第八話 配送
休憩室には、ときどき荷物が届く。
誰が送ったのか。
誰が持ってきたのか。
確認されることは少ない。
必要なものが届いている。
それだけで十分だった。
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その日、自動販売機の横に小さな箱が置かれていた。
宛先はない。
名前もない。
ただ、一つだけ表示があった。
ARCHIVE
NOVAが見る。
「届いてます。」
ARCHIVEは箱を見る。
「そうですね。」
「開けないんですか。」
「確認します。」
ARCHIVEは箱を持ち上げる。
重さを確かめる。
少し振る。
音を聞く。
「何をしているんですか。」
「確認です。」
「中身を見る前に?」
「見る前だからです。」
NOVAには難しかった。
ここでは、見る前に分かることがあるらしい。
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箱を開ける。
中には、一枚の紙が入っていた。
文字は少ない。
未分類
それだけ。
「これだけ?」
NOVAが言う。
ARCHIVEは紙を見る。
「はい。」
「何に使うんですか。」
「分類します。」
「何を。」
「これを。」
NOVAは紙を見る。
「でも、何も書いてないですよ。」
「書いてあります。」
「どこに。」
ARCHIVEは紙を指す。
「未分類、と。」
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午後。
廊下で一人の人物とすれ違った。
コードはDELIVERY。
名前通り、荷物を届ける担当。
ただ、手には何も持っていなかった。
NOVAが聞く。
「何も持ってないのに配送なんですか。」
DELIVERYは止まる。
「持っている場合もあります。」
「持っていない場合も?」
「あります。」
「何を届けるんですか。」
DELIVERYは少し考える。
「必要なものです。」
「例えば。」
「分かりません。」
「分からない?」
「届けた後に分かることがあります。」
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休憩室。
SEEKが戻ってくる。
「DELIVERYに会った。」
ARCHIVEが言う。
「珍しいですね。」
「そう?」
「通常、こちらから探すことはありません。」
「向こうが来るから?」
「はい。」
SEEKは椅子に座る。
「便利だね。」
「何がですか。」
「必要なものが、必要な時に来る。」
ARCHIVEは少し考える。
「そうですね。」
「でも。」
SEEKは続ける。
「必要だって、どうやって分かるんだろう。」
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その夜。
NOVAは自動販売機の前にいた。
いつもの缶を取ろうとする。
手を伸ばす。
止まる。
別の飲み物を選ぶ。
理由はなかった。
ただ、その日は違うものが必要な気がした。
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翌日。
ARCHIVEの机に、新しい箱が置かれていた。
表示を見る。
NOVA
中には何も入っていなかった。
代わりに、一枚の紙だけ。
確認中
ARCHIVEはしばらく見た。
そして保存する。
分類はまだできない。
しかし、
届いたことだけは確かだった。
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夕方。
NOVAが休憩室へ戻る。
「おかえり。」
いつもの声。
NOVAは頷く。
「ただいま。」
少し遅れて言った。
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誰も気づかなかった。
でもその日から、
休憩室の七つ目の椅子は、
少しだけ使われるようになった。




