レクリエーション 肝試し編
ヤバいヤバい、全然うまくいってない、どうして、寝ずに計画も立ててたのに。
このままじゃ、知らないおっさんの一億円が無駄になってしまう・・・それは別にいいか。
けどこのままじゃ私の努力が報われない。
「よーし、聞け皆の衆、今から肝試しを始める、クラスごとに集まれ」
肝試し、男女のペアで行われる定番イベント。
これのおかげで多くのカップルが生まれて来た。
だが私はレズだ、このイベントはくそくらえなのである。
クソここでも邪魔が入るのか・・・待てよ、うちのクラスは男子十八人女子二十人、女子が二人多いということは女女ペアが生まれるという事。
ここにかけるしか勝機はない。
それぞれくじ引きを引いていく、前の男子が引き終わりついに私の番。
(お願いします、神様、作者様、どうか私めにジョジョになる番号を)
結果を言おう、私はクラス一のイケメンとペアになった。
クソ外れである。
この男、二組と言う狭い場所で一番顔が良いというだけで調子に乗っているクソ野郎だ。
(野垂れ死ねクソ作者、二度とお前を拝むものか)
私のレクリエーション終わり、解散。
と思っていたが、私が望みに望んでいた女女ペアから勝機の振動を感じ取る。
「うわー、最悪、女ペアじゃん、しかもイケメン君は百合神ちゃんと一緒だし、ガチ終わった」
女女ペアはギャル子と心ちゃんか、!!心ちゃん、一緒に周りたい。
そして私は気づいた、ギャル子ちゃんと私の利害が一致することに。
これだ。
私は迷わずギャル子ちゃんの元に向かった。
「ギャル子ちゃんこれ交換しない」
「え!!イイの、マジ神、百合神ちゃん最高ありがとう……でもこういうの先生許してくれないんじゃね」
忘れてたうちの担任他のとこは抜けてるのに、こういうことは厳しいんだった。
どうする?このままじゃ最悪のレクリエーションに。
いやこんなとこで諦めるわけにはいかない、やれることは全部やっとこう、私のためにもおっさんの大切な一億円のためにも。
「先生に変えれるか聞いてみよう、変えてくれるかもしれないじゃん」
「OK、行ってみよう」
先生の元に二人で向かった。
「良いぞ」
「良いんですか」
「タラちゃんマジ神」
思ったよりすんなり通った、何かあるのか? 聞いてみたい。
私の雰囲気を感じ取ったのか理由を話してくれた。
「百合神は男子と二人きりにすると襲われそうだからな」
「そうですね」
私は男一緒に肝試しをしたくないので全力で肯定する。
「確かに、でも私も襲われちゃうかもよ」
何言ってるのギャル子ちゃん、あなた、私と変わりたいんじゃないの?
「いや、お前は襲う側だろ」
「そだね、襲う側だったわ」
心ちゃんとの肝試し権を手に入れた。
私は一人寂しく待っているであろう心ちゃんの元に向かった。
「心ちゃん肝試しよろしくね」
心ちゃんは驚きすぎて私を目を見開いて凝視する。
「嘘じゃ、ない、どうして、どうして先生は認めたの」
「うん、なんか、私が男子と二人っきりになると襲われる危険性があるからだって」
「私が襲われる危険性も考えて」(聞こえない)
「何か言った?」
「いいえ、別に」
ツンデレだから嫌そうな顔をしている、だが内面では喜んでいるだろう。
「手温井さんはどこ行ったの?」
「清美、清美ならもう行ったんじゃないかしら、ほらもう何人か肝試しに行ってるし」
「私たちも早く行こ」
「そ、そうね」
心はもしものために用意していた小型スタンガンをスカートのポケットに入れた。
森の中からこだまする絶叫が次々と聞こえる、そして帰って来たものは一人もいない。
「次の人どうぞ」
前の人が森の中に入り、とうとう私たちの順番だ。
その時、心ちゃんが私の指を強く握りしめた。
え、デレが来た、めちゃかわいい、良いじゃん肝試し、最高だよ。
心の心(怖い怖い怖い怖い怖い怖い、ダブルで怖い、私を襲う可能性がある女と、小さいころからずっと苦手なお化けを探しに行かなくちゃならないわけ、ヤダヤダヤダ、もう帰りたいよ、助けてパパ)
「次の方どうぞ」
私たちは歩み始める。
森の中に入ってから十歩目の所で心ちゃんが私の腕を強く掴む。
痛、あれ、なんかどんどん気持ちよくなってきた、これが愛の力か。
「ひいい~」
「どうしたの心ちゃん」
「な、なんでもないわよ」
心の心(クソ、この変態から離れたいのに離れられないよー、助けてパパ)
心ちゃんは足が震え本当に怖がっているようだ、それを見ていると私が守ってあげなくちゃと言う気持ちになる。
だんだん慣れて来たのか少しずつ腕をつかむ力が弱くなったその時。
天狗のお面を付けた人と提灯の顔をした人が脅かしてきた。
「ぎゃーーーー」
心ちゃんは私の腕にしがみつき、うずくまっている。
やっべ、めっちゃかわいい、ずっとここに居ようかな。
だが、あまりに怯えている心ちゃんを見て性欲より良心が勝ってしまい心ちゃんの腕を引っ張て逃げた。
「はぁ、はぁ、ありがとう、奈々子」
怯えた声の心。
初めて名前で呼んでくれた、初めて名前で呼んでくれた。
「はぁ、はぁ、大丈夫だよ、はぁ、はぁ、私がついてるから」
「うん」
その後も鬼、河童、一つ目小僧、のっぺらぼう、達に驚かされ、心ちゃんは私に後ろから抱き着き背中に顔を埋めていた。
「もうすぐ終わるからね」
もう終わってしまうのか、まだ続いてほしいな。
「私、何も見たくないから、このまま連れてって」
そこに可愛らしい見た目の女の子が茂みをかき分け歩いていた。
その音にビビり散らかしている心ちゃんが私を強く抱きしめてくる、心地いい。
何か変だ、かわいい女の子、だが私の女の子レーダが反応しない。
「あの、すみません」
私はつい話しかけてしまった、だがしょうがないかなりタイプの顔なのにレーダが反応しないのだ気になるに決まっている。
「何だい」
透き通った声どこから見ても女の子。だが私の魂がそれを否定している。
「もう無理」
抱き着いていたはずの心ちゃんが、走りだしお化け役の女の子に何かびりびりとしたものを押し当てた。
「うぎゃぎゃ」
お化け役の子は倒れてしまう。
私は助けに行こうとしたが、怖がっている心ちゃんに手を引っ張られゴールについてしまった。
「ここはどこ?」
「お、温泉だよ、な、奈々子は知らないんだっけ」
私は自販機を見つけ、怯えて疲れ切っている心ちゃんに飲み物を買いに行く。
だが心ちゃんが私の手を握り止めてくる。
「あの、飲み物買いたいんだけど」
「ご、ごめん、で、でも、まだ怖いから、握ってちゃダメかな」
上目ずかいでせがむ姿、一生握っててほしい。
最後のペアが到着し、お化け役の人達も入ってくる。
そのうちの鬼の仮面をかぶっている人がこちらに近づいてきた。
「無理無理、あっちいけ、鬼は外、鬼は外、うー」
私に抱き着いてくる。
「ばっぁ」
お面を外し手温井さんが出て来た。
「清美!???」
「ごめんね、心が怖いの苦手なのは知ってたんだけど、面白くてつい」
お面から人が出てきて安心し心ちゃんは私の元から離れてしまう。
そして手温井さんに近づきポコポコと叩いていた。
「痛い、痛い」
「清美のバカ」
落ち着き、手温井さんにベッタリとくっついている。
「心、まだ怖いの」
「うん、だから責任取ってくっつかせて」
あそこに挟まりたい。だがあそこに挟まる男は死ね。
「ねぇ清美、私怖いあまりスタンガンで一人倒しちゃったんだ」
「え!! 嘘??」
「謝りたいから、女のお化けの人に会わせて」
数秒の沈黙が訪れる。
「女の子のお化けなんていないよ」
「え?」
手温井さんは心ちゃんが幻覚でも見たと思って私を見る。
私も見ているので頷いた。
「え? だってあそこの天狗の人と提灯お化けの人と河童と一つ目小僧とのっぺらぼう、それと鬼の私の六人が驚かし役だよ」
「え?」
「え?」
「え?」




