第27部分 事件
第27部分 事件
大変なことになった。
今日は南風原と話してからちょうど7日後にあたる。
はじめは単なる小火だった。みるみる燃え広がり、留まるところを知らぬ野火のように燎原を焼き尽くしていった。
ボヤは大火に変わったのである。
事件のはじめの頃には、例の叔父と電話対応した女警官、およびその上司に暗殺者を送ることが検討され、実行されかけた。その実行寸前、ホテルの主だった責任者に任意の呼び出しがかかり、その策を諦めた経緯をオレは漏れ聞いて知っている。
いったい何人が関係者なのだろうか。知ってるかぎりとウワサを信じて数えてみよう。
ホテルでは
社長、専務六人、マネージャ、サブマネージャ二人、チーフ、サブチーフ三人、フロント六人、清掃食事売店その他内部サービス関係者二十四人、営業三人、事務七名。
このサブチーフ三人のうちのひとりはオレだ。他に
医師三名、葬儀・霊柩車等葬祭関係者計十五人、市役所関係者計七人、S階の総員三五八人で、ここにはレナも含まれている。
警察関係者は六人だが、これからまだまだ増えるとだろう、とウワサは期待している。ここに挙げた人数だけでも四百四十三人!
あまりにも大人数過ぎて留置場にも入りきれず、警察もやむなく「任意」で話を聞いているようだ。これだけの人数がいると、「秘密を守る」なんてナンセンスだ。みんなが自分可愛さに悪事は他人へ他人へとなすり付けてつけて行くだろう。
昨日の事情聴取があった。でオレは単なるサブチーフ、いわば小者だからすべて「まだなり立てでわかりません、チーフの業務指示を遂行しました」で躱してみた。まだまだ普段のサービス業務にしか関わりはなかったから、ほぼ無罪に近い確信はある。
レナはどうだろう。傍観者は共犯なのか。殺人や自殺の幇助だろうか。ただ見ているのは、何という罪に相当するのだろうか。S階には、今回の少女の死に直接関与した者もいるし、今回は関係なくても以前の誰かの死に関わった者もたくさんいる。
当然ホテルは営業停止処分を受けているし、再開の目途など全くない。カジノに来た客や、ホテルのリネン・食材・パートさんなども困っているらしいが、オレたちもよほど困ってるんだ。おれも含め、みんなIRの近くで道徳観が麻痺していたのかもしれない。
これからは…おそらくオレの生活の基礎にしている部分のすべてが確実にダメになっていくだろう。カジノの来客も激減し、盛り上がりも売上げも軒並みダウン、社長の顔が蒼くなり、ため息ばかりついているそうだ。
「仕事捜さなくちゃぁな」
自分の部屋でため息とともに決断した。




