憂鬱
「でもさ、家系図見ると、あれ…全員、婿養子だよ…」
僕は、「次の赤ちゃんに集中」させるという松原家の歴史は、当然、飲み込めていなかった。しかし、それ以上に、その歴史の結果である家系図の異様さを確認せざるを得なかった。
「そうなの…お母さんも、私産んだ後、結局、不妊だったみたい…」
「…。そうなんだ…」
「うん…えっとね、この200年…うちは男の子生まれてないんだって。だから、明の時、最初、男の子かも…ってなったじゃん。あの時、お母さん大喜びで、親戚呼んでお祝いしようって言ってた。」
そういえば言ってたな、と思い出す。検診で、女の子らしいと確定した時の盛り下がり様は、そういうことだったのか…
「200年って…おかしくない?」
僕は、しばらくして、純粋な疑問を口にした。
「うん…何か、遺伝の関係か調べたけど、まだ原因、分かってないんだって。」
「……。この家系図に載ってない人もいるんじゃないの?」
「いないよ…」
「え?でも、一人くらい姉妹とか…」
「えっと…うち、一人目の娘はすんなり生まれるけど、その後が、生まれない家系なの…」
「何それ…」
深刻な顔をする僕に、杏菜は、びびりだなぁ、と言う感じで
「多分、思い込みもあるのかな…家からのプレッシャー?」
と、冗談を言う様に笑った。
「笑い事じゃないよ…。つまり、男の子が生まれたら、というか、性別に関わらずきょうだいが生まれたら、明は、僕たち夫婦で育てられるってこと?」
「そうだよ…」
「じゃあ…作る?」
「いいね…」
それから1年。妻への愛は変わらないのに、杏菜は、妊娠しない…。今夜も、する約束の日だ。だから、憂鬱なんだ。




