仲直り大作戦
いつも優しく正のオーラを放っている手温井さんが今日は負のオーラを出しながら机にうつ伏していた。
何か悩みでもあるのかな? 悩みがあるのなら、友達の私が相談に乗ってあげなければ。
私は手温井さんの元に向かう。
「ねぇ君その椅子貸してくれない」
手温井さんの前に座る男に話しかける。
「はい、ありがとうございます、じゃなくて喜んで」
少しキモイ雰囲気を感じたが手温井さんのために我慢しよう。
私に気付いたのか、けだるげながらも顔を上げる。
「どうしたの?話聞こうか」
「あ、奈々子ちゃん、うん、ちょっと聞いてほしいかも」
「昨日心ちゃんと喧嘩したって言ったじゃん、それでねよる電話して仲直りしようとしたんだけど」
「できなかったんだ」
「それってもしかして、私のせいかな?」
「奈々子ちゃんのせいじゃないよ、私がひどいこと言っちゃったのが悪いんだよ」
慰めようとしたら私が慰められてしまった。
このままでは私がいる意味がない。
「二人でどうやったら仲直りが出来るか考えよう」
「ほんと、協力してくれるの」
「私が原因の喧嘩だし、それに私たち友達でしょ」
「ありがとう、奈々子ちゃん大好き」
その言葉で私は堕とされた。
「で、仲直りってどうやってやればいいんのかな?私、喧嘩したの初めてだからわからないよ」
正直に言うと私も仲直りなんてしたことが無いので、何をすればいいのかはわからない。
だがこの私を頼り切っている眼差しを裏切ることはできない。
うーん………………そうだ。
「プレゼント渡して仲直り作戦とかどうかな」
「うん、それ凄くいいよ、ありがとう奈々子ちゃん」
「早く仲直りしたいから、今日買いに行こう」
「それでさ、奈々子ちゃんも一緒に来てくれ、ない、かな?」
それってつまり、デート、選択肢は最初からない。
「一緒に行くよ」
「ほんと、決まりだよ」
私は今日、初デートをすることになった。
その喜びから、私が座っていた椅子に顔を埋める男を見ても何も感じない。
授業には一切集中できず、時計を眺めながら、体感時間で一週間が流れようやく六時間目の授業が終わる。
学校を出て、直帰せず、手温井さんと二人で話しながら道を歩いている。
「プレゼントか、何送ったら喜んでくれるかな?」
「心ちゃんはの好きな物とか上げたらいいんじゃない」
「私知らないんだよね、心、あんまり自分のこと話したがらないから」
「どうしようか」
思い出せ、私の女の子データからすべてを。
ムムム。
奈々子は脳を百パーセント利用し記憶を呼び起こし、心がアロマ好きだという情報を手に入れる。
「アロマとかどうかな?手ごろだし心ちゃん好きそうじゃん」
「アロマ、確かに前アロマの話してた、それにしよう」
早速アロマショップに向かった。
いろんな種類のアロマ、二人はどれを買えばいいのかわからない。
「どうしようか?」
「どうしよう、心ちゃんの好きな匂いとか知ってる?」
「わかんない」
「店員さんに聞いてみる?」
「ちょっと待ってできれば自分で選びたい」
手温井は一時間は吟味したが決まらず最終的に店員に聞くことにした。
「あの、すみません」
「はい何でしょう」
お洒落な見た目の店員さん、手温井さんは少し怖気づいている気がする。
「友達にプレゼントとして送りたいんですけどどれがいいでしょうか」
「プレゼントですか、それならこちらのラベンダーどうでしょうか」
ラベンダーなんか聞いたことあるな。
「リラックスや安眠効果があり、喧嘩したあの子の機嫌もすぐリフレッシュしてくれますよ」
て、的確過ぎる。 この人出来るな。
「これにします」
手温井さんは即決し勧められたアロマを二本買った。
翌日の朝、手温井さんは心ちゃんを四回西階段に呼び出した。
私は手温井さんに頼まればれない所で見張っている。
階段をゆっくりと歩く音が聞こえる。
心ちゃんと緊張している手温井さんがついに対面する。
「あの、これ、上げる」
緊張していたせいで予行練習とは違うことを言ってしまう。
「ありがとう、開けていいかな」
手温井さんはうなずく。
「あ、アロマ、私が欲しかった奴、嬉しいよ」
「本当にうれしい」
「友達から貰ったものなんだから嬉しくないわけないじゃん」
「今友達って、それじゃあ」
「何勘違いしてるの、最初から友達でしょ、私が清美のこと嫌いになるわけないじゃん」
「じゃあ私の勘違いだったの」
「そうだよ」
手温井さんは心ちゃんに抱き着きちゃんと仲直りが出来たようだ。
「じゃあ今日一緒にお昼ご飯食べようね」
「それってあの女と一緒」
「そう、このアロマ奈々子ちゃんが提案してくれたんだよ」
「あいつ私の好きな物を」
「キモ」手温井に聞こえないすごい小さな声。
「ね、奈々子ちゃんいい人だよだからいいでしょ」
「ごめんそれだけは無理、二人だけで食べようよ」
チャイムが鳴り急ぎ教室に戻った。
今度は私が落ち込み手温井さんが慰めに来る。
「ごめんね、やっぱり私のせいだったね」
「ちょっとこっち来て」
手を引っ張られ階段に連行される。
「あのこんなところに連れてきてどうし
目の前には心ちゃんが立っていた。
「清美本当にこの女とだけは仲良くできないよ私」
「どうして」
「私は二人が大切だから二人にも仲良くしてほしいし、二人と一緒に過ごしたいよ」
そう訴える手温井さんの顔からは涙がこぼれ出て行った。
それに負けた心ちゃんは私の方に来て、手を出してきた。
そして私はその手を握った。
「よろしくね」
手を引っ張りながら心ちゃんがつぶやいた。
「よろしくお願いします」
手温井さんは私たちを見て仲良くなったように見えるだろう、だが私は心ちゃんから相当嫌われていることを知った。
心ちゃんは私の手を引っ張り私の耳を口に近づけ小さい声で。
「清美がいるから仲良くするふりだけはしてあげる、けどね清美に手出したら許さないから、覚えておいてね変態野郎」
なんで私こんなに嫌われてるんだろう? 好きな男を取っちゃたのかな、それしか心当たりがない。
まぁ一緒に過ごせるならそのうち誤解は解けるよね。
奈々子は心が心を読めることをまだ知らない。




