友達との時間を邪魔しないで
四時間目が終わり長い自由時間がやってくる、前は正直楽しいと思える時間ではなかった、だが今机の前に人が座っている、その人は男でも男女でもない、正真正銘の女の子、そう手温井さんだ。
幸せだまさかあの手温井さんとお昼休みを一緒に過ごすことになるとは、短髪ですぐに抱きしめたくなる愛くるしい顔、その顔に似合わない女の暴力を持ったスタイル、そんな人が高校入って初めての友達とは私は本当に幸せ者ね。
お弁当の蓋を開ける、卵焼き、ウィンナー、から揚げ、ブロリー、枝豆、漬物、そして梅干しが乗ったごはん、なんの変哲もない普通のお弁当だ。
続いて手温井さんもお弁当の蓋を開けた、ハンバーグ、春雨、上げ餃子、ミートボール、ニンジンにそぼろが乗ったごはん、見てるだけで食欲が湧きたつお弁当だ。
「うわー、奈々子ちゃんのお弁当カラフルでいいなー」
「手温井さんのお弁当も、すごくおいしそうでいいと思うけど」
これよこれこの会話、今までは一人で男どもの視線を浴びながら黙々と食べていたけれど、友達とおしゃべりしながら楽しく食べる、最高だわ。
「確かに美味しいけど、見た目がね、それにお腹も気になるし」
「手温井さんすごくいい体系してるから全然大丈夫だと思うよ」
私が足元に及ばないくらい。
「そうかな、お世辞でも奈々子ちゃんに言われるとちょっと照れちゃうなー」
「お世辞じゃないよ、触りたいぐらい、良いからだしてるよ」
「奈々子ちゃんもおじさんみたいなこと言うんだね」
友達同士がするなんの変哲もない会話、少しの笑いと、冗談を言い合える空気。
作戦は順当に進んでいる、このままこの流れで、あのお腹をムニムニする。
私が四時間も考えた作戦だほぼ完壁に近い。
奈々子はより作戦を完璧に近づけるため、シミュレーションを行う。
「へへ、おじさんはもう我慢できん、触ってしまおう」
「キャー、奈々子ちゃんのエッチ」
お腹を揉みしだき、徐々に近づき体同士を密着させる、あわよくばエッチな雰囲気にしてあのお腹の脂肪を吸収していそうなあのメロンを触る。
自分でも引くくらいキモイ言動だけど、私の計算上これが一番確率が高いから仕方ない。
よしシミュレーションも終わったし始めますか。
「へへ––––
––––勢いよくドアが押され、教室中に音が反響し皆の視線を集めた。
そこに立っていたのは、七三わけの小奇麗な男だ、私はその男から嫌な予感をビンビンと感じた。
「うちのクラスの人じゃないけど、誰なんだろうね?」
「誰なんだろうね」
「もしかして奈々子ちゃんに告白しに来た人だったりとして」
多分そうだ、絶対そうだ、あいつ私に告白しに来たんだ、バラ持ってるし。
男は周りを見渡し私と目が合ってすぐ、禁止であるにも関わらず躊躇なく教室に入って来た。
窓側にある教卓を向かい、軍隊に所属していたかのような華麗な九十度回転し私一直線に向かってくる。
「こっち来るけど、本当に告白しに来たの」
幸い手温井さんは恋愛が好きなようで目をキラキラさせながら私を見ている。
男が私の真横に来て私を見下し、ながら口を開いく。
「僕は、腑羅錬太郎と申します以後お見知りおきを」
「自己紹介は結構です私はあなたのことを知っていますので」
「はぁ」
「まじかで見るとすごいものですね」
告白するなら早くしてくれないかな。
「そのトリカブトのような色をした美しい髪」
おっと。
「そして浮気しても誰も文句が言えないその顔」
もしかして。
「たまりませんな」
こいつ、私に喧嘩売りに来てる?
「そうだ、あなたにまず渡したいものがあるんでした」
そういってバラの花を掴み棘に刺されろと言っているかのように向けてくる。
面白いじゃない私に面と向かって喧嘩を売ってくるなんて。
「バラには棘があること知ってます?」
「すみません知りませんでした、僕の無礼をお許しください」
バラの向きを変え私に渡してくる。
「あなたと対面して気づきました、多分私だけが気付いていると思います」
「何ですか?」
「あなたのスタイルですよ。世の男はあなたの顔に見とれて見ていないと思いますが、スタイルも素晴らしい」
喧嘩を売りに来たんじゃないのか???
「その服の上から見てもわかる引き締まった体」
気持ち悪。
「そしてその品性を感じさせるほど小さくなんの主張もしてこない胸本当に素晴らしい」
こいつひき肉確定な。
「私はそんなあなたに全て奪われてしまいました僕と付き合ってください」
私は初めて頭で考えることが出来なくなった、あんなに私をムカつかせることをしてきたのにも関わらず告白してきたからだ。
もう訳が分からないよ。
二分ぐらい間が開いただろうか私はその間ただ一点を見つめていた。
「あのお返事は」
「ごめんなさい」
返事は決まっていたため二回目は即答することが出来た。
「そうですか、でも諦めませんから」
お願いだから諦めて。
チャイムが鳴り手温井さんは自らの席に戻っていく、私の高校での初めては男に汚されてしまった。




