普通?の学校生活
私は普通に窓を開け、窓側、一番後ろの席に、普通に向かい、普通に座り、そして普通にクラスの男たちに囲まれる。
最初に話しかけてきたのは机の前にいる男だ、馴れ馴れしく両肘を机に立て頭を覆うように支えている。
「おはよう奈々子ちゃん、今日も会えてうれしいよ」
この男は可愛い系男子と言う奴らしくそこそこ女子達に人気がある。
正直私には何がいいのかわからない、かわいい子が好きなら私でいいだろう、なのになぜこいつがモテているのか? 研究したいぐらいだ。
「あの、黒板が見えないので消え失せてくれませんか」
まずい、つい本音が、でもこいつらに嫌われてもなんのダメージもないし別にいいのか? やっぱ駄目よ女の子に性格が悪い女と思われたらおしまいよ。
「でも黒板には何も書いてないよ、だからどかなくても大丈夫じゃないかな」
男より女に近い顔、私はこいつが嫌いだ、理由はわからない、だが見てるだけで煮えくりかえる、断じて嫉妬ではない、嫉妬ではないはずだ。
「おい、怜 百合神様が消え失せろと言ったら消え失せるんだ、男女やろう」
机の隣に立っている、なんて言えばいいのかしら……パッとしない男が代弁してくれた。
「でも僕は奈々子ちゃんのそばに居たいんだよ」
気安く奈々子ちゃんと呼ぶな、そうやって他の女の子を落としてきたのかしら? 教えてほしいなんて口が裂けても言ってやるものか。
「百合神様はお前と一緒に居たくないと」
そう、その通りよ早くどっか行ってそして二度と私の女の子達に近づかないで。
「ひどい、奈良埼君の馬鹿」
涙を流しながら情けなく本当に情けなく走っていった。
なんて女々しいのかしら、でもあれがモテているのも事実、プライドを捨てて一回真似してみようかしら。
「っけ、あれがモテてるのが不思議でたまらないぜ、ね百合神様」
まじそれな、私は心の中で叫んだ。
「口を閉じろ奈良埼、貴様のようなブスで馬鹿なクズの愚鈍な人間が、百合神さんの近くにいるのも甚だしいというのに、口を利くなど許されるわけがない、いや許されちゃいけないんだ」
私の隣に立っている眼鏡をかけた委員長見たいな男が主人公みたいなセリフでパッとしない男を威嚇している。
「そうだな確かにお前から見たら俺は、馬鹿でクズの愚鈍人間かもしれなぇ、だがなお前にだけは、お前にだけは、ブスなんて言われたくねぇんだよ」
確かにどっちもどっちだけど。
「どこからどう見ても君は僕より圧倒的にブスだろ、自分の顔を見たことが無いのか?」
「お前こそ、今までもしもボックスで鏡のない世界にでもいたのかよ」
二人は取っ組み合いになった。
委員長男が押し込みバランスを崩したパッとしない男は立て直そうと服を掴み二人とも倒れる。
二人が起きた後ヒートアップしてしまいパッとしない男が委員長男を殴りつけようと手を大振りする。
その手は座っている、いつもおとなしく本が好き、好きな食べ物はメロン、趣味はぬいぐるみ集め、姉が一人妹が一人の次女、将来の夢はパティシエ、そしてこのクラスで一番優しいと言われている手温井さんの顔をかすめた。
それを見た私は怒りが湧いてきた、そして私は高校に入って初めて男に話しかけた。
「あなたたち、迷惑なの、二度と私の前に顔を見せないで」
自分でも驚くほど冷徹な言葉を発していた。
「わかりました」
「わかりました」
二人は茫然とし、自らの席にトボトボ歩んでいた。可哀そうとは一切思わない自業自得だ。
「あ、あの、け、怪我はないかしら、さっき当たってたでしょ」
やっべ、近くで見ると小っちゃくてかわいい、食べちゃいたい。
「大丈夫傷はついてないから、ねぇ百合神さんもしかして私のために怒ってくれたの?」
「え、ええ、そうよ、乙女の顔に傷を付けるのは許せないでしょ」
高校に入って初めて授業以外の会話、ドキドキする、心臓が張り裂けちゃう。
「ありがとう、ふふふ」
彼女の笑顔が私の眼球を貫き直接恋愛脳に刺激を与える、当然私は彼女を好きになってしまった(もともと気になってはいたけど)
「私、百合神さんのこと勘違いしてたよ、ねぇ百合神さんこれからもよろしくね」
「はい」
私の青春はここから始まる、訳ないよな、普通に友達としてだろうな、勘違いするな私、でも、もしかしたら始まるかもしれない、可能性はあるわよね?




