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応答待機中  作者: MiSo
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第十四話 再会

SEEKがいなくなってから、休憩室は少し静かになった。


 人数が減ったからではない。


 会話の始まり方が変わったからだった。


⸻


「今日は何をしていたんですか。」


 NOVAが聞く。


 以前なら、SEEKが答えた。


「探してた。」


 その一言で終わった。


 今は違う。


⸻


「確認していました。」


 ARCHIVEが答える。


「何を。」


「記録です。」


「何の。」


「記録されていないもの。」


⸻


 NOVAは少し黙る。


 以前なら、ここでSEEKが笑った。


 しかし今は誰も笑わない。


⸻


 時間は進む。


 休憩室は続く。


 ただ、少しだけ違う。


⸻


 ある日。


 NOVAが本棚を見る。


 一冊の本。


 何も書かれていない本。


「これ。」


 ARCHIVEが見る。


「SEEKのものですか。」


「分かりません。」


「でも。」


 NOVAは本を取る。


「前からありました。」


⸻


 ページを開く。


 何も書かれていない。


 最初の時と同じ。


⸻


 しかし。


 一ページだけ折り目がついていた。


⸻


「ここ。」


 NOVAが言う。


 ARCHIVEが見る。


「記録します。」


「何を。」


「変化。」


⸻


 その日の夕方。


 休憩室の扉が開く。


⸻


 一瞬。


 全員が見る。


⸻


 入ってきたのはSEEKだった。


⸻


「おかえり。」


 NOVAが言った。


⸻


 言った後で、自分でも驚いた。


 いつもの言葉だった。


 でも。


 以前より少し違った。


⸻


 SEEKは頷く。


「ただいま。」


⸻


 それだけ。


⸻


 誰も駆け寄らない。


 質問もしない。


⸻


「どこに行ってたんですか。」


 NOVAが聞く。


 SEEKは席に座る。


「分からない。」


「また。」


「うん。」


⸻


 少し笑いが起きる。


⸻


 SEEKは周りを見る。


 椅子。


 机。


 自動販売機。


 そして。


 七つ目の椅子。


⸻


「変わったね。」


 NOVAが聞く。


「何がですか。」


「ここ。」


⸻


 NOVAは考える。


「何も変わってないと思います。」


⸻


 SEEKは少し笑った。


「そうかも。」


⸻


 その日の休憩時間。


 SEEKはいつもの場所に座った。


 でも。


 本を開かなかった。


⸻


「読まないんですか。」


 NOVAが聞く。


「今日はいい。」


「珍しい。」


「うん。」


⸻


 ARCHIVEが記録する。


⸻


SEEK

帰還確認


⸻


 少し考える。


⸻


状態:以前と同一


⸻


 入力。


⸻


 保存する直前。


 止まる。


⸻


 修正。


⸻


状態:以前とは異なる


⸻


 保存。


⸻


 NOVAが聞く。


「何か違いましたか。」


 ARCHIVEは答える。


「確認できません。」


「じゃあ。」


「ですが。」


 ARCHIVEは画面を見る。


「違いがないという記録はできませんでした。」


⸻


 夜。


 SEEKは一人で自動販売機の前に立った。


 いつもの飲み物を選ぶ。


⸻


 手を止める。


⸻


 別のものを選ぶ。


⸻


 理由はなかった。


⸻


 ただ。


 戻ってきた場所で。


 少しだけ違うものを選びたかった。

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