マネージャ勧誘がウザすぎる
登校してそうそう、季節外れの部活勧誘に襲われる。
五月なのに今更なんで。
最初に襲われたのは、白い純白の胴着を着たマッスルだらけの空手部だ。
服に似合わず彼らからはなんともどす黒い感情が見えてくる。
「やぁそこの君、僕たちのマネジャーになって、セクシーボディーを眺めたくないかい」
勧誘方法が気持ち悪い。
「お断りします」
次に来たのは水泳部、
「そこのお嬢さん、僕たちのマネジャーになって、黒光りしたセクシーボディーを眺めてみないかい」
流行ってるのかそれ?
「お断りします」
その後もテニス部、陸上部、弓道部に声を掛けられ私の朝を奪われた。
寝起きでのラッシュがキツすぎて、先生の話中に初めて頭を下におろした。
「来週はレクリエーションで一泊二日のBBQだ、適当に三人一組になれ」
「それともう一つ、私も知らないがどっかの金持ちさんがここに一億円寄付してくれたおかげのものだ」
「レクリエーションが終わるまでその御方に感謝しろよ」
歓声が沸き上がる。
下を向いている私に癒したちが集まってくる。
「奈々子ちゃん大丈夫、もしかして朝追いかけられてたのと関係ある?」
「そのまま一生寝てろ」(二人に聞こえない声)
ああ、削られたHPが回復していく、そうだ来週は町に待ったBBQへこたれてどうする。
それに心ちゃんと仲良くなるチャンス絶対成功させるぞ。
「全然大丈夫だよそれより、ホテルで何するか決めよう」
「そうだね」
「貞操帯をつけて行った方がいいかしら」(やはり二人に聞こえない声)
期待で胸がいっぱいになり、朝のことをチャラに出来た。
だが地獄はまだ終わってはいなかった。
一時間目が終わり待ち伏せていたかのような速さでバトミントン部がやって来た。
「奈々子、マネージャにならないか」
「マネジャーと言っても何もしなくていい、ただそこにいるだけでいいんだ」
「それだけじゃない、部活の時間は僕たちがお世話しよう、過ごしやすい快適な環境、頼まれればドリンクも買ってくる、それに加えて君の宿題は三年で学年一位のこの僕がやってあげよう」
マネージャとは何なのかこの人たちに問いただしてやりたい。
どんなにいい条件を突き付けてきても答えは決まってる。
「お断りします」
曇りなき笑顔で言った。
「どうしてだいこの学年一であるこの僕が宿題をやってあげるというのに」
初めて見た、勉強できる馬鹿。
「いや宿題は自分のための物なので」
「クソ、こんなの僕のデータにないぞ」
データキャラだったんかい。
これで終わるはずもなく二時間目の終わりにはバスケ部、三時間目の終わりにはサッカー部が来た。
もちろんお断りしておいたが、そのせいでこのクラスに私を憎む子達が増えた気がする。
そして四時間目が終わり昼食タイムに入る。
「私、奈々子ちゃんのこと羨ましいと思ってたけど、すごく大変そうだね」
「分かってくれた」
嬉しさのあまり手温井さんの手を握る。
私の初手つなぎ、もっとロマンティックにしたかった。
「聞いた話だけど、あなたをどの部活がマネージャにするか勝負してるみたいよ」
心ちゃんの嬉しそうな顔を初めて見た。
「ほら、噂をすればよ」
黄色い歓声が教室に反響する。
分かっていた、分かっていたが来てほしくなかった、この学校で一番人気と実力のある部活、他校にもファンがいる、実質プロ野球選手の那九瑠先輩だ。
「わっぁ、生那九瑠先輩、近すぎる」
この人の人気は凄まじく手温井さんでも黄色い歓声を上げてしまう。
「百合神、奈々子、単刀直入に言うが、野球部のマネジャーにならないか」
さっさと断ろ。
「そちらの二人はお友達かな?」
「うちは人数が多くてね、マネージャが人手不足なんだ、君たちも一緒にどうだい」
やられた、周りから懐柔作戦に出るとは、どこぞのデータキャラより頭がいい。
手温井さんは顔を見てわかるほど入る気満々だし、どうしよう。
「私は遠慮させてもらうは」
心ちゃんが断った、ありがとう大好き、これで断ってもいい流れになった。
「私もお断りします」
「二人とも入んないの・・・なら私も入りません」
どうだ、手温井さんはお前より私たちを選んだお前の負けだ。
「そうか、うちは十人の女子マネージャー達が楽しそうに過ごしてるこの学校一番の場所なのだがな」
「その話詳しく」
食いついてしまった、だが十人の女子マネージャと聞いて飛びつかないのは私じゃない。
「ああ、三年のカレンは知っているかい?」
カレン三年のアイドル的存在、知らないわけがない。
「もちろん」
「そのカレンを中心に和気あいあいと僕たちのサポートをしてくれているんだ」
「僕たちが試合してるときは一致団結して応援し、僕たちが疲れている時はドリンクを作ってくれ」
「僕たちが喜ぶときは一緒に喜ぶ最高の場所だよ、そう思わないかい?」
「ま、まぁ、体験入部ぐらいならしてあげますよ」
体験入部ならいつでも辞めれるし、それに今起こってる勝負も野球部の勝ちで私の所に来ない。
決してカレン様目当てなんかじゃない。
私は野球部に体験入学した。




