10-0 大体合ってる御伽物語 -閻魔大王-
——「司命と!」「司録の」
「「大体合ってる御伽物語!」」
司録
「今回は……遅ればせながら、冥府の最高責任者にして、我らの上司、閻魔大王をご紹介します」
司命
「どう考えても遅すぎるだろ。
さて、地獄の手前で待ち受ける閻魔様といえば、他愛のない雑談から人生訓まで、人間たちの間でも登場頻度が異常に高い御方だ」
司録
「実は閻魔大王は、海外のご出身のため、日本神話には登場しません。就労ビザから永住権を獲得した外国人のようなものですね」
司命
「ようこそ、日本へ!」
司録
「そんな閻魔大王にも、興味深い裏話があります。実は、地蔵菩薩と裏表の化身、あるいは同一存在の別の側面とされることがあるのです」
司命
「えっ? 子どもを守る優しいお地蔵さんと、美女の舌を抜く閻魔大王が同一人物?」
司録
「はい。いわゆる〝後ろの正面〟ですね。地蔵菩薩は救済を、閻魔大王は裁きを担う存在。慈悲と断罪、両極を一身に背負った存在とされています」
司命
「だからエンマ様は、錫杖をお持ちなのか。錫杖といえばお地蔵さんのトレードマークだもんな。輝かしいキャリアのお地蔵さんが、なぜ〝閻魔〟を掛け持ちすることになったんだろう」
司録
「さあ……それこそ、神のみぞ知る、ですね」
司命
「アメとムチの権化のような御方だな。ぼくにはできない」
司録
「欲深い司命にはできないことが、もうひとつ」
司命
「おい、失礼だぞ」
司録
「閻魔大王に個人的な感情は許されません。感情で裁くことも、例外を作ることも不可。冷酷に見える判断も、あくまで規則と記録に則った職務の結果にすぎません」
司命
「嫌われ役を一手に引き受けているんだな。胃が痛くなってきたぞ」
司録
「恐れられ、憎まれ、クレームを入れられ、それでも秩序を保つため、玉座に座り続ける。それが閻魔大王という存在です」
司命
「怖さと優しさの二面性。そりゃ物語でもこすられまくるわけだ」
司録
「……それにしても、本当に冥府はこのまま失われてしまうのでしょうか」
司命
「わからない。死者は来ないし、建物は崩れ始めている。だが幸いなことに、まだ誰も消滅しちゃいないぞ」
司録
「ええ。地獄なら、とうの昔に見ました。何が起きても、どこにいようと、ぼくらは大丈夫です」
司命
「エンマ様をお支えすることこそ、我らが生きがい。どこまでもお供するぜ」
司命・司録
「「以上、〝大体合ってる日本神話〟でした!」」
いよいよこの章で、エンマ様の過去が明らかに!?
ゴールデンウィークはお試しでいろんな時間に投稿してみます。




