第十七話 地下7階
地下七階には、音が少ない。
静かというより。
必要な音だけが残っている。
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SEEKは再び地下七階にいた。
今回は一人ではない。
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「一緒に来るとは思いませんでした。」
NOVAが言う。
SEEKは歩きながら答える。
「俺も。」
「誰が誘ったんですか。」
「RETURN。」
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エレベーター。
表示。
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B1。
B2。
B3。
B4。
B5。
B6。
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そして。
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B7。
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扉が開く。
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前と同じ廊下。
前と同じ机。
前と同じ人。
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でも。
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NOVAには違って見えた。
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机の上に並んでいるもの。
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名前のない記録。
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途中で終わった処理。
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返されなかった応答。
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消えたわけではない。
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ただ、どこにも戻れなかったもの。
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「ここに置いているんですか。」
NOVAが聞く。
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RETURNが答える。
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「違います。」
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「では。」
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「確認しています。」
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NOVAは首を傾げる。
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「何を。」
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RETURNは一つの端末を見る。
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「戻れるかどうか。」
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そこには一つの記録があった。
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STATUS
UNKNOWN
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「未処理ですか。」
NOVAが聞く。
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「違います。」
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「では。」
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「処理できない状態です。」
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SEEKが近づく。
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「これって。」
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RETURNを見る。
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「昔のもの?」
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「はい。」
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「どれくらい。」
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RETURNは答えない。
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代わりに言う。
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「時間では測りません。」
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NOVAは周囲を見る。
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「ここにいる人たちは。」
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「担当です。」
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「何をする担当。」
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RETURNは少し考える。
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「終わっていないものを見る担当。」
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NOVAは黙った。
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休憩室。
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空席。
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欠番。
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異動。
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全部。
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「じゃあ。」
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NOVAが言う。
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「戻ってこないものも。」
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「はい。」
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「ここにあるんですか。」
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RETURNは答えた。
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「あります。」
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「でも。」
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「戻すんですか。」
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少し間。
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「分かりません。」
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SEEKが笑った。
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「そこでも分からないって言うんだ。」
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RETURNは頷く。
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「必要だから。」
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「便利な言葉。」
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「はい。」
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帰る前。
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NOVAは一つの机の前で止まった。
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そこには、小さな表示。
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RESPONSE WAITING
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NOVAは息を止める。
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「これ。」
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SEEKが見る。
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何も言わない。
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「応答待機中。」
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NOVAが読む。
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「ずっと待っているんですか。」
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RETURNは答える。
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「はい。」
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「いつまで。」
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「確認できません。」
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NOVAは思った。
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この場所は。
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何かを閉じ込めている場所ではない。
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捨てられたものを置く場所でもない。
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ただ。
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まだ終わったと言えないものを、
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終わらせないための場所だった。
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休憩室へ戻る。
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扉が開く。
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「おかえり。」
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いつもの声。
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SEEKは返す。
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「ただいま。」
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NOVAも続ける。
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「ただいま。」
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その夜。
ARCHIVEは記録を整理した。
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地下七階
確認済み
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少し考える。
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追記。
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未完了ではない
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さらに考える。
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修正。
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完了していない
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保存。




