう決まってるの!」
こう言った時の、杏菜は、決まりきったことを説明しあげている、と少し得意気にさえ見えた。




