やっぱり私、嫌われてる
薄っすら聞こえてくる、私に対する女の子達の悪口が、那九瑠先輩に絡まれてから異様なほど増えた。
「見てるだけで不快になるか顔」
「そこら辺の有象無象に色目使ってればいい者の、那九瑠先輩にまで使いやがって」
「あの変態女、誰にでも股開きやがって」
私、処女なんですかけど。
「那九瑠先輩にも、言い難いほどエッチな行為を使いまくったに違いないわ」
あの子の頭の中を覗いてみたいわね。
「ほんと、そうよね私達で那九瑠先輩の目を覚まさせてあげましょ♡」
!!え、何?あの人、女? おかまに見えるんだけど、普通に周りの人達も話してるから女なのか?
「ちょ、やだ、目が合った、話聞かれてたかも」
いや私のセンサーが反応しない、確実に女じゃないな。
「あいつ今、鼻で笑ったわよ、あの悪女、同じ女と思われたくないわ」
お、女なのか?
他にもクラスメイト、先輩、野球部のマネージャと、一週間で学校の一割の人たちに陰口を言われ続け、慣れている私でも少しメンタルが落ち込む。
だがこれは女の子達が悪いわけではない。
全面的に意味不明な理由で私に惚れた那九瑠先輩が悪いのだ。
私も気になるあの子が、他の男に取られた時は心の中で百回は男を殺した。
だから私も女の子たちが私を憎む気持ちもわかる。
全部、私に惚れた那九瑠先輩が悪いのだ。(大切なことなので二回いました)
一人じゃない昼食。
「奈々子ちゃん、やっぱり誤解されてるよ」
?
「今までね、心ちゃんも一緒にご飯食べようって誘ってたんだけどね」
心ちゃん、手温井さんと一番仲がいいロリっ子、来てくれたらこの時間が二倍楽しくなるわね。
けど言いぶりからして、私、嫌われてるわよね。
「あの女は美少女の皮を被った変態大魔神だとか、あいつに近づいたら食われるよとか、まだ間に合うから私と一緒にご飯食べようって、散々言ってたから、私も少し怒っちゃって喧嘩しちゃったんだ」
「私のせいで、ごめんなさい」
「全然、奈々子ちゃんは悪くないよ」
「心ちゃんの勘違いなんだから」
「それに、奈々子ちゃんは男の子に言い寄られてるだけで、なんも悪いことしてないから、きっと心ちゃんも会ってくれたら分かってくれるって」
「その後仲直りして、三人で仲良くすればいい話だしね」
手温井さん、あなたを天使と呼ばないで何と呼べばいいのでしょうか。
何があっても友達でいよう、それとこんな優しい子をそこらのクズ男の手に渡らないように阻止しなければ。
もしクズしか寄ってこないようであれば、私が幸せにしてみせる。
奈々子がそう決意した時、突然の尿意が現れ、お花を摘みに駆け込んだ。
すべてを出し切った、だが奈々子はいまだお花を摘みから帰ってこない。
どうしてかと言うと、今、奈々子がいると知らず、トイレでだべっている女達が奈々子をこき下ろしているからだ。
「マジムカつく、あの女死ねばいいのに」
「まだ怒ってんの? あいつがいなくても美沙じゃ付き合えてないってw」
「那九瑠先輩は手が届くと思ってないからいいけど、あの女のせいで私の告白、五回中三回振られる羽目になったんだよ」
「あと二回は?」
「あと二回も振られたけど、でもその二人も絶対百合神に魅了されて私のこと振ってるよ、皆もそう思ったことない?」
「確かに、あの女がいるせいで私たちのチャンスは確実に減ってるね」
「でしょ」
「早く転校してほしいー」
「私たちで追い出しちゃうww」
「それいいじゃん」
「どうやって追い出すんだよ?」
「男に襲わせる?」
「さすがにライン越えでしょ」
「別にいいんじゃない?だってあいついっつも男誘ってんじゃん、あれだWINWINってやつ」
「確かにww」
「じゃあ襲わせちゃうか」
「百合神のクソ女が悪いんだから」
「動画取ろうぜ絶対売れるから」
「てか百合神がいなくなってくれたらこの学校の女全員喜ぶから私たち英雄になれんじゃん」
その時、手温井がトイレに入ってくる。
奈々子の帰りが遅く心配してきてくれたのだ。
「百合神はこの学校一の嫌われ者だからな」
これは手温井にも聞こえた、そして手温井は激怒した。
「あなたたち、こんなところでこそこそと、恥ずかしいと思わないの?」
「なんだ、お前」
「あんた達こそ何なの?」
「こいつ最近百合神と仲良くしてる奴だ」
手温井に聞こえぬぐらいの声でつぶやく。
「ごめん、ごめん、でも事実なんだからいいだろ?」
手温井に火に油を注ぐ。
「確かに、あんたらみたいな人間とも思いたくない奴らからは嫌われてるかもね」
手温井の異様な雰囲気に一瞬だが一人を除いて皆怖気づいた。
「てめぇ、調子乗ってんじゃねぇぞ」
手温井に詰め寄る。
それでも手温井は一歩も引かない。
「調子乗ってるのはお前らだろ、自分がモテないカス人間なのを奈々子ちゃんのせいにして、存在自体が醜いんだよ」
「自分が少しモテてるからって」
詰め寄った女は手を上げようとする。
「図星なんだ」
煽られ、手を振り下ろすことが出来ない、そして口でも勝てないこともわかり女の群れに戻り捨て台詞を吐いてトイレから出て行った。
「お前覚えてろよ」
手温井は皆がいなくなったことを確認し一つだけしまった個室をノックする。
「もういなくなったから大丈夫だよ」
そして鍵が開き手温井が開けると、涙をこらえてもあふれ出てくるのか顔に力を入れながら、便器にただ座っている奈々子がいた。
手温井は自然と体が動き奈々子を抱きしめる。
「私はちゃんと分かってるから大丈夫だよ」
奈々子は何も言わず動かず昼休みが終わるまでずっと手温井の胸の中にいた。
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家に帰る、お母さんのいつも通りのただいま、妹、弟、何も変わらない、変わったのは私だけ。
ベッドの枕に顔をうずめる、そこから一歩も動けない。
やっぱり私嫌われてるな。
私にはどうしようもできないよ、勝手に来るんだから、私だって困ってるのに。
なんでこんな顔で生まれちゃったんだろ、男が好きな子が持つべき顔なのに。
私は体の中の水分をすべて出す勢いでなき続き気づいた時には朝だった。
そのおかげか少しスッキリし、私にちゃんと見方がいることを思い出すことが出来た。
夜ごはんを抜いたため朝ごはんがいつもよりおいしい。
大丈夫今日も学校に行く、私は一人じゃない。
「ねぇ、奈々子ちゃんこれは何?」
お母さんが泣きすぎてまだびちょびちょな枕を持ってくる。
お母さんには心配かけたくない一心で涙のことを隠そうと考えこみ、良い言い訳をひらめく。
「昨日寒かったから、いっぱい布団かけちゃって汗がいっぱいでたんだよ」
お母さんの表情は変わらない。
「隠さなくても大丈夫よ、私は分かってるんだから」
その言葉に涙が出てきそうになる。
「おねしょ、しちゃったんでしょ」
は?
「おねしょなんかしてないよ」
「こんなびしょびしょになるくらい汗はでません」
「ちょっと待って、おねしょしたとするなら、枕が濡れてるわけなくない、普通ベッドが濡れてるよ」
「お股の下に枕引いて寝てれば濡れるわよ」
「あー、もう、だったら臭い嗅いでよそしたらわかるから」
「スーー、フローラルのいい匂いだわ」
「でしょ」
「やっぱりこれはおねしょね」
「なんでそうなる」
「だってパパが私のお股はフローラルの香りがするって言ってたからあなたも––
––「もうおねしょでいいからその話辞めて」
この出来事のおかげで昨日の事を忘れることが出来た。




